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開会式が始まる。
このイベントは、「ぐだぐだと整然のいいとこどり」といった雰囲気で、毎回感心させられる。壇上に上がる地元の偉いおっちゃんたちとか、ほのぼのさせられるしゃべり方が心和む。
そういう雰囲気から、学芸会の延長線のような印象を受けるけど、さすが30回も運営しているだけあって、ものすごくテキパキと場を仕切る。開会式も閉会式も、いろいろな段取りをそつなくこなす様は手練れのなせる技、とこれもまた驚かされる。
東京界隈のイベントだったら、こういうイベントはプロが登場してプロが仕切って、イベントで目が肥えた人が参加してという「プロだらけで素っ気ない時間の流れ」になる。それとはちょっと違う、味わい深いとっても素敵な時間がここでは流れている。
開会式の冒頭に、今回招待された歴代城主が壇上に招かれた。過去29回開催しているわけだから、合計29人城主がいるはずだが、連覇した城主がゴロゴロいるので、実際の人数はかなり少ない。
つまり、選ばれた人のみが「松代城主」の肩書きを得られる、というわけだ。
見ろ、歴代城主の姿格好を。みんなしなやかな体型をしていらっしゃる。この人達、一見しただけで早そうだ。
「早そうだ」としか言いようがないのは、僕ら下級レーサーは上位陣のスピードを全く目の当たりにしていないからだ。何しろ、「越後まつだい冬の陣」会場をようやく脱出したころには、新城主はお城に到着しているという有様だ。もう、スポーツカーと三輪車並のスペックの違いで、彼らの活躍は全く視界に入らないのだった。
歴代城主の紹介が終わったら、すぐに「歌舞伎者賞」の審査対象になっているのっとれ!戦士たちのパフォーマンスに入った。
司会の方から、「一組2分以内で」と釘がさされた。これまではそういう時間制限がなかったのだけど、年々歌舞伎者が増えてきているための配慮だ。
一応開会式は30分で、11時30分からレース開始というタイムスケジュールになっている。しかし実際はパフォーマンスが押してしまい、11時40分近くなってレース開始という年もざらだった。
僕らが毎年このイベントに参加して「またやってきたよ!」とニコニコしているように、このイベントに毎年参加している人は多いようだ。特に歌舞伎者にエントリーするような人はなおさらで、勇者様をはじめとした「毎度おなじみ」な方があちこちにいる。そういう人が壇上に出てくると、「いよっ、待ってました!」という声をかけたくなる。
写真は、蕎麦屋のご主人。毎年、松代城に蕎麦の出前を持って行くということをやっているけど、今年は蕎麦いなり(だったと思う、記憶曖昧)を届けるのだ、と言う。
ドロンジョ様、アナ雪、白雪姫、チップ&デール(?)という、ごちゃ混ぜな女性集団。
このカオス感がむしろ面白い。
実際の壇上ではぶっつけ本番でのパフォーマンスだろうから、やる方は大変だ。ただでさえ素人なわけだし、かなりの度胸が必要だろう。でも、このグループに限らず、みんな楽しそうにパフォーマンスをやっている。見ているこっちが笑顔になってくる。
ここも毎年おなじみ、ダースベイダーとストームトルーパー。
今年は、いきなりラジオ体操を始め、会場を驚かせた。水鉄砲をいきなり取り出して、舞台下の戦士たちに水をかけるというのが定番だったはずなのに。
何かオチがあるのだろうきっと、と一同固唾をのんで見守っていたが、「最後までラジオ体操をやりきって、終わる」ということそのものがオチで、会場は笑いに包まれた。
「豚と羊のコンビ」も毎年おなじみで、もう僕らとしては名人芸を見せてもらっている気分だ。
毎回、最初は豚が羊をいたぶるのだけど、途中で急に羊が覚醒して、豚をコテンパンにプロレス技で叩き潰すという展開だ。
ストーリー展開はもうわかっているのだけど、黄門様が葵のご紋を出す瞬間がスカッとするのと同じで、羊の逆襲が始まると「いいぞ!」と声をかけたくなる。
しかも、かっこ悪い「プロレスごっこ」の技ならともかく、この羊が切れ味鋭い技を巨体の豚に決めるので、ますます気持ちがいい。豚も受け身をきっちりとっているので、危なっかしさがなくてそれもいい。
写真は、羊が豚にDDTを決めているところ。この舞台、雪を固めてガチガチになった氷でできてるんだぞ?いい度胸だ!
そして、我らがちんころ二人組も登場。おっと、マイクを持つマネージャー役?のような女性もいる。今年は3人の軍団に増殖したのか。
いずれ、さらにちんころが増殖して、4人、5人の白塗り軍団が形成されたら相当痛快だ。いや、そうなるとせっかくのこの滋味深いキャラクターが埋没してしまう。大所帯も見てみたいけど、ペアという構成で今後も続けてくれると素敵だ。
昨年とは明らかに違う、ちんころペアへの暖かいまなざしと声援。ちんころはたった1年で「越後まつだい冬の陣」で愛されるキャラクターへと昇華した。
この後もパフォーマンスが続く。
フラフラと壇上に現れたゾンビが、いきなりシフトチェンジしてハードなカポエイラの振り付けで踊ったり。
大勢の赤ずきんちゃんたちがフリフリしながら恋ダンスを踊ったり。
村山統括軍師殿はこの赤ずきんちゃんにご満悦。
白衣を着た博士と、野球選手が出てきたり。
昨年、シュールかつナルシスティックなパフォーマンスで会場をざわつかせた人が、今年もさらにシュールな芸を披露。「この人はシュールな芸風なのだ」とわかれば、意味不明な演出もむしろかっこ良く見えてくる。
回数を重ねて参加するうちに、どんどんこのイベントを楽しめるようになっている、という実感を強く感じる。それがいい。
こちらは金髪の方。何やらたすきをかけている、と思ったら、「UK GIRL」と書いてある。どうやらイギリス出身らしい。「GO!UK GIRL!」と叫び、ティーカップを高らかに掲げた。
なんかまた面白いキャラクターが登場してきたなぁ。。
十日町市長が檄文を読み上げたあと、副将軍によるえいえいおー!の鬨の声を上げる一同。
十日町市長が「将軍」という肩書きなのに対し、「副将軍」は二人いらっしゃる。どちらもご高齢で、そんな方が力強く、でも若干のおじいちゃんっぽさも出しつつ、500名の戦士にカツを入れるのも毎年の名物だ。こういうのも、いちいちアットホームで、楽しい。
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