疲れ果てて雪国【那須湯本】

外は雪

15:03
バスは黒磯駅に立ち寄ったのち、那須街道で一路那須連山に向かっていく。

周囲はすぐにまばらな林に姿を変え、その開放感がリゾート感をかもし出して車窓の光景がとても楽しい。もし木々が密集していれば、単に暑苦しい見慣れた「雑木林」で、やらしい本でも落ちていないか探したくなるが、那須高原の林はもっと世俗離れをしている。

そしてところどころにあるお店も、景観条例があるからか地味な茶色い看板で、そういうのも見ていて面白い。いつもの見慣れたコンビニとかファミレスの看板も、この辺りは目立たないように明るい色を控えている。

15:27
那須湯本に到着。

那須湯元

バス停は、温泉神社の参道入り口にある観光案内所前にある。バス停を下りたからといって、そこに土産物屋が並んでいたり、飲食店があったりするわけではない。・・・あ、そうだ、あったっけ。青木屋という蕎麦屋がこのバス停近くにある。以前食べにきたことがあったけど、あれからはや10年。今の自分を見て「老けたなあ」という気はさらさらないが、まさか「療養」名目でこの地を訪れることになるとは思わなかった。「娯楽」で訪れる場所という認識しかなかったからだ。

そんな「療養目的の地」にふさわしい光景が広がっていた。ひょう、と吹きすさぶ風。除雪しきれず、白い雪に覆われた路面。ただ一人の乗客だった僕を降ろしたあと、チェーンのガラガラという音を立てながら転回するバス。なんか、後戻りができないところに来ちゃったなあ、という気がする。情報の洪水に溺れていた僕にとっては、既にこの光景だけでも「この世の果て」に来た感じがする。

それでも、悲壮な覚悟があったりするわけではない。療養とはいっても、自分が好きな温泉に行くからだ。好きなことをやって体と心が楽になるなら、こんなによいことはない。「やせるために毎日走る」とか、「血糖値を下げるために甘いものは我慢する」といった苦労とはちょっと次元が違う。まあ、その程度で済んでいるんだからまだ僕は幸せだと思う。

選挙ポスター

選挙ポスターが掲示されていた。ちょうど数日前、衆議院議員選挙があったばかりからだ。その掲示板には、渡辺喜美の笑顔があった。あー、この人、落選しちゃったんだよねえ。これまで栃木三区は親の代から磐石の態勢だったはずなのに。自分で立ち上げた「みんなの党」を自分で壊し、そしてそのまま落選というこれ以上ない自爆の一年だったな。次の選挙には出るのだろうか?もう出ないかもしれないから、記念に写真撮影しておこう。

この人、ネタ的要素が強い人ではあるけど、2009年の総選挙の時には得票率95%をたたき出したとんでもない人だからな?それがわずか5年後には落選なんだから、なんだかなあもう、といった感じ。

鹿の湯に通じる道

15:32
那須湯本には多くの旅館やホテルがあるが、温泉街と呼べるようなエリアは存在しない。巨大ホテルがぼこっとあったり、バラバラとあちこちに宿が散らばっている。しかし、そうはいっても共同浴場「鹿の湯」近くには元湯民宿街と呼ばれるエリアがあり、ここに民宿が何軒か軒を連ねているらしい。

「らしい」というのは、その民宿街を散策したことがないからだ。鹿の湯には何度も訪れたことがあるが、鹿の湯から下流側に伸びている民宿街はちらっと覗いたことがある程度だ。こんなところに泊まる人っているのかねえ?と当時は不思議に思ったものだ。

でも、地元の人いわく、この「宿に風呂場すらないような小さな民宿」に泊まって、鹿の湯に入浴するというスタイルがあるのだという。安く泊まれるし、お湯は天下の鹿の湯だ。とても効果的なんだそうだ。へー、とそのときは思ったものだが、今回まさに僕が選んだのがこの方式だった。

今日からお世話になる宿はこの民宿街の中にあり、宿に風呂はない。そのかわり一泊二食で6,300円程度で済み、とてもリーズナブルだった。安い、ということは療養をする上で大事だ。出費が痛いとかいう以前に、「平日にのうのうと休んでサボりやがってよ」という罪悪感から逃れるためにも、贅沢はできなかったからだ。

雪で埋もれる

鹿の湯及び民宿街がある谷に下りていく道は、完全に雪に覆われていた。こんな雪の中を歩く馬鹿はいない、ということでか、足跡がほとんどついていない。本来なら、別ルートに迂回するものなのだろう。しかし、馬鹿正直にこの道を下っていくことにする。
さすがに寒い

想像をはるかに超える寒さに、思わずアウターのフードをかぶってしまう。写真撮影のための誇張表現ではなく、本当にそうしたくなるくらいの寒さだった。



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