
12:16
無事下山。朝6時に行動を開始してから、およそ6時間。なかなか骨のある山だった。
この山を日帰りでピストンするなら、倍の時間はかかっただろう。僕の体力ではそのくらいを見込む必要がある。あらためて、避難小屋で一泊した判断は正解だったと思う。
おかげで今、昼飯どきに笑顔で下山できている。この笑顔は、安堵感に加えて「これから飯だ」「温泉だ」という楽しみの予感によるものだ。
たぶん僕は、登山で一番アドレナリンが出るのが「下山の瞬間」なのだろう。山頂よりも、稜線よりも、下山のときがいちばん興奮する。緊張が解けていくあの瞬間がたまらない。
サウナには行かないけれど、あの「整う」という感覚に近いのかもしれない。

下山記念に登山道入口で写真を撮るつもりだったが、看板はあっても肝心の「入口」が見つからない。どうやらヌルッと始まるタイプの山らしい。
結局、近くにあった鳥瞰図の看板の前で記念撮影した。「登山道入口」の矢印とだけ一緒に写っても、どこの山かわからないから。

下界はのどかだった。
山頂付近のガスは消え、夏空と白い雲。ああ、下りてきたんだな・・・と、きつくも美しかった一泊二日を思い返す。

二子沢川を渡り、駐車場へ。のんびりした景色だ。

靴洗い場で登山靴を洗う。こういう設備は地味にありがたい。

今日は月曜日。平日だけあって、駐車場の車は昨日よりずっと少ない。第3駐車場はゼロ。

第2駐車場もまばらだが、それでもこれだけの車の人とは皆、山中ですれ違ったはずだ。
受付には係員さんがいて、駐車料金を支払いながら「避難小屋、とても快適でした」と伝えると、「そうでしょう、日本で一番きれいな避難小屋だからね!」とにっこり。誇りが伝わってきた。
「上は虫がすごかったです」と話すと、虫の名前を教えてくれたが忘れてしまった。ナントカ蚊、と言っていた気がする。

車中で短パンに履き替えると、脚のあちこちが刺されていた。昨晩から血が滲んでいるのは気づいていたが、改めて見るとくっきり。刺され放題だ。
傷の周りは赤く腫れ、免疫反応がはっきり出ている。蚊のように針で刺すのではなく、皮膚を噛み切って血を吸うタイプらしい。だから派手に出血する。
痒くないから大丈夫かと思っていたが、夜になってから猛烈に痒くなり、2週間は残った。ムヒも効かない。悪質な虫だ。
短パンでくつろいでいたのが失敗だった。この山は上下とも完全防備が必須。モスキートネットを持参したのは正解だったが、避難小屋で油断したのがいけなかった。

足の裏は両足とも水ぶくれ。痛みを引きずりながらの下山だった。

前回の鍋割山では医療用インソールを使い、下山時にやや不安定さを感じた。今回はSIDAS製を試してみたが、まだ足に馴染んでいないようだ。
(つづく)

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