圧巻の山、圧倒する虫【巻機山】

09:25
ニセ巻機から下り始める。

階段状の道を、ひたすら下るセクションだ。

今日は16時過ぎ発の越後湯沢行き新幹線を予約している。まだ余裕はあるが、それくらいの猶予を見ておかないといけないのが巻機山だ。東京から車なしで来ている僕にとって、避難小屋泊は大正解だった。

おかげで朝の9時過ぎにはすでに下山開始。太陽が真上に来る前に山を下っているのは、思っていた以上に爽快だった。

09:27
つい先ほどまで青空が見えていたのに、また視界が白くなる。日本海側から吹く湿った風が、巻機山や谷川連峰にぶつかって弾かれるからだろう。天気がころころ変わるのも、この山域らしい。

広い尾根を下る。鉄の杭が等間隔に打ち込まれていて、道を見失う心配はない。

登りのときは意識していなかったが、下りでガスに包まれるとこの杭のありがたみを痛感する。

登山道は全体的に見事に整備されていた。地元の方々の尽力に感謝したい。

09:51
笹が増えてきた。ああ、もう森林限界を抜けたのだ。

09:57
名残惜しく振り返ると、ニセ巻機が見えた。ここで、もう見納め。

見た目は穏やかだが、実際には急登だった場所だ。

このころになると、登山口から登ってきた人たちとすれ違うようになった。みんな一様に息を切らしている。昨日の自分と同じ姿だ。

一方、後ろからは身軽な登山者が追い抜いていく。トレラン姿ではなかったが、驚くほど軽快にトントントンと駆け下りていった。山頂近くで一泊した僕が、今朝出発の人に抜かれるとは・・・。

10:26
道中、割引岳が姿を見せた。相変わらず堂々としている。

登れなかったのは残念だが、無理をせず引き返して正解だったと思う。もし「行けるところまで」なんて軽い気持ちで進んでいたら、危うく三途の川を渡るところだった。

10:27
このあたりは粘土質の土だが、幸い雨は降っていない。問題なく通過できる。

もし雨だったら、疲労と相まって嫌な滑り方をしていたかもしれない。

10:29
六合目に到着。

割引岳から天狗尾根へと連なる稜線に、黒々とした天狗岩がそびえている。

その威圧感に思わず足を止めた。

岩の基部には広いスラブがあり、あそこを登るクライマーはどのくらいいるのだろう・・・とふと想像してしまう。

絶景だけど、行くも大変退くも大変、立ち往生して救助要請になりかねない場所だ。

(つづく)

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