疲れ果てて雪国【那須湯本】

駅東口

14:24
「浸しそば」を食べたあと、まだ時間に余裕があるので駅の東側に行ってみた。

するとそこには、急に庶民的な空間が展開されていた。なんなのこれ。新幹線駅のロータリー脇に、普通の一戸建て民家が建ってる。

ぐるっと見る限り、コンビニもスーパーも喫茶店もない。これは駅の東西ともにそうだ。「新幹線一本で東京!」とはいえ、さすがにここまでくると「東京のベッドタウン」としては無理だったか。だとしても、こんなにのどかだったのは衝撃だった。

在来線と交差していない、新幹線単独駅というのはおおむねのどかだ。しかしここは東北本線が走っており、それにしてはこの開けてなさっぷりは驚きだ。調べてみたら、この駅を作るにあたって相当場所選定で綱引きがあったらしい。その結果、特に町があったわけではないこの地が駅になったと思われる。確かにそうだ、ここだと、市街地が広がる黒磯から離れているし、那須湯元方面に伸びている「那須街道」からも外れている。ちょっと那須の玄関口にしては、場所が変だ。

大田原市行きのバスがこのロータリーから出発するようだ。大田原市といえば、非常に高級なお肉「大田原牛」の産地として名高い・・・が、それしか知らない。

ホテル

14:25
ロータリー脇にあるビル。「HOTEL」という看板が出ている。なんだか唐突感があるが、「那須塩原ステーションホテル」というらしい。新幹線駅前にしてはちょっとわびしい感じもするが、かといって「那須連山の眺望が抜群!展望風呂」とか銘打って豪華にすりゃ客がくるかというとそうではあるまい。ビジネスユースの利用を前提にしているだろうから、この感じでよいのだと思う。ちなみに一泊朝食つきで5,400円くらいだったと思う。激安、というほどではない。

不審者情報

14:27
駅西口に戻る途中の渡り廊下にあった張り紙。「特殊詐欺犯人逮捕にご協力を」と書いてある。なんだその「特殊詐欺」って。

特殊詐欺の定義については何も触れられていないのだが、どうやら「オレオレ詐欺」にあたるものを指している言葉らしい。しらんかった。でもこんなのでよいのだろうか?オレオレ詐欺に引っかかるような人って、ご高齢の方が多いわけで、「特殊詐欺犯人」とかいう表現を使って、果たして通じるのかどうか。肝心の被害者予備軍の人に要旨が伝わらなかったらあまり意味がない。

「どうせ年寄りが引っかかるものだろ?」と思っていたら明日は我が身だ。一応中身をチェックしておく。

こんな奴に「ピン」と来たら通報を!!

一見して若い(幼い)顔立ち
営業マンらしくないボサボサ頭
ヒゲを生やしている
やたら携帯電話で話をしている

スーツが体に合っていない
ネクタイの結び目が変

ズボンの丈が長い又は短い

なんだか笑っちゃうようなプロファイリングだが、警察署が作成したビラなので嘘大げさではあるまい。実際に犯人というのはこういう人種なのだろう。

要するに、ちゃんとしたビジネスマンだったら身だしなみなど最低限の常識だけど、それすらできない(知らない)人というのは疑ってかかってよろしい、ということだ。スーツのサイズがあっていないというのは、誰かから借りて着ているということなのだろう。

よかった、この容姿に僕はまったくあてはまらないぞ!だから僕は安心!僕はジャスティス!単に一見して「おっさんの顔立ち」だからなぁ。

皇室専用の出入り口

14:29
駅の西口には、フェンスで区切られた空間がある。そしてその奥には木の扉。中の様子はうかがい知れない。どうやらここは那須御用邸に向かわれる皇室専用の空間、ということらしい。

黒磯駅にも同様の扉と空間があるが、さすがに御料車が運行されない限りその設備が使用されることはあるまい。現在の皇室はほとんどを一般の列車を利用するので、必然的に「新幹線で那須塩原駅、そこから車」というルートになる。黒磯駅としては悔しい思いをしていることだろう。

こういうところをウロウロしていたり、フェンスを乗り越えたそうにモジモジしていたらどこかから警備員がすっ飛んでくる気がする。無防備に見えるけど、ちゃんと監視されているはずだ。おかでんの名を公安の要注意人物リストに記さないためにも、ここはとっとと撤退しよう。

バスがずらり

19:34
いつの間にかバスがずらりとならんでいてびっくりした。なんだこれ。大繁盛じゃないか。

この駅からは、板室温泉行きのバスも出ている。板室温泉も、那須湯元同様山あいのいで湯だ。那須湯元からさほど遠くないが、これまで一度も訪れたことがない。今回、板室温泉に宿を取ることも考えていたが、「行ったことがない場所に行く」という選択肢はなんだか観光する気満々なのが透けて見え、気に食わなかったので却下した。お前はおとなしく療養してりゃいいんだよ、何度も行ったことがある那須湯元でおとなしくしてやがれ、というわけだ。

那須湯元行きバス

14:35
というわけで那須温泉(那須湯元)行きバス。扉が閉まっているので、「あれっ?何かの間違いか?」と心配になったが、単に扉が開けっ放しだと寒いので、客がいない間は閉めているというだけのことだった。乗車拒否だったらどうしようと思ってしまった。

バスは客がほとんどいない

バスはごらんの通りがらんとしている。1時間に1本なのだから、その限られたバスに客が殺到・・・ということはないんだな。乗客数が少ないからバスも少なくなる。バスが少なくなるからますます乗客数が減る、という循環。

やめろやめろ、景気の悪い話はやめろ。よーし俺様がぱーっと景気よくこれから那須湯元で連泊してやるぜ。那須の景気は一気によくなるぜ、なにせ豪遊だからな?芸者も呼ぶぞ、コンパニオンも呼ぶぞ、山の宿だけど、刺身船盛りとか南国フルーツとか取り寄せるぞ。ふるさと創生だぜ。

うそですごめんなさい。

いざ、温泉へ

豪遊すると豪語する人の顔がこれ。こんなさえない表情で豪遊ができるわけがない。期待させてごめんなさい。

耳にウオークマンのイヤホンを差し込んでいる。この頃の僕は、外出の際は「歩いているときはウオークマンでポッドキャストを聴き、電車の中やホーム上ではスマホを見ている」ということをずっとやっていた。常に情報の洪水に飲まれている状態。「効率よく生活していないと気がすまない」という状態だったので、本当にひたすらこんな感じだった。そして家で風呂に入っているときも、「何もしていない時間はもったいない」とスマホ(防水)または本を持ち込んでいた。脳が休まる暇がなく、相当カリカリとしていたと思う。その反動で、ぐったりしてしまったのだった。

今回、温泉療養というのはそういう「常に何か情報を詰め込み続けないと不安」という状況をなんとかしたいという考えがあったからだが、その療養に向かう途中に既にポッドキャストを聴いているという時点でまだ「気づき」が足りていない。

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