法事と登山と深夜バス【伯耆大山】

かなり急な坂

09:09
かなり急な斜面が続く。

「聞いてないぞ!」

とあえぎながら呻くが、聞いてないも何も、問い合わせてもないからな。まあ、標高差とコースタイムと、地図上の距離を見ればこうなることはあらかじめわかっていたわけで・・・でも、夜行バス後にこれはなかなかにキツい。夜行バス後でなくてもキツいけど。

人のサイズと、段差を見比べてみればこの坂のキツさがよくわかると思う。

上から人が転がったら、ゴムボールのようにぽんぽん跳ねながら一合目まで転がり落ちてしまうんじゃなかろうか、というくらいだ。いや、それは大げさか。大げさですね、すいません。

ひたすら登る

09:14
三合目に到達したけど、特に感慨無し。ひたすら登る登る。

登山道を整備した人は、「つづら折れ」という概念を持っていないのだろうか?もう、ひたすらガシガシと登っていく。潔く、心地よく、ひたすら上へ上へ。まるで磁石に引っ張られているかのようだ。

この程度の坂だったら、つづら折れにして斜度をゆるくするまでもないだろう、ということなんだろう。確かにそうかもしれない。「いや、つづら折れにしろよ」といらだつ一歩手前、くらいの微妙な斜度ではある。

標高1,100m

09:16
ありがたいことに、こまめに「○合目」という標識、そして標高の標識が設置されている。おかげで、前へ進んでいる感はばっちりあって、急坂にうんざりすることはない。一番イカンのは、中途半端にキツい傾斜で、「あれ?これだけ疲れさせられたのに案外標高稼げてないなあ・・・」という場合。徒労感が半端ない。だったら、キツくても満足感を伴う急坂のほうがいいと思うんです、わし。

かなり急な階段

09:21
とはいってもこれは登りにくいぞ。段差一段がけっこう大きく、一歩一歩が太ももに響く。成人男性である僕でさえそうなのだから、小柄な女性や子供、あと時々見かけるワンちゃんにとっては相当しんどいと思う。

顎をあげて息もたえだえになっている人がぼやいていた。

「子供の頃に登ったときよりも傾斜がきつくなっている気がするー」
「あ、そう思った?私も!」

まさか山が隆起して、標高が高くなったということはあるまい。しかし、大量の人が利用したために登山道が削れ、結果的に段差がキツくなったということは考えられることだ。なるほど、そう考えれば、「登山道、段差がずっと設置されていて手間がかかっているなあ」というのも納得だ。こうでもしないと、道が崩れるからだ。

二合目

09:23
ほれ、四合目到着。1合登るのに13分→10分→9分、と推移している。平均して10分前後か。テンポ良く次々標識が出てきて、楽しい。

「いっそのこと、三三七拍子のテンポで登れたらいいのに」

という考えが一瞬頭をかすめたが、それだと山頂を跳び越してしまうのでやめとけ。一体何合ある山なんだ、それは。

坂、また坂

09:24
相変わらず容赦ない登りだ。ぐんぐん回りの木々が弱弱しくなっていき、登山口にあった木々と比べて自信なさげになってきているのが素人目でもわかる。とはいえ、子供にはこの違いはわかりにくいだろうから、親子で、とか子供の遠足で、という形でこの地を訪れたら、「もう登山はイヤだ」というトラウマになるかもしれない。

大勢の人が登山を楽しんでいる。その人たちの格好を見ると、普段東京界隈や長野などで見かける人たちとは異なっているようだ。こっちの人のほうが、ざっくばらんとした格好をしているからだ。ジャージ姿の人が多いし、「ザック」ではなく、「リュック」な人も多い。「山の装備」にお金をかけていないのだった。

でもそりゃそうだ、この界隈で山中泊となるような山はない。がちがちな装備を持っている必然性がないのだった。

僕は、「ジャージ姿で登山」というのはあんまり見たことがない気がする。なので、「あっ、そうか!ジャージで登山というのは楽でいいな、汚れても平気だし」と今更のように気が付いたくらいだ。「登山=ちゃんとした装備じゃなくちゃ駄目」という先入観があった。

・・・まあ、そうはいっても、僕自身どう見ても山用ではないユニクロの上下に身を包んでおり、人のことは言えないんだが。

三合目

09:35
五合目到着。ここが中間点、ということになるのかもしれないが、あんまりそういうのはあてにならないものだ。「ふーん」程度でスルーしておくのが気分的には楽だ。

山によってはここから急にキツくなる場合もあるし、逆に山頂周辺はのんびりとウイニングラン状態なこともある。五合目に着いたからといって、所要時間も疲労度合いもきっちり半分、というわけでない。

ただ、多くの登山客にとっては心理的に一段落するらしく、ここで休憩を取る人が結構いた。僕はそのままもう少し先に進むことにする。この先に避難小屋があるはずだからだ。そこで一息つきたい。

分岐

09:36
五合目を過ぎたところに分岐点があった。行者谷分かれだ。ここから谷底に一気に下っていく行者谷ルートが分岐している。帰りはそのルートを使う予定だ。

標識を見ると、大山頂上までここから1.4km、大山寺旅館街まで2.0km。もう「直線距離だけで計算するなら」半分を過ぎたことになる。前回登山から丸一年以上のブランクがあるにしちゃ、そこそこ歩けているじゃねぇかこのやろう。

坂

09:37
やや赤づいている木々の中を登っていく。だんだん空が近づいてきている感じがする。高い木の、葉っぱのさらにその向こうに見えていた空が、今は手に届きそうなところに見える。これが、本当に「手に届く」ようになったな、と思ったときはきっと死んでいるんだろうから、そこまで近づきすぎないように気をつけないと。お星様になってしまっては駄目だ。

何しろ僕はこの後法事だ。おばあちゃんの法要に出るつもりが、自分の葬式になってしまっては情けない。ミイラ取りがミイラになる・・・という言い方は不謹慎だけど、今回は特に遭難しちゃ駄目な登山だ。

標高1,300m

09:41
とかなんとか、不謹慎なことを考えているうちに標高1,300m突破。

時折中国人とすれ違うが、にぎやかだ。この中国人、登山愛好家なのだろうか?

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