13:09
2020年、COVID-19が流行ってからというもの、街でも森の中でもよく見かけるようになった落とし物がある。
それはマスクだ。
ポツポツと、道端に白いものが落ちている。なんだろう?と思って近づくと、決まってそれはマスクだった。マスクをポケットに入れて歩いていて、途中で落としたのだろう。
この「マスクの落とし物」をよく見かけたのは、2020年-2021年頃だった。おそらく、2022年頃になるとマスクの落とし物は減った。みんな、マスクを落とさないように収納場所に注意を払うようになったのだろう。
13:34
明神にやってきた。
昨日は休業していた、「山のひだやカフェ・ド・コイショ」を目指す。宿の軒先に車が停まっているし、今日は営業しているっぽい。
お。やってた。
わかりにくいが、これでも営業している。
明神というのは一大観光地だ。上高地までやってきた一般の観光客でも、時間と気力に余裕がある人はここまで歩いてやってくる。そんな人が多い場所にもかかわらず、隠れ家的に素敵なカフェが営めているのは、この外観によるところが大きい。
カフェは大きなガラス窓で開放的になっている。しかし、電気による照明がないお店なので、外から見ると薄暗く見える。なので、あまり目立たない。
お店の入り口にあったメニュー黒板。
今日は「クレームブリュレ」と「シフォンケーキ」の2種類が用意されていた。
このお店は多くの場合4種類程度のケーキが用意されているが、COVID-19で明神まで訪れる客の数が減ったからだろうか、ケーキの種類を減らしていた。
カフェ・ド・コイショの店内。
昼間でもランプが灯されている。
この写真は明るく見えるが、実際に人間の目で見るともっと薄暗い。そして、ランプがたくさん並んでも、大して明るさ向上に寄与しいていないことに驚かされる。
お店のおかみさんとご挨拶をする。昨年11月以来。
「今度、赤ちゃんが生まれるんですよ」と報告したら、とても喜んでくれた。「上高地にゆかりのある名前に出来ればよいのですがねぇ」と話をしたら、一緒になって考えてくれた。
横尾からここまでの道、生まれてくる赤ちゃんの名前は何にしようか?という話を夫婦ふたりでずっとしていた。
音の響きが良い、とか流行りの漢字、といった理由で名前をつけるのは、僕の希望ではなかった。何か、僕らが見たもの、感じたものにリンクしたものにしたい。
「だったら、男の子が生まれたら『豆彦』にするのが良いのではないか?」という話が出たが、さすがにそれは直球すぎるのでやめるつもりだ。僕らが知り合ったのは、「カフエマメヒコ」の北海道遠足がきっかけだからだ。
「女の子が生まれたら、『小梨』がいいかも」
と話した。今晩宿泊する、小梨平からとった名前だ。ただ、「子無し」にも通じる言葉なので、縁起が良くないかもしれないのでちょっと思案のしどころだ。
じゃあ男の子だったらなんだろう?と考えていたら、先ほど徳沢と横尾の間を歩いていたら、カツラの落ち葉が甘い香りを発していてとても心地よかったことを思い出した。「カツラ、というのもいいかも」
確かに思い出とリンクしているが、カツラという名前は果たしてどうなのか、いまいちしっくりこない。
ちなみに、僕の母親は生まれてくる孫が楽しみすぎて、「きっと男の子よ!大きく育つわよ、きっと」と言い、勝手に「大ちゃん」という名前をつけて呼び始めた。LINEでのやりとりや電話上であまりに「大ちゃん大ちゃん」と言うので、今更僕らが「大ちゃん」ではない名前にするのは気が引けるという状況にまでなっている。
「上高地近辺で、何か大ちゃんという名前に通じる地名とか史跡とかないだろうか?」と考えたら、「大天井岳(おてんしょうだけ)」があることを思い出した。
「えー?名前がオテンショウというのはちょっと・・・」
子どもの名前はいくら考えても結論が出ない。きりがない。
「おっ!」と驚いたのが、飲み物のメニューの脇に「冷たいお飲み物」というメニューがあったことだ。
昔、このお店は「氷が作れないので、冷たい飲み物は提供していない」とのことだった。でも、いよいよ冷たい飲み物をはじめたらしい。
Flower of KAMIKOCH。
今日は珍しくショーケースの電気が灯っていた。
ショーケース内には、焼き菓子がどっさり。こんなに在庫があるのは初めて見た。ケーキの種類が限定的なので、ケーキが売り切れた用に多めにストックしたのかもしれない。
ショーケースの電気がついていないときは、せっかくクッキーなどが陳列されていてもその存在に気が付かないことがあって、惜しい。
これだけ「カフェ・ド・コイショ」の焼き菓子が並んでいるのは稀有なので、写真を撮っておく。ちなみに、どれを食べても美味しいので、売っていたら迷わずに買って損はない。
どれも美味しく感じるのは、「徳沢まで歩いてきたぞ!」という高揚感のせいだろうか?それとも本当にどれも美味しいのだろうか?というのがわからなかったのだが、甘いものが好きないしが言うのは、実際のところ美味しいのだそうだ。
写真に写っているのは、上から
ビスコッティ(くるみ、クランベリー、かぼちゃの種)
ママちゃんのお気に入り
オートミールのクッキー
「ママちゃん」というのは、この宿のおかみさんのこと。
3種のクッキーボックス
ココナッツ
メレンゲ
ブールドネージュ
フロランタン
ガレット・ブルトンヌ
今晩は小梨平のケビンで一泊だ。夕食を早々に終え、長い夜を過ごすことになるだろう。そんなときに、お菓子があると楽しい。いしはいそいそといくつものお菓子を買い込んでいた。
この陳列されている焼き菓子は店内で食べることもできる。なので、コーヒーのお供としてケーキを食べる気分じゃないな、というときはこの焼き菓子を食べるといい。ただし、在庫は不安定で、売り切れているときもある。
(つづく)
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