圧巻の山、圧倒する虫【巻機山】

17:27
今日は巻機山を独占する、一人きりの夜だ。

夜は長い。

だから、夕食はできるだけ後ろ倒しにして、この風景をしばらく満喫したいと思っていた。

しかし、虫が殺到してくるわ、お湯を次々と沸かして飲み水を作らないといけないわで、ゆっくりしていられない。

ノンアルコールビール片手に粘るのは諦めて、夕食の準備に取りかかった。

こんばんは、アルファ米ならぬアルファパスタ・・・とでも呼ぼうか。「モチモチ食感きのこのパスタ」を用意してある。

夕食でお湯を使うなら、早めに使ってしまい、その後はジェットボイルを飲み水づくりに専念させるつもりだ。

写真左に写っている、モンベルのロゴ入りの黒っぽい袋は「フードコジー」と呼ばれるもの。今回、初登場だ。

この存在を最近知ったのだが、レトルト米などの袋を入れると保温が効くという。さらに、熱湯で熱くなった袋をうっかり触ってしまう心配もない。

つまり、「アルファ米(など)専用のクーラーバッグ」と言える。

優れているのは保温力だけではなく、机などに置いたときの安定性だ。袋単体よりもずっと安心感がある。

ウルトラライト志向の人たちは、カップ麺の中身をジップロックに移し、麺を砕いて持参するという。カップはゴミになるし、かさばる。

ただし、ジップロックにお湯を注ぐと熱くて持てない。そこで登場するのが、このフードコジーだ。カップ麺入りのジップロックをセットし、お湯を注げばカップラーメンが完成。ゴミはジップロック1枚だけ。実にスマートだ。

その話を聞いたときは、思わず声が出たほど驚いた。よく考えられている。

きのこのパスタの中身。これからお湯を注ぐ。さっき汲んできたばかりの、巻機山の水で。

フードコジーに袋をセットしたところ。良い安定感だ。

レトルト袋単体でも自立はするが、熱湯を入れると少しフニャフニャする。それに比べて、こいつの安定感は抜群。

お湯を使うものは、今のうちに使ってしまおう。

フリーズドライの「野菜とたまごの具だくさんスープ」をマグカップで作る。

パスタができ上がるまでの間、小屋の周りをうろついてみる。

じっとしていると虫の襲来が収まらないからだ。

物理的に近寄ってくるぶんには、モスキートネットを被っているので耐えられる。しかし、羽音が四六時中耳のそばで鳴り続けるのは堪える。集中力を持っていかれる。

歩いてなんとか気を紛らわせる。

小屋の周りにはゼンマイが生えていた。

今夜の夕食に追加・・・という発想は浮かばなかった。アク抜きが必要だし、そもそも勝手に採ったら泥棒だ。

よく見ると、小屋のすぐ脇に木道がある。

これはどこへ通じているのだろう。

裏手に回ると、すぐにそれとわかる臭気。

あっ、トイレがあるのか。

標識など見当たらなかったので、気づかない登山者も多そうだ。

こちらはさすがにバイオトイレでも水洗でもない。

そのため匂いがかなり強く、虫の数も多い。

ここでお尻をペロンと出して用を足すには、ちょっとした勇気がいる。

小屋の軒先から見た、木道、ベンチ、そして残雪。残雪がある右下に本日の水場がある。

(つづく)

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