地上の楽園を普段使い【小梨平ソロキャンプ2019】

07:38
小梨平食堂の中に、コーヒーベンダーがあった。レジで紙カップを購入し、この機械にセットしてボタンを押すとコーヒーがドリップされる。一杯ずつ豆を挽くのだという。

ボタンは4つあって、「ホットコーヒー」「アメリカンコーヒー」「コーヒー大」「アイスコーヒー」と記されていた。1杯200円だけど、「コーヒー大」は300円。

コーヒーの種類、温かい・冷たいが混在したメニュー構成だ。「アメリカンって温かいの?冷たいの?」とか、「アイスコーヒーの大はないの?」などといろいろ考えてしまう。もちろん僕だってバカじゃないから正解は類推できる。でも、不思議なものだな、このメニューでお察しできるんだから。

ボタンには、ホットコーヒーのところに「R」、アメリカンコーヒーに「A」、コーヒー大に「L」、アイスコーヒーに「ICE」と書かれてあった。ややこしい。うん、これも意味はわかるんだけど、直感的にはなっていない。

これを見てセブン-イレブンのコーヒーベンダーを思い出した。今は不評のためUIがリニューアルされたけど、初期の頃はデザイン重視のあまり使う人にとってわかりにくい作りだった。そのため、客によるボタンの押し間違いが多発し、在庫が合わない、とお店を悩ませたという。このときも、「レギュラー」を意味する「R」と「ラージ」を意味する「L」がボタンにかかれていた。単に「小」と「大」と書けばよかったのに、アルファベット表示のほうがクールだとデザイナーは考えたのだろう。

で、紛らわしいのが「R」ボタンが左側、「L」ボタンが右側に配置されていて、「Right」「Left」と考えたら左右逆だ。そこまで気にする人はいないけれど、気にしだすととても変なボタン配置だった。

あまりに押し間違いが多いのか、お店が独自にテプラで「大」とか「小」とか、「押し間違いに注意!」といったシールをベタベタと機械に貼りまくり、せっかくのスッキリしたマシンデザインが台無しということがネットで話題になったものだ。

ついでに言うなら、レギュラーのカップで、あふれることなくラージのコーヒーが注げてしまうというのも問題だった。そりゃ意図的な不正が横行しますわ。

07:42
食後のホットコーヒーをいただく。もちろん、「R」のボタンを押して。

テントに戻ればインスタントコーヒーはある。しかし、敢えて200円を払ってここで飲んでいるのは、ひとえに暖房代と思ってのことだ。ああ、温かい部屋はええのぅ。

08:57
1時間ほどぬくぬくと喫茶&読書を楽しんだのち、身支度して今日もトレッキングすることにした。昨日は明神に行ったとはいえ、そのあと下界におりて俗世間の空気を吸っていた。今日は改めて森の奥に潜り込んでひっそりと暮らそうと思う。明日は朝から下山だから、今日がラストチャンスだ。

昨日明神に行ったのだから、今日は逆方向で大正池方面に向かうのが筋だ。しかし、あっち方面は観光客が多く、どうも落ち着かない。特に団体客がワイワイやっているのは、見ていて微笑ましいけれど気が休まらないのは事実だ。

そんなわけで今回の上高地滞在では大正池に行かないことにした。代わりに、また明神へ。そしてさらにその奥にある徳沢に向かうことにした。

上高地から明神まで1時間。明神から徳沢までさらに1時間。片道2時間往復4時間のコースだ。平坦な歩きやすいルートとはいえ、よく考えてみるとそれなりの長丁場になる。

こうやって、ひたすら黙々と歩いているうちに心と身体が整ってくる。

写真に写っている僕は、首までソフトシェルのチャックを上げて寒そうにしているのがわかる。まだ朝9時前だと、空気が温まっていない。そして自分の身体も、まだ温まっていない。

08:59
昨日通った道を逆方向に歩いている。

昨日はバスに乗り遅れないように、と急ぎ足で通り抜けていったけれど、改めて落ち着いて周囲を見ると残雪がところどころ目立つ。

09:00
朝日が差し込みにくい西側斜面はご覧のとおり雪がびっしり。

昨年はこんなことがなかったので、今年は特に残雪が多いようだ。

09:07
苔むした倒木。倒れてから何年が経つのだろう。

良い写真を撮ろうと思って身構えたのだけど、出来上がった写真はなんの変哲もないものだった。うーん。

09:09
ここだけ白い石ころが溝になって山の上から連なっている。雨が振ったら川になるのだろう。草木が生えていない。

09:10
それにしても快適な散歩道だ。

「散歩」としてこういう道を歩けるのは、本当に幸せなことだ。以前も述べたことがあるけれど、いつもなら「これから山に登るよ!」とか「ヘトヘトで下山してきたよ!」という状態でここを通過しており、景色を楽しむ余裕がない。しかし、今日は特に予定がないという僕にとって、なにか気になるものが立ち止まればいいし、気持ちの良い場所があれば座り込んで読書を始めたっていい。この気楽さが素敵だ。

極上の世界を普段使い。

09:15
巻き道に出た。

梓川の急流によって岸がえぐられ、川沿いにあった登山道が崩れてしまった場所だ。

本当ならこのまままっすぐ歩けたはずなんだけど、ここだけ迂回するために上り坂になる。快適な平坦な道なのに、ここだけ上り坂でちょっと悔しい。

カラーコーンが置いてあって、崩れた道への立ち入りが制限されている。しかしこの道を直している気配が以前からないので、もう復旧はできないのだろう。おかげで、巻き道がしっかり踏み固められ、「暫定的な道」という雰囲気を残していない。

09:15
通行禁止になっている道。どこか崩れているのだろうか、と目をこらしてみたけれど、ここからは確認できなかった。

09:22
梓川の河原すぐそばに道が出た。左手に明神岳がはっきりと見える。

正面が5峰で・・・ええと、あとがわからないんだよなぁ。

(つづく)

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