地上の楽園を普段使い【小梨平ソロキャンプ2019】

18:58
風呂上がり、脱衣所で取り出した着替えはこれ。

着替えといっても、キャンプ中は洗濯なんてしないので「肌着の追加」にすぎない。いちいち着替えなんて持参していたら荷物が増えるし、この時期乾かすのが一苦労だ。

せいぜい、替えるのはパンツ程度。靴下は登山用のものを履いているので、ある程度消臭効果がある。あと、濡れたとき用に靴下はさすがに替えがある。上着類は、洗わない。

で、この服。肌着だが、今回のGW上高地防寒対策その1となる装備だ。mont-bellの、ジオラインという製品群の上下。吸水拡散性・保温・制菌防臭効果を持つ。山用語では、いわゆる「ベースレイヤー」と呼ばれるウェアになる。

ヒートテックと違い、汗をかいても湿気を放出する機能に優れている。ちなみに登山でヒートテックはおすすめできない。ちゃんとした山用のベースレイヤーを買ったほうがいい。値段が高いのはそれなりに理由がある。

で、このジオラインだけど、お値段が高いので店頭で相当悩んだ。

ラインナップとしては、生地が薄い順に「クールメッシュ」→「ライトウェイト」→「ミドルウェイト」→「エクスペディション」となっている。そして、化学繊維のジオラインよりもさらにお高い商品群として、羊毛をつかった「スーパーメリノウール」シリーズも存在する。

https://webshop.montbell.jp/goods/list.php?category=71300

もちろん、厚手になればなるだけ値段は高くなる。しかも、数百円という単位ではなく。

上高地の寒さは昨年嫌というほど体感した。だから防寒をケチるべきではない。特に今回はダウン寝袋購入を諦めたんだし。しかし、ここで厚手の山用ベースレイヤーを買って、今後どれだけ使うだろうか?というのははなはだ疑問だった。タウンユースだったら安いヒートテックで十分で、むしろ日常使いでジオラインを使って生地がテロンテロンになるまで洗濯して駄目にするのは惜しい。じゃあ冬の山歩きをする機会が僕にはどれほどあるのだろう。たぶん、ほとんどない。

結局、悩んだ末に「上着はエクスペディション、下着はミドルウェイト」といかにも僕らしい折衷案に落ち着いた。冬の女子高生を見ろ。素足でミニスカートって人もいるだろ?上半身さえ保温できれば人間生きていけるはずだ。たぶん。人生で一度もスカートを履いたことがないので推測だけど。

そして、今回もっとも信頼しているのが、ハクキンカイロ。

いやホント、騙されたと思って買ってみてよこれ。一度この力強い暖かさと、それが持続するたくましさを体験してしまうと使い捨てカイロなんて二度と使いたくなくなるから。

ハクキンカイロのすごいのは、むき出しの状態で外気に触れていても、熱いということだ。使い捨てカイロの場合、外気にさらすと熱が外気に負け、冷えてしまう。しかしハクキンカイロはまったく問題ない。かじかんだ手を温めるときでも有効だ。

自宅近辺で日々使用しているときは、ハクキンカイロ専用のベンジンを燃料として使っている。コストが安いからだ。

しかし、こういう遠征の際にベンジンのボトルを持参するのは危ないしかさばるので、zippoのライターオイルを持ってきた。こっちのほうが缶容器の分コストが高いけれど、携帯性に優れている。

このカイロを寝袋の中に入れておけば、少しは快適に眠れるのではなかろうか。本当に、この存在を頼りにしている。もしあてが外れたら困る、というレベルで。

でも多分大丈夫。心配すべきこととしては、うっかり肌と密着して、やけどを負ってしまうことだ。このハクキンカイロの場合、低温やけどどころか、ガチやけどになりかねない高熱なので取り扱いには注意が必要だ。

18:38
日が沈んだけど、まだだ、僕の夜はまだ始めさせないぞ。

今ここで夕ご飯を食べて、寝る準備に入るわけにはいかないんだ。そうすると、この先12時間くらいずっと寒さとの戦いになる。

ギリギリまでテントには入らずに外で粘る。移りゆく景色を満喫する。

我慢できなくなったらテントに入る。そこから、のんびりと夕食を食べる。

さらにゆっくり読書をし、面倒くさくなったらようやく寝る。

キャンプだからといって、早寝するつもりはない。どうせ寝心地が悪くて熟睡できないんだし。いかにして、寝るまでの時間を粘るか、が大事だ。

だからといって、既に18時半の時点でマフラーを口に押し当てているような状態。ここまで我慢する必要があるのか、自分でも疑問だ。

そういえば、昨年GWの上高地では、昼間はTシャツ1枚になっているときもあった。しかし今回は、終始ソフトシェルを着込んだ状態だ。今年はちょっと寒いな。

梓川の様子を眺める。

大雨が降るたびに川の水流がどっと増えるので、川の周りは大変だ。中洲らしきところに木が生えているけれど、川の流れに根っこがさらされていて、もはや風前の灯火だ。この中州エリアそのものが濁流に飲まれてしまうのか、それとも耐えきるのか、今後が心配だ。

18:57
岳沢をバックに、宴会を始める。読みかけの本、つまみ、そしてノンアルコールビール。

あたりが暗くなってからでも読書を続けられるようにと、ヘッドライトも完備だ。ただしこのヘッドライト、ゴムの力がしっかりしているのでずっと装着していると頭痛がしてくる。

防寒は一応しっかりしている。マフラーだけでなく、軍手も装着だ。昨年は軍手なんて使ってなかったと思うのだけど、そこまでやらないと。

ノンアルコールビール3本と、つまみ。

実際にはこんなに飲んだり食べたりはしないのだけれど、「足りなくなったらどうしよう」という心配から、つい買ってしまう。

安心しろ、これだけの量のつまみを食べきる前に寒さに耐えきれなくなるから。

19:56
1時間粘ったところで、さすがに限界がきたのでテントに退却する。

案外粘ることができたのは、話しかけてきたおにーさんとしばらくつまみを囲みながら雑談をしていたからだ。真っ暗な中での会話なので、相手がどういう年齢でどういう顔立ちなのかさえわからないまま、闇鍋みたいなやりとりになった。

ふと空を見上げると、随分星が出ている事に気がついた。ああ、そうだったのか。

なにしろ灯りがない中でおにーさんとおしゃべりをしていたので、目が暗闇に慣れている。なので、星が特によく見えた。これはいい。

三脚を取り出して、シャッタースピードを20秒~30秒くらいであれこれ調整しながら撮影する。

ほら、北斗七星が撮影できた!

シャッタースピードをかなりゆっくりめにすると、ときどき面白い写真が撮れる。これなんか、偶然の産物だ。岳沢と吊尾根の上空に、飛行機の軌跡が写っている。

ただ、撮影は本当にいい加減だ。なにしろ、星座を全然知らないので「おっ、あの星を狙って撮影しよう!」という被写体が定まらない。せいぜい、北斗七星くらいだ。僕が知っているのは、それと別にカシオペア座とオリオン座だけ。

あと、夜空にカメラを向けても、ちゃんとカメラが狙った方角を向いているのかどうかがわからない。撮影後、液晶画面で写真を確認しても、小さな画面では星が写ったのかどうか判別が難しい。家に帰って、パソコンの画面を使ってようやくわかる。

調子にのってあれこれ撮影していたら、恐るべき勢いでカメラのバッテリーが消耗したので慌ててやめた。

20:00
僕が居を構えているテント村。

色とりどりのテントが鮮やかに輝いている。

とはいえ、実際に人間の目で見えているのはもっとくすんだ、薄暗い色だ。この写真は夜景モードで撮影しているので、ここまで明るく写っている。

実際、自分のテントの中はこれくらいの明るさだ。もっとランタンを明るくすることはできるのだけれど、明るくすると周囲のテントに迷惑がかかる。「光害」というやつだ。なので、明るさは最低限にとどめておいて、必要に応じてヘッドライトで光を増強する運用だった。

(つづく)

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