ハタケ仕事と山登り【羊蹄山】

13:27
洞爺湖にやってきたはいいけど、ここで何があるかということは深く調べていなかった。「白いおしるこ」という名物があるらしいのでそれを食べよう、ということと、有珠山噴火の記録を留めた火山博物館があるということなのでそこに行く、程度を考えている。

遊覧船に乗るとか、どこかに立ち寄り湯でひとっ風呂、というところまでは発想が全然及んでいない。

そういえば、お昼ご飯を食べるということすら考えていなかったな。なにしろ、朝ごはんをしこたま食べて、その後あげいもときのこだ。まったくお腹が空いていない。

火山博物館の駐車場に車を停めたところに、周辺地図があった。火山博物館は温泉街から少し離れたところにある。

どうやら、この駐車場の背後、山側は火口跡がいくつもあって、そこまで続く遊歩道が伸びているらしい。面白い、火山博物館を見たあとはそっちまで散歩してみよう。

火山博物館。洞爺湖ビジターセンターも兼ねているので立派な建物だ。

火山博物館というと、裏磐梯にも「磐梯山噴火記念館」という施設があって、火山の記録を残している。あちらは民営だ。2年前、訪れたことがある。

また、伊豆大島にも火山博物館があったな。あれは2010年に訪問した。

いずれにせよ、この手の火山博物館は凄い。旅先で見かけたら、訪れる価値がある。「富士山が宝永年間に噴火しました」というのが、文字や絵で記録されているのとはわけがちがうからだ。映像や音声、地震計の記録、そういう客観的データががっちりのこている近現代に噴火した山の場合、記録がものすごく生々しい。何時何分に噴煙が起き、その何分後に火柱が、みたいな詳細な記録が展示されていたりする。ドキュメント動画もあったりする。

それはもう、息を呑む展開であり、圧倒的インパクトがある。

で・・・有珠山っていつ噴火したんだっけ。そこは全然覚えていない。が、近くに噴火口がいくつもあるようだし、なにしろこの巨大な洞爺湖カルデラを見れば「やる気満々の山」だということがよくわかる。やべえやつだ。

うお。

ポスターを見て思わず声を上げてしまった。

洞爺湖をバックにした有珠山の航空写真が写っている。湖岸に洞爺湖温泉の温泉街が見えているので、僕が今いる場所からは見えない裏側だ。

なんか山そのものが地すべりして消えたかのようにごっそりえぐれているし、「お前この穴、明らかに噴火口だろ!」という露骨な凹みがあるし。周りが緑で覆われている分、ここだけ急に荒涼とした大地なものだからギョッとする。

こんなのが現在進行系でまだ存在しているのか・・・!

人の生活が営まれている温泉街がちらっと写真に写り込んでいるからこそ、ますます「自然と人間の共生のバランス」というのを考えさせられる。すげえな、これ。

びっくりしながらも、火山博物館に入る。

まず入り口のところに、全国各地にある活火山が紹介されている。

火山そのものは怖いけれど、そのドキドキ感がたまらない。「山というのは、草木が生い茂って当然」という考えが染み付いている中で、何一つ植物が生えていない山がばーんと写真で紹介されると、「おおお!」と思う。

世界の活火山写真集があったらほしいな、と思った。

いや、「世界の活火山」じゃ面白くないか。どんなにスゲー火山があっても、「へえ、海外にはいろいろな地形があるものですなぁ」と他人事だ。この日本という土地でも、信じられない活火山がゴリゴリと現在進行系で動いている、その胎動を感じるほうがいい。「日本の活火山」写真集、どっかにないか探してみよう。

ちなみにこの写真は、本当なら今日登る予定だった「樽前山」。見ろこのエグい溶岩ドーム!!!今でも煙を吹いているんだぞ、見るからにヤバそうだろ。

この樽前山、さすがに溶岩ドームには取り付くことができない。その周辺のカルデラ縁をぐるっと一周回ることができる。こんなドームを見ながら歩くなんて、最高すぎるじゃねえかよ。またいつかチャレンジしたい。

ちなみに樽前山と、奥の支笏湖の間にあるしわくちゃの新聞紙みたいな形をした山は「風不死(ふっぷし)山」という。名前がやべえ。せっかくだから樽前山とセットで縦走したいところだけど、案外難儀する山だとちらっと耳にしたことがある。

で、われらが有珠山。右がそれで、左が昭和新山だろう。

昭和新山、日々モリモリと盛り上がってきていたんだからなんともキモ怖い。

そしてこっちは昨日登る予定だった羊蹄山。

改めて見ると美しいなぁ。でも、荒々しい大地の息吹は落ち着いた感じがして、ちょっとその点は物足りない。心拍数が上がるような活火山を見たい。

(かといって、ハワイのキラウェア火山みたいにダラダラと噴火中、という山はそんなに興味がない。噴火の余韻と、また次いつくるのかわからねぇヤバさ、というのがドキドキさせられるのだから)

あーあーあーあーあー。

洞爺湖温泉街と、有珠山の地形模型。

上から見ると、有珠山さんパねえっす。模型左上側の有珠山本体部分のボコボコっぷりもさることながら、洞爺湖温泉街の外れ、ちょうどこの加算博物館がある背後の山あたりが隕石の落下が頻発したのか?というくらい穴ぼこだらけになっている。

やべえ、いずれこっちに新しい山を作る気じゃないだろうな。

よく見ると、国道230号線が地面に埋没してしまっている。いつぞの噴火で、溶岩に潰されてしまったらしい。

今の国道230号線は、洞爺湖畔すぐのところからトンネルになっていて、内海湾のところまで地下を走っている。地上道路を復旧させるのを諦めたらしい。トンネルを掘ったほうがまだマシ、という判断だったのだろう。

だとしても、周囲をマグマやらなんやらご機嫌を損ねやすいものがうじゃうじゃいる中でのトンネルだ。作るのは大変だっただろう。

展示スペースの一角に、映像を見せるシアターもあった。

二画面構成で、迫力ある映像と音声。特に音はスピーカーにこだわったのだろう、ズズズズ・・・!という地鳴りの音が体中に響く。これは子供は泣くかもしれない。

でも、防災という観点でも、こういうのを見ておくのは学びがとても多い。

火山科学館

展示内容も迫力がある。

「ちょんまげを結った人が逃げ惑う絵」とかではなく、「現代」と地続きで噴火が起きたことを物語る数々が実際に残され、展示されているからだ。軽トラという、現役バリバリな乗り物がボロボロになりながらも置いてあると、火山の怖さを実感する。もしこれが「焼け残った馬車」だったりしたら、やっぱり他人事っぽくなる。

予備知識は仕入れた。では実際にフィールドワークにでかけよう。

火山博物館の背後が、不自然に堰堤が作られている。その先が「金毘羅火口災害遺構散策路」だということなので、行ってみることにした。堰堤から見下ろせば、まあいいかな程度の感じで。

(つづく)



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