地上の楽園を普段使い【小梨平ソロキャンプ2019】

20:20
テントに籠もって、初日の夕ご飯を食べる。

本日のディナーは、先程半額で買ってきた「山賊焼弁当」だ。2階建てになっていて、肉だらけフロアとご飯まみれフロアに分かれている。食べごたえがあって、嬉しい。

とはいっても、今日はお昼ごはんも山賊焼だった。まさか一日2回も山賊焼を食べることになるとは思わなかった。お前、まさか山賊になる気か?

これだけでは寒いので、お湯を沸かして熱いスープを飲む。熱いスープを飲みつつ、冷えたノンアルコールビールを飲んでいるので矛盾しているな、と思いつつ。

薄暗い空間で過ごしていると、いかに「光」というのが情報量の増大を招いているのかを実感する。

今、この空間だと、チラッと脇に目線をやったところが既に暗くてよく見えない。頭のヘッドライトをしっかりと目標物に向けないと、見たいものが見えない。テントの中でさえ、そうだ。

逆にいえば、現代人は部屋の隅々まで明るく、街灯がしっかりと道を照らす道を歩いて暮らしているからこそ、ストレスフルなのかもしれない。目線をさっと反らしたところにも、情報が過密に存在するからだ。「暗い。見えない。だからわからないし、知らないで済む」というほうが、人間はギスギスしないで生きているのかもしれない。

20:53
一人で狭いテントの中でご飯だなんて、あっという間だ。景色を眺めながら、とか本を読みながら、といった優雅な時間の過ごし方はできない。ページがパッカーンと見開きにできる本なら可能だけど、文庫本や単行本だと無理だ。片手を本で塞いでしまうと、もう片手だけでご飯というのは危険。固形物でも汁物でも、このテント内でものをこぼすというのは大惨事だからだ。

そんなわけで、あっけなく夕ご飯を食べ終わり、寝る体制に入る。

眠たくなるまで読書は続けるけれど、いずれにせよ「寝っ転がる」しかやることがないからだ。

厚手の肌着を上下着込んで、登山用の分厚いソックス、ボトムス、フリース、ソフトシェル。さらにそこにゴアテックスのレインウェアを上下着込み、口と首はマフラーで覆う。そして寝袋の中には毛布を押し込み、熱々のハクキンカイロを入れておく。ここまでして、ようやく安心して寝られそうな気がしてきた。そうだ、レインウェアのフードを頭まですっぽりかぶって、口元を閉じておこう。

なにしろ、昨年は結露した水滴が顔に垂れてきて、睡眠が何度も妨害された。結露が落ちてきても顔に当たらなければどうということはない、顔じゃないところもゴアテックスで防御だぜ!というわけだ。

ありもので済ませるの、大事。おやすみなさい。

たぶん、22時過ぎくらいに就寝したと思う。

2019年05月03日(金) 2日目

06:29
朝5時過ぎくらいから、朝早いキャンパーたちがゴソゴソと動き始める。その気配で目が覚める。

一度意識が覚醒したら、そこからもう一度寝直すというのは難しい。かといって、朝5時に起きても寒い中やることがないので、じっと寝袋の中でうたた寝をして過ごす。

勝った。

俺は、上高地の寒さに勝った。

まどろみながら、勝利を確信した。もちろん夜中に何度も目は覚ました。しかしそれは「寒さに耐えかねて」ではなく、単に床が固くて体の節々が痛いからだ。キャンプなら当然のことで、僕の防寒体制が甘かったからではない。

もちろん、鉄壁のガードとはいいがたく、結露はあったし隙間風もあった。でも、「早く夜が明けないものか・・・」と日の出を待ちわびることはなかった。見よ、こうやって素晴らしい気分で夜明けを迎えている自分がいるぞ。

06:30
とはいっても、寒いっちゃあ寒い。気温は昨年みたいにマイナス4度までは下がらなかったようだけど、0度近くにはなったようだ。

熟眠感が足りないとき特有の、顔がベタついた感じなのと、むくんだ感じがする。顔の輪郭がたるんだような、そんな感じ。で、その顔の輪郭に冷気がさーっとやってくるので、思わず目をつぶってしまう。とっとと冷水で顔を洗って、しゃきっとしたほうがいい。

あと、やっぱり寒い。朝ごはんを早く食べに行こう。

06:34
朝6時から朝食営業をやっている、バスターミナルの上高地食堂に向かう。

梓川沿いを歩いていると、正面に河童橋が見てきた。

やあ、朝6時半なのにもう人がちらほらいるんだな。この界隈のホテルに泊まった人たちだろう。

06:37
河童橋たもと、五千尺ロッヂ。

バスターミナル方面から、続々と人がやってくる。この人らはガチ登山勢だとその服装やザックですぐにわかる。さすがに朝早くやってくる人は気合いが違う。それにしても早いなぁ。今日は槍沢を上り詰めて、槍ヶ岳山頂直下まで行くのだろうか?

06:38
河童橋と、岳沢と、奥穂高岳。

また撮ってるよ、この光景。岳沢好きすぎだろ。もし僕に子供が生まれたら、「岳」という名前でも付けよう。

いやちょっと待て、それだと山岳救助をテーマにした漫画の主人公の名前だ。あの人、最終話で死んじゃうんじゃなかったっけ。

・・・後で調べてみたら、その漫画「岳」の主人公の名前は「島崎三歩」だった。随分記憶が錯綜している。どっかの山小屋で暇潰しに読んだ漫画だから、曖昧な記憶だった。

06:42
ピシーっと並んだ、アルピコ交通の白いバスが美しい。でも、この時間にここにこんなに並んでいるとはびっくり。ということは、すくなくともこのバスの運転手さんたちはバスターミナル界隈に宿舎があって、そこに泊まっているということか。へー。そんな施設があるとは。

06:44
バスターミナルの建物1階。早起きの「おみやげ処ピッケル」は当然今日も元気に営業。その隣の河童焼きのお店、そばおやきのお店もこの時間にして開店していた。すげえ、さすがGWど真ん中。こんな時間から営業している飲食店とかお土産物屋さんって、日本各地の観光地でもそんなに多くないぞ?

(つづく)

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