褒美の希望は島流し【のっとれ!松代城2014】

堀り超え

このあたりは「越後まつだい冬の陣」会場内だ。大勢の観客がコースにかぶりついて観戦している中、走る。「がんばれー」と不特定多数から不特定多数に向けて声がかけられており、ここで「いやあ疲れちゃってハハハ」と歩いたり立ち止まったりしたら、観客からの「なにやってんだオラ」というプレッシャーに負けてしまいそうだ。

そんなわけで、「とりあえず一息つきたいんですけど。」という気持ちを我慢しつつ、前へと進む。

次に待っていた障害物は、「堀り超え」。いにしえの忍者が敵城のお堀を闇夜に乗じて超えていった風景になぞらえているのだろう、そりに乗ってコースを進む事を求められた。このエリアでは、足を使うのは禁止。

折角なので、堀り超えを終えた勢いでコース上を匍匐前進してみた。「自衛隊さん頑張って!」と観客から声援を受けたからだ。しかし、一発で偽者だとわかる匍匐前進だったことに自らが恥じ入ってしまい、すぐにやめた。

第一砦

第1砦に取り付く。

先ほども段差を超えたばっかりだが、今度も胸から肩くらいの高さがある段差をよじ登らないといけない。既に200人、300人もの規模でこの砦は攻略されており、あちこちで登りやすくなっているだろう・・・と思ったのだが、全然そんなことはなかった。むしろ壁面は数百人もの苦労のすえツルツルになっているカ所があり、全く足をひっかける手がかりがなくて途方に暮れる有様。ここも、既に上にいる人のヘルプが必要になる。

・・・で、結局ここでも「自衛隊に任せろ!何のために今日ここに来ていると思ってるんだ!」と大見得を張る結果に。後続の皆様のさらなる飛躍を祈念しつつ、何人をも引っ張り上げた。

もうこの時点で順位を狙うとかそんなのは頭から消えた。こんな有様で、今更走ったって大して順位は上がらないし、順位がどうなろうとハワイ島流しは抽選だ。だったら自衛隊コスプレを全うした方がまだ成仏できそうだ。

「どちらの部隊の方ですか?」

と助け上げた女性から聞かれたのだが、一瞬答えに詰まったのち

「アワレみ隊です。はははは」

と笑って顔を背けた。なんだコイツキモい。

第一砦を下る

第1砦を登り切ると、斜面を一気に下る。このあたりは新雪が深く積もっており、狭いわだち以外を歩くと足元をすくわれてしまう。滑りやすいし、よちよち歩きで下っていく。

会場の外に出る

11:58、レース開始から21分が経過したところで会場から外に出る。おっと、このあたりは除雪が行き届いている舗装道路だ。ここからは高速で移動できるぜ!・・・と思ったところで、会場から空砲が何発も上がった。あれっ?なに?どういうこと?

どうやら、松代城に一番乗りが到着したらしい。ちょっと待て、マジかよ。俺、まだ会場から外に出たばっかりなんですけど。目の前に、「残り2,700m」っていう看板が立っているんですけど。えええ?なんでこんなに早いの?ワープしたの?必死なの?死ぬの?

あまりの格の違いに愕然としてしまった。いやー、「西宮神社」の十日町戎で「一番福」目指して境内を全力疾走するような人なのかもしれない。気合いと、実力と、格が違いすぎらぁ。

給水所

「さあ残りは消化試合だ。リミットまでに松代城に辿り着けばいいや」

と完全に開き直り、普通にてくてく歩く。ゼッケンをつけていなけりゃ、「お日柄がよろしいのでちょっとご近所を散歩しています」といった風情だ。とてもじゃないけど、「レース」と名の付くものを現在進行形でやっている人の態度ではない。

そうこうしているうちに、給水所到着。お水を一杯恵んでもらう。

「いやー、天気がいいし、ビールなんかが飲めたら最高なんですけどね」
「みなさんそう仰いますよ。レースが終わったらぜひビールを楽しんでくださいね」

という会話をスタッフの方とし、笑う。僕はビールなんて一滴も飲まないのに。もうやけくそだ。

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