近場の無縁だからこそ【甲府滞在記】

冬の風物詩だな。

また、今年の冬もおかでんの調子が優れない。「季節性うつ」なんて病気は患っていないのだけれど、体調と気分、そしてやる気のバランスが冬になると取りづらい。

昔なら、「まあ酒でも飲んでまったりしようや」ということができた。しかし断酒して以来、そういう逃げ道というか、現実逃避ができなくなった。自己診断だけど、「酒断ち前」と「後」とでは、僕自身の性格は変わったと思う。

酒を止めて以降は、もっと細かい性格になった。ToDoリストを作って、「キッチンのガスコンロは毎週月曜日に掃除!風呂釜の過炭酸ナトリウム洗浄は毎月1回!」などとあれこれ生活を窮屈に管理するようになったのは、断酒のせいだ。気持ちを緩ませることができなくなった結果だ。

もっとも、酒を飲んでいたころはおおらかすぎて、「キッチンに汚れ物が多すぎて、自炊を断念する」というくらいだったので昔がよかったわけではない。「自炊はしたいけれどキッチンを掃除するのは大変すぎるので、料理教室に通って料理欲を満たす」というわけのわからない時期があったくらいだ。

膨大なToDoリストで、規律ただしく生活はできているけれど、冬になって寒くなると体がそれに追随できなくなるんだと思う。あれもやりたい、これもやらなくちゃ、それはまだやってない、というのが積み上がっていく。で、「わー、もう全部投げ出して出奔したい」となる。

それが今年もやってまいりましたよと。

その手の出奔旅行記が膨大すぎるのでリンクを貼るのは省略するけれど、毎年のように冬には温泉に籠もっている。さて今年はどうしよう?

一人暮らしで金銭を自由にコントロールできる立場。でも、だからといって贅沢な旅行をする気にはなれない。沖縄の離島とか行くと楽しいんだろうなあ、とは思うが、たった一人の療養旅行でそんな楽しげなことをしたくもない。遠くない場所で、非日常感がちょっとあって、かといって「旅行だ!観光だ!」とあまりウキウキしすぎないのが望ましい。

定宿としたいと思っている那須湯本の「民宿松葉」は空きがなかった。他にも、一人客を受け入れてくれる温泉宿を探したけれど、あまり見つからないし諸条件が微妙だった。

こうやって検索して悩むこと自体がうんざりなので、温泉は諦めた。もういい、大浴場があるビジホでいい。

それだったら、ということで思いついたのが山梨県の甲府だ。

甲府は、駅前一等地と呼べるところであっても温泉が湧く。あまり知られていないけれど、駅界隈のホテルで大浴場が温泉というところはいくつもある。

甲府そのものは、南アルプス登山の際に経由地として立ち寄ったことがあるのと、あとは数えるほどしか用がない。知っているようで、あまり知らない場所だ。欲を出して探検しまくるほど町が観光スポットに満ちているわけでもなく、かといって退屈するほどの場所でもない。そして、東京からほどよい距離感。

旅情と、都会の喧騒からの逃避と、ある程度抑制されたコストとを両立できそうだ。

僕が愛するビジホ、ドーミーインの予約がとれたことだし、今回は1泊2日で甲府療養の旅をすることにした。

なお、この記事は2019年2月の出来事を書くが、それから1年半後の2020年7月に、再度似たような旅行を行っている。既に2020年版の記事は掲載済みで、内容はかなり重複する。

今回これから書く記事が、「うわあ、甲府ってこんな場所なのか!」と最初に驚いた回となる。

2019年02月08日(金) 1日目

08:57
新宿駅。中央線特急あずさに乗って、甲府を目指す。

新宿を出たら、三鷹、八王子、その次が甲府。あっという間だ。

この手の旅行計画は、ウジウジと過ごしていて、前日午後になってようやく決心して、宿や交通機関の手配をする。なので、「さあ!これから旅行だ!」というワクワク感や、待ってました!感は皆無だ。頭が全然切り替わっていない。

そんなわけで、気分切り替え用として麦汁エナジードリンク・ドライゼロを用意してみた。これを車内でプシュッとやると、俄然旅情が湧くのではないかと。

でも、いまいちだなこれ。飲めば飲むほど、「だからなんなんだ」感が強くなっていく。酔わないから。そして、別にのどが渇いているわけでもないから。

これが一日の終わりなら、「お疲れさまでした感」が出て、ノンアルだろうがなんだろうが飲んで楽しいものだ。でも、朝イチならば全然納得感がない。

これまで惰性でノンアルビールを旅行の冒頭で買ってたけど、これならもう買わなくていいかもしれない。

10:36
1時間30分ちょっと。甲府盆地に電車はやってきた。

10:42
甲府駅到着。

乗っていた電車は、もうじき中央線特急から退役することになっている型だった。今回の旅で乗り納めかもしれない。今後は、スーパーあずさと同じ型の電車に統一されると聞いている。

貨物列車が駅構内に停まっていた。

普段都心部のJRや地下鉄、私鉄しか使っていないので、たまにこうやって貨物列車を見ると「おおお」と思う。特に、貨物列車が動き出した際に、貨車がガチャンガチャン!と音を立てて引っ張られる様は、エキサイティングだ。

バカみたいだな、昔広島に住んでいたときは山陽本線を間近で見られる場所に住んでいて、貨物列車なんて嫌というほど見ていたのに。それどころか、深夜に寝台特急列車が轟音を立てて走り抜けて行って、それが嬉しいとともにやかましいと思ったものだ。

今じゃ、寝台特急なんてほぼ全滅だから・・・。おっといかん、年寄りの昔語りみたいになってしまった。

いずれにせよ、こういう貨物列車だけでも旅情感が得られるのはいい。出奔した甲斐があったというものだ。「南千住に行けよ」とか「武蔵野線の駅に行けよ」なんて言うなよ?それだと、貨物列車は見えても旅情はない。

10:43
旅情ついでに、意味もなく身延線のホームを見に行く。

鉄道好きであるかどうかを問わず、「線路が行き止まりになっているホーム」ってロマンだよな。ここから始まって、ここで終わるというところにグッとくる。

もっとロマン的なのは、小田急線新宿駅や西武池袋線池袋駅みたいに、行き止まり線路+それを挟み込むように存在する凹型ホームだと思っている。しかしこれらの駅はあまりに人の往来が激しくて、ロマンを満喫する余裕がない。

そんなわけで、身延線のホームを見て、特急ふじかわを見て、それだけで満足。

満足ついでに、思わず橋上駅舎の立ち食いそば店の写真を撮ってしまった。なんの意味があるんだこれ。

たぶん、「今後、南アルプスに登山する際、バス待ちの間にメシを食べる場所の候補」として記録を残したんだと思う。でも、2017年に仙丈ヶ岳に登った際も、ここでまったく同じ写真を撮ってるんだよな。

単に記憶力が落ちているだけだ。

小淵沢の駅弁店、丸政のお店が駅構内にある。「MASAICHI」と名乗っているのでわかりにくいが、「高原野菜とカツの弁当」ののぼりがでているので「ああ、丸政か」とわかる。僕はまだ食べたことがないのだけれど、この弁当はレタスがシャキシャキでうまいと聞く。

駅弁一覧 | 駅弁の丸政

今回は駅弁を食べる機会はないので、一応参考として写真を撮っておく。

甲府は、いろいろ食べ物の種類がある。今日から明日にかけて、あれこれ食べよう。

ああこれこれ。中央線特急。

2019年3月16日、つまりあと1か月ちょっと後にE353系の電車に全部切り替わる。そして、「自由席」という概念がなくなる。逆に、全部の席が「指定席にもなり得る席」ということになる。自分が座っている席に、座席指定の人がやってきたら立ち退かないといけない。

それよりもなによりも、このタイミングで「あずさ回数券」が廃止になるのが大きい。この回数券はかなり割引率が高く、高速バスと激しく乗客シェア争いをしてきた。そして金券ショップに大量に回数券が横流しされ、僕みたいな旅行客は定価よりも随分と安くあずさに乗車することができた。

回数券が廃止になると、僕みたいに「回数券前提で、中央線特急に乗っていた人」からするとずいぶんと割高なイメージになる。さて、今後どうしようかな。

(つづく)

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