圧巻の山、圧倒する虫【巻機山】

12:45
駐車場を出る前に、巻機山を振り返る。

天狗岩と割引岳が分厚い雲の下に黒々と浮かび、どこか禍々しい気配を放っていた。特に天狗岩の重たい黒さが印象的だった。

紅葉の季節はとても美しいと聞くが、その分登山客で賑わう。深夜や早朝から駐車場の場所取り合戦に巻き込まれるのは避けたい。新緑のこの季節、しかも平日を絡めて登頂できたのは幸運だった。

ありがとう、巻機山。そして、さようなら。

いつか息子にも紹介したい山だ。とはいえ、彼が大きくなって「お父さん、巻機山に連れてって」と言ったら、たぶん僕は「いやあ、あそこはきついぞ」と苦笑しながら逃げ腰になるだろう。

12:57
車を少し走らせると、清水の集落に出た。

いくつか民宿が並ぶ中、「民宿 上田屋食堂」という看板が目に入る。

「民宿上田屋」と「上田屋食堂」が合体した名前なのか、それとも「上田屋食堂」という名の民宿なのか、よくわからない。

ランチ営業を知らせる看板は一切なし。少し勇気を出して戸を開けると、客は僕ひとりだった。

店内は一階の畳の間に長机が並ぶ、典型的な民宿の大広間。

窓際には囲炉裏。壁には孫らしき子どもの写真が飾られている。人の暮らしのぬくもりがそのまま残っていた。

窓の外に目をやると、巻機山から下山してきた登山者が歩いてくる。自販機でジュースを買い、ひと息ついて、また先へ。

この先のバス停から六日町駅へ向かうのだろう。公共交通での登山は、こうした下山後の距離が意外と長くて大変だ。

メニューは一択。「山菜だらけ蕎麦」。

その名に偽りなし。本当に山菜だらけだった。丼からはみ出すほど山盛りで、ラーメン二郎を思わせる迫力。

横から見ると、盛り上がっているのはすべて山菜。どれだけの量を採っているのかと驚く。

さらに、なめこ入り。山菜きのこそばだ。

「これだけ山菜を詰め込んだら味が単調になるのでは?」と思ったが、実際は逆。つゆの表面に油が浮き、しっかりこってりした味わい。

どうやら山菜をバター炒めにしているらしい。そのひと手間で、下山後の空腹を完璧に満たしてくれる。

素朴さの中にアイディアが光る一杯だった。これだけのために、また清水に来てもいいと思える。

13:35
越後湯沢へ向け、出発。途中、清水のバス停があったので写真を撮る。

奥の茂みに鳥居が見える。巻機権現社のものだろう。

そういえば、巻機山の山頂には祠がなかった。珍しい山だと今さら気づく。

立ち寄って参拝しようかと思ったが、バス停周辺は駐停車禁止の看板があり断念した。

14:27
道の駅南魚沼に到着。ここも下山後の楽しみにしていた場所。

工場直送を掲げるせんべい・あられの直売所があり、種類も量も圧倒的。

どれにしようか迷う時間が楽しい。

価格はどれも手頃で、財布の心配は無用。問題はカバンの容量だ。せんべいを押し込むわけにもいかず、慎重に選ぶ必要がある。

欲望のままに買い込めないもどかしさも、また一興だ。

次に来たときは、別の味を買おう。

(つづく)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32

コメント

コメントする

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください