今度の物件は「ロフト付き」であり、「カウンター付き」の物件だ。
「どうです、わくわくするでしょう?」
と不動産屋から言われたが、確かにわくわくする。
ロフト付きなんて、と今更ながら思う。そんなのを喜ぶのは一人暮らしをはじめようとする大学生だけじゃないか、と。ロフトの長短は僕の友達からもいろいろ聞いてきた。いわく、
「散らかるものをとりあえずロフトに逃がしておけるので、急な来客も安心」
とか、
「熱が上にこもるので、夏は地獄」
とか。
いずれにせよ、秘密基地大好きな人でもない限りは、おとなしく広い部屋に住んだほうがマシだ。
好き好んでロフトを選ぶ必然性はないと思う。
ロフトについては実物を見てみないことにはなんともいえないが、カウンターというのはやっぱりワクワクだ。
間取り図を見ると、キッチンとリビングの間にカウンターがあって両方を繋いでいるのが伺えた。
このカウンターにコーヒーメーカーを置いたりすることになるのかな、ネスプレッソとかいいかもな、とあれこれ考える。それだけでも楽しい。
そもそも、単身者向けの家はキッチン周りが絶望的に狭い。今住んでいる家がまさにそう。
調理前の食材を置く場所、出来上がった料理をとりあえず置く場所などとにかく困る。だから、カウンターがあると何かとはかどりそうだ。
そうだ、小料理屋みたいにカウンターの上にきんぴらとかひじきといった料理を大皿に持っておく、なんていいな、なんて無茶なことも考える。
部屋は26.44平米。広そうに見えるが、その割にはリビングは7.6帖で案外広くない。
「この平米数って、ロフト部分もカウントされてるんですかね?」
ふと気になったので担当者に聞いてみたが、まだ入社一年目の担当者には難しい質問だったらしく、
「さあ・・・どうなんでしょう?」
と首をひねられた。
後で独自に調べてみたが、原則はロフトを平米数にカウントしないそうだが、中にはカウントしちゃう不動産屋もあるらしい。厳格なルールはないとのこと。
あと、「ベランダ」と「バルコニー」の違いってなに?という質問についても、解答が返ってこなかった。
案外、わかっているようでわからないことってこの業界は多いものだな。
これも後で調べてみたら、屋根があるのが「ベランダ」で、屋根がないのは「バルコニー」となるそうだ。へええええ。
スマホの地図を頼りに、今回もオリエンテーリング的に物件を探す。
何しろ、同伴している担当者が地場の不動産屋ではないので、物件を知らないどころか地の利も全くない有様。担当者よりも先に僕がずいずいと道を歩いていて、不思議なシチュエーションだ。
でも、そういう「プロっぽさがない担当者」だからこそ、内見の間ずっとぶっちゃけ話をし、友達感覚で相談に乗ってもらえたので本当に良かった。
てきぱきとこなすプロ相手だったら、僕は「口車には乗せられないぞ」と身構えていたと思う。
担当者がゴソゴソと1階のガスメーター周りを探す。今回もやっぱり、セキュリティボックスに守られた部屋の鍵がそこにはあった。
契約者が現れるまでずっとここに鍵を置きっぱなしにしているのか、内見の予約が入る都度設置と撤去を繰り返しているのかは不明。
部屋は二階なので、階段を昇る。
・・・あれ?
この廊下、屋根がないのか。屋根が付いてもよさそうな骨組みはあるんだけど、トタンでもなんでも屋根がない。
「これはちょっと減点だなぁ。雨の日だと、部屋に入るまで傘を差していないといけない」
狭い階段を昇ったり、玄関の前で鍵をポケットから取り出したり、というときに傘をさしていないといけないのはあまりうれしくない。
こういう、屋根なしアパートってあんまり多くないと思うのだけど、何でケチったんだろう?
部屋に入ってみる。築8年ということで、比較的まだ新しい。
やっぱり新しい物件はいいよな、と思う。何なんだろう、古い物件独特のじとっとした空気感って。
別に「昔住んでいた人の念がこもっている」とかいうわけでもないだろうから、僕が古い物件に感じる重たさっていうのは「インテリアや間取りの流行り廃り」のことなんだろうか。
玄関入ってすぐの部屋内廊下は、両側に壁が迫っていて狭い。そうか、ここはキッチンが別室に仕切られているからだ。単身者向け物件にありがちな「玄関開けたら目の前がキッチン」というつくりじゃないので、むしろ狭く感じるのだろう。
こういう狭いところだと、壁ドンがやりやすいな。壁ドンするためには相手が必要だけど。
玄関。廊下含めて、テトリスを思い出させるカクカクした形。
でも、こういうカクカクが一番効率的だと思うんだよな。設計も楽だろうし。しかし実際ほとんどの物件が、このような単純明快な角ばった間取りになっていないのは、いろいろ面倒なこと裏ではあるのだろう。配管とか、梁とか。
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