地上の楽園を普段使い【小梨平ソロキャンプ2019】

06:45
上高地バスターミナルの二階、上高地食堂にやってきた。

建物一階の階段前に、「ご朝食メニュー」と書かれた立て看板がお出迎えしてくれる。河童が「Welcome!!」と呼びかけてくれているのも微笑ましい。ああ、お前が待ち遠しくてこの寒い一晩を乗り越えたんだ。早くウェルカムされたい。

当たり前の話だけれど、まだ僕にとっては「寒い夜」は終わっていない。延長線上にある。

寒いテントから外に出ても、外気はほとんどテント内とかわらない温度。日が差してきてようやく暖かくなってきたけれど、それでもジワジワと、だ。ドアをあけて中に入ると冷房がきいている・暖房がきいている、という文化的生活に慣れていると、環境の変化というのは時間を要するものだということを実感する。

逆に、「冷たいジュースを飲む」だとか、「温かい部屋に入ってほっと一息着く」なんてのがいかにfう自然であり、つまり体に負荷をかけているのかということがよくわかる。

たぶん、キャンプ生活を一ヶ月とか過ごしていると、僕自身が随分オーガニックかつスローな生活を目指す人に生まれ変わりそうだ。しかも、煩悩を捨てきれないままでの変化なので、胡散臭さも身にまといつつ。いわゆる自己啓発・宗教じみた自然回帰主義みたいな。

・・・それは駄目だな、やっぱり僕は煩悩の中で悶々としてジタバタしている方が性に合っていると思う。大自然暮らしを続けるのは、やめておいたほうがよさそうだ。

上高地食堂の中に入る。

この時間にして、結構な数のお客さんがいてちょっとびっくりした。昨年のGWよりも多い。

みなさんの身なりを見てみると、「さあこれから登山を開始するぞ」という感じの人は少ないようだ。かといって、ホテルに泊まっている人が素泊まりプランで泊まっているとも思えない。おそらく、僕と同じ、小梨平キャンプ場でテントまたはケビンで暮らしている人たちがやってきたのだろう。

みんな、寒い夜を乗り越えてきた仲間だ。おめでとう!

06:48
自分にも「おめでとう!」と祝福を与えるために、朝ごはんを頼もう。

トーストセットが圧倒的に安くて大変に結構なのだけど、キャッチコピーの「忙しい朝にサッと栄養チャージ!」という言葉が気に入らない。むしろ、サッといくよりもズドンと腹に何か温かいものを滞留させたいんだ。それだったら、トーストという選択肢はない。

06:54
そんなわけで、和食 朝定食(900円)をチョイス。

やっぱりご飯をお腹に入れたときの、胃袋がズシッと重たくなる感じは異常だな。満足感がパンやパスタよりもはるかにある。

鮭の塩焼きを食べて、その塩辛さでご飯をずいずいと食べて満足。

07:22
そして、追加料金を払ってホットコーヒーもいただく。

まだ体が冷えているので、暖房が効いているこの部屋の中でしばらくとどまっていたい。今すぐテントに戻っても、まだうすら寒くて何かをやりたい気分にはなれない。

岳沢を眺めながら、コーヒー時間。

07:31
今回持参した本は4冊。荷物でパンパンなのに、敢えて持ってきた。「読む本がなくなったらどうしよう」という余計な心配のためだ。

  • 消えた言葉(橋本 治)
  • 「地図感覚」から都市を読み解く: 新しい地図の読み方(今和泉 隆行)
  • マツダがBMWを超える日 クールジャパンからプレミアムジャパン・ブランド戦略へ(山崎 明)
  • 海辺のカフカ(上)(村上 春樹)

この期間中、半分読むのがやっとかなぁ。

08:07
バスターミナルのチケット売り場に顔を出す。

今日は下界に一旦戻り、カフエマメヒコの安曇野遠足にチラッと参加する予定だ。そのためのチケットと整理券を入手しておく必要がある。

安曇野遠足は、行き当たりばったりのランダム旅なのでどこに向かうか不明だけれど、ひとまず遠足参加者の一人が新島々駅まで迎えに来てくれることになっていた。なので、それにあわせて10:40上高地初のバスに乗ることにした。

あと2時間半後だ。

08:15
2時間半の間何をして過ごすのか、というと、明神まで足を伸ばすことにした。

明神の山小屋「山のひだや」に併設されている「かふぇ・ど・こいしょ」に行き、そこで絶品のコーヒーとスイーツを食べたかったからだ。

明神までは往復で2時間ちょっとかかる。残り2時間半という成約の中ではギリギリだけど、なんとか行ってこよう。

08:22
梓川右岸の木道を歩いていく。

いつもならここは明神から上高地に向かうときに使っているので、逆方向の徒歩は結構新鮮だった。

ちなみに梓川左岸の道のほうが、明神までの所要時間が短い。急いでいるときは本来こちらを通るべきではない。

08:22
木道、新緑、そして雪山。

足元にはまだ溶け切っていない雪が残っている。素敵な朝だ。

凶悪だった寒さも和らぎ、今や心地よさを伴うそよ風となっている。

(つづく)

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