新島々行きのバスが到着しているが、まずは荷造り。
バスターミナルすぐ近くにデポしておいたザックに、お土産となるクッキーなどを詰める。
小梨平でケビン泊をしたのですっかり忘れてしまいそうだが、僕らは今回の旅行でテント泊もやっている。そのため、こまごまとした荷物がザックの中に多く入っている。クッキーを詰める際は、押しつぶしてしまわないように注意が必要だ。
「潰れないように私が持ちますね」
といしが何故かすごく嬉しそうに言う。
「待て、それは家にたどり着く前に食べてしまおう、ということか?」
「家まで長いですし」
あまり理由になっていない気がするが、きっとそういう展開になるのだろう。
17:06
新島々駅に到着。
松本から電車が到着して、降りるお客さんが全部ホーム上からいなくなった後に入場改札が行われる。それまでの間は改札口の外に行列を作って待つ。それが新島々スタイル。
松本行きの電車がやってきたので、乗車。この電車に乗ると、一気に下界に戻ってきた感がある。
17:55
松本駅に到着後、駅ビル4階にある「松本からあげセンター」に行く。ここで山賊焼きを食べよう、と考えているからだ。
いつも混んでいるお店なので、特急あずさへの乗り換え時間が30分程度しかない場合は入店できない。1時間くらい余裕があってこそ、訪問できるお店だ。
この日も、店頭にはお客さんがいっぱい待っていた。コロナ真っ盛りで、上高地がガラガラだったのに。さすがメガシティ松本は違う。
この界隈には山賊焼きを提供するお店がいっぱいある。この「松本からあげセンター」以外にも美味しい山賊焼きを振る舞うお店はきっとあるはずだ。でも、「このお店でいいや」と思えるだけの立地条件の良さと、味の良さと、量の多さがある。
ここは夜になると居酒屋営業となるお店だ。セルフサービスのお酒バーがお店に入ってすぐのところにある。
ジン、マリブ、韓国焼酎・・・とハードリカーが数多く並んでいる。あっけなく酔っぱらいそうだ。しかし、ちゃんと生ビールサーバーもある。ちなみに60分飲み放題で980円だそうだ。
これは長い夜になりそうだ、と思ったが、このお店の営業時間は20時までだった。駅ビルがその時間になったら閉まるからだろうか。二軒目に行きたい人は、スナックのような場所に河岸を変えるのかもしれない。
メニュー写真。
当時は自分が何を食べたのか、料理名と値段を記録するためにメニューの写真を撮影していた。しかし2022年以降、インフレがじわじわと進んできて飲食店の値段がどんどん上がってきた。こういう何の気なしに撮影したメニュー写真は、後に見返すと「昔はこんなに安く料理が食べられたのか!」と驚く、歴史的資料になる。
ちなみに2020年秋において、このお店のメニューの多くは「販売終了」のテプラが貼ってあった。コロナで客足がめっきり減ってしまったので、自衛のために取り扱い料理を減らしたと思われる。これもまた歴史的価値がある。
「信州セット」という名前に釣られて頼んだ料理。
「松本に来たらコレ!信州の名物の詰まったセットです!」と書いてあるので、つい。
山賊焼き、田舎蕎麦、野沢菜ご飯のセットだということだが、小鉢でマカロニサラダもついてきた。お値段1,380円。
このお店の山賊焼きは、僕でさえ「デカいな、おい!」とおもわず声をあげてしまうサイズだ。これだけでも十分満腹になるというのに、さらにドスッと山盛りの蕎麦、そしてご飯の組み合わせだ。こいつァ満腹になるぜ。
これは素晴らしいメニューだ。ぜひ皆様にお勧めしたい。でも、これを食べるためには腹をすかせておいてほしいし、一日体を動かすなどして、カロリー摂取を正当化しておいてほしい。でないと、この信州セットを食べ終わったときの満腹感と、カロリーを取りすぎた罪悪感とで苦しむ。
22:00
無事帰宅。なによりも母子ともに安全かつ健康に上高地旅行が楽しめたのが良かった。妊婦とは思えないくらい、連日あるき回ったいしだった。
今回の僕らは、上高地を歩きながら「子どもが生まれるとこういう旅行は難しくなるね」「行けたとしても、こんなにテキパキとあっちこっちには行けないね」という話をしていた。しかし一方で、子どもがいるからこそ違った光景が見えてくるはずだ、という話もした。
未来に対して不安感とか残念な感覚は全くないのだけど、一体どういう生活になるのか、全く想像がつかない。今回、旅行という非日常生活を夫婦ふたりで送ったので、いろんなことに思いを馳せたり、いろんなことを話し合うことができた。良い旅だった。
観光地に行って、刺激的なあれやこれやを見て回る旅行よりもはるかに有意義だったと思う。
最後に。家にたどり着いた戦利品は写真のとおり。
チーズと黒胡椒のクッキー、ビスコッティ、ガレット・ブルトンヌ、オートミールのクッキー、くるみのメレンゲ
など。
いしは焼き菓子のパッケージを裏返し、「ああ、これは賞味期限が近いから早く食べなきゃ」とか「ラム酒が入っているから、おかでんさんは食べないほうがいいかも!」と言いながら嬉しそうだ。
結婚してつくづく思うのだが、甘いもの好きの家族が家庭にいるのは良いものだ。お土産を前にワクワクしているからだ。僕自身があんまりワクワクしない人なので(どちらかというと、旅行の計画段階でワクワクする性分)、パートナーがこうやってウッキウキの姿を見ると幸せを感じる。
(この項おわり)
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