地上の楽園を普段使い【小梨平ソロキャンプ2019】

09:09
明神池二之池で記念撮影を撮って、この地を後にする。

一之池も二之池も、浮世離れした美しさがある池だ。お金を払ってでも見る価値はある。しかし、二度三度と見たいかと言われると、ちょっと惜しい気がするのは事実だ。

僕みたいに何度も明神を訪れている人ならともかく、一生に一度この地を踏むかどうか・・・という人ならば、お金を払って池を見るのはおすすめだ。ただし、天気が良いときに限る。

09:13
さて、いよいよ「かふぇ・ど・こいしょ」に向かう。

嘉門次小屋から続く、笹の中の小路のところにお店の看板が出ている。その足元には、イーゼルで立て掛けた黒板に本日のスイーツが書き込まれていた。

今日は5種類のケーキが用意されていた。

開店時間は07:30でLOが14:30、閉店が15:00。かなり朝型の営業スタイルなのは山小屋ならではだ。

もっとも、ケーキが売り切れたらそのメニューはおしまいになってしまう。メニューをあれこれ選びたいなら、朝の早いうちに訪れたほうがよさそうだ。

焼き菓子じゃないので、大量に作り置きしてストックしておくことができない。「専属パティシエ」がその日作った分だけだ。手間暇を考えたら、売り切れたので追加作成!というわけにはいかないだろう。

山小屋「山のひだや」と、「かふぇ・ど・こいしょ」。

カフェは手前の黒板で増設された建物の部分になる。

09:14
「かふぇ・ど・こいしょ」店内。あれれ早くもお客さんが結構来ている。

天井からはガラスのランプがぶら下がっているのがこのお店の特徴。

ドラム缶を横倒しにしたような形をした暖房が入り口入ってすぐのところにどすんと置いてある。

ここに薪をくべて盛大に火をおこすと、この土間空間でも強力に暖かくなりそうだ。

09:18
あれ?

昨年まではなかったはずの、カウンター席が窓際に向けて作られていた。へえ、これはいいな、僕みたいな一人客ならなおさら。

カフェに限った話じゃなく、飲食店どこでも4人がけのテーブルなんかに僕一人が通されると、居心地が悪い。お客さんがその後次々とやってきたら、ソワソワしてしまう。席を移ったほうがいいのか、それとも退店したほうがいいのか、と。

その点、カウンター席はいいよな、一つの椅子で一国一城の主になれる。

この真新しいカウンター、とても爽やかな色合いで素晴らしい。よく見ると、テーブルの隅っこに注意書きが書いてあった。「木曽ヒノキを使っているので、荷物を置かないで」という内容だった。木曽ヒノキだったのか!それはすごい。

カウンターに荷物をおいてほしくない、という気持ちはわかる。特に山用品って、ジャラジャラしていたり突起が多かったりする。そういうものを無造作に置かれるとお店の人はハラハラしてしまうだろう。

このカフェは、首を捻りたくなるくらい旨いコーヒーが出てくる。澄んだ味なのは、豆の関係というよりも水が良いんじゃないかと思われる。コーヒーを飲んで、「良い水を使ってるなぁ」と感心した経験は、滅多にない。

そんなコーヒーも良いけれど、ケーキも見逃せない。これも、派手さはないものの質実剛健にうまい、プロの仕業としかいいようのない品々だ。

今日はクレームブリュレ、キャラメルチーズケーキ、シフォンケーキ、いちごのミルクレープ、ガトーショコラが用意されていた。まだ売り切れになっているものは一つもない。

ドリンクメニューはこれ。

オリジナルブレンドのコーヒーは800円。なので、2019年時点において、このお店における標準的な支払額は一人あたりコーヒー800円+ケーキ800円=1,600円程度、ということになる。

冷静になって考えてみると安くはない。しかし、全然高いと思わないのは、そう納得させられるだけのシチュエーションとクオリティがあるからだ。上高地から1時間かけて歩いてくる、という苦労があるからこそ、自分へのご褒美をあげたくなる。

「苦労したから安くなる」んじゃない。「苦労しなくちゃたどり着けないようなところで食べられるんだから、むしろ高くなる」のが山の飲食ルールだ。

いちごのミルクレープとオリジナルブレンドのコーヒーをいただく。ああ、いいなぁ。しみじみと美味しい。

09:33
とはいっても、お店の滞在時間はわずか20分程度。あと1時間7分でバスターミナルからバスに乗らないといけない。ギリギリの時間だ。

宿のおかみさんに事情を話し、「すいません!また来ますんで!今日は来られただけでもラッキーでした、ありがとうございます!」と言い、カフェを飛び出した。

やっぱり、上高地から下界に下りるっていうのは大変だ。「仲間とちょっと安曇野で昼飯を。」というレベルでの飛び入り参加なのに、半日がかりになる。そしてその「半日」というのは昼間のことであり、キャンプをやっていて「日が昇れば起き、日が沈んだら寝る生活」の僕にとってはまる一日が潰れるような印象になる。

(つづく)

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