風呂上がり、部屋に戻ってみると随分冷え冷えとした空気だった。日が沈んで、急速に空気が冷えてきた。
気温はテント泊だった昨日とほぼ一緒のはずなのだけど、今日の方が寒く感じる。部屋の中にいるときは裸足になったり上着を脱いだりして薄着なので、体温を保持しにくいからだろう。
部屋の片隅にはファンヒーターが置いてある。春から秋までしか営業しない宿泊施設にもかかわらず、暖房があるというのが寒冷地ならではだ。9月の今でも、暖房を使って違和感がない。
少し暖をとろう、とスイッチを入れてみたが、動作しない。あれっ、と思ったら、灯油を入れる燃料タンクが入っていなかった。当たり前といえば当たり前だ。暖房を使いたかったら、別料金だ。
お金を払ってでも暖房を使っても良いくらいの寒々しさだったが、受付はもう営業を終了している。今晩は暖房なしで過ごそう。
風呂上がりに売店で食材の買い出しをしたのだけど、それとセットで買ったのがこれ。テーピングテープ。
テーピングテープの粘着力ならきっとデジカメのバッテリーを引きずり出してくれるだろう、と思って試してみたら、無事に引っ張り出すことができた。良かった。
引っ張り出された互換バッテリーは、ROWA製のものだった。怪しい中華激安バッテリーが数多くあるこの業界だけど、ROWA製のものは比較的信頼できる、というのがネット上での評判だ。それでも、このように膨張することがある。互換バッテリーは安いなりの理由がある。
18:27
今晩の食事を作ろう。売店ですべて調達してきたものだ。
今日のメインはペンネアラビアータだけど、その他に缶詰やチーカマを食べる予定だ。
キャンプにしろケビン泊にしろ、夕ご飯の時間をいかにゆっくりと過ごすかによって優雅さと満足感が変わってくる。うっかり、日常生活同様にあっという間に食べ終わってしまったら、その後の時間が間が持たなくなる。どうせメシ食ったらあとは寝るしかないのだから、できるだけメシの時間を引き伸ばしたいものだ。
レトルトのアラビアータに、ちょっと贅沢要素として魚肉ソーセージを追加する。
18:58
夕ご飯、完成。
ケビン泊だと、コップで、冷えたノンアルコールビールを飲むことができる。
あんまり便利すぎると、家で宴会をやっているのと差がなくなっちゃう。窓のカーテンをぴったり締めちゃってることもあって、見渡す限り360度、アウトドア要素がない。自然の中で楽しんでます感を出すためにも、少しは不便なほうがよかったりはする。
近所のケビンに泊まっている家庭は、わざわざ屋外で調理をして屋外で食事をしていた。暗いし、寒いのに。立派な志だと思うが、僕らは真似をしなかった。
一旦ケビンの中に入っちゃうと、くつろげるような格好に着替えちゃうんだよな。だから外に出るのが寒くっておっくう。
缶詰、久しぶりに食べた。
20:45
食事の片付けをして、寝る準備を始める。二人共お酒を飲まないので、夕食はどんなに粘ってもあっけなく終わる。
布団は、この時期でも毛布が必須となる。掛け布団もしっかりとかける。
布団で横になりながら、子どもの名前をどうしようかと夫婦で話し合いながら、夜は更けていった。
2020年09月18日(月) 3日目
07:46
上高地滞在2泊3日の最終日。今日は終日雨の予報なので、濡れることを覚悟して一日を過ごすつもりだ。
今日の夜遅くまでに東京の家にたどり着けば良いので、ギリギリまで上高地に滞在する予定だ。
当初僕は「上高地でダラリとリラックスして過ごすためには、3泊4日の日程が欲しい」と主張していた。しかし、「それでは仕事に支障が出る」といしが反対したので、結局2泊3日に落ち着いている。それと引き換えに、上高地を去るのは3日目の16時のバス、と随分遅い時間だ。
今日は時間に余裕があるので、ビジターセンターに行ったり、帝国ホテルのカフェに行ったり、もう一度明神まで歩いて行ってカフェ・ド・コイショでくつろいだりしようと考えている。天気次第だけど、たぶん僕ら二人なら少々の雨を厭わずに全部の予定をこなすことになるだろう。
3日目の朝ごはんは、小梨平食堂でいただく。
コロナによるピリピリした空気の昨今でも、朝7時から営業してくれているありがたい存在。ケビン泊の人間にとって、安心して朝ごはんが食べられる。
08:01
がらんとした店内。平日の朝だから、というよりも、今年が特に異常。
昨年までと椅子の配置が異なっていることに気がついた。椅子の数が減らされ、人が向かい合わせに座ることがないようにセッティングされていた。お陰で全員が窓の外を見ながら食事をするという、カウンター席のような並びになっていた。
料理はコロナによる集客減少であっても値上げなし。
ハムチーズホットサンド850円。お味噌汁がついてくるという、ちょっと面白いセット。
さば味噌定食850円。
たっぷりのキャベツとひじきが嬉しい。ご飯もお茶碗にみっちりと盛られている。食べごたえあり。
二人で充実した朝ごはんを食べた。
(つづく)
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