俺の引っ越し2013

ビックカメラ

まだ新居に潜入できていない状況ではあったが、話はどんどん先に進めていきたかった。なので、見切り発車でこの日の内に家電製品の手配に踏み切った。向かった先は、ビックカメラ池袋本店。

池袋は昔からビックカメラの総本山だった。しかし最近、よりによってすぐ近くにヤマダ電機が「日本総本店」を構え、露骨なビック潰しに出ている激戦区。うまく交渉すれば値段が安くなるという噂もある。

そもそも、今や家電量販店で家電製品を買うというのは割高だ。価格.comで調べて、安いお店で買ったほうがはるかにお得だ。しかし、配送や取り付けといった作業がある大型白物家電の場合、やはりまだネット通販で聞き慣れないお店に手配するのは怖いところがある。保証という点でも不安がある。

何よりも、実は僕はビックカメラが株式を上場して以来の株主であり、ビックカメラの売り上げが上がってくれないことには困るという立場でもある。ビックの株では大損を被っているので、株価が早く回復してくれないことには・・・。といっても、自分が商品を買うときはちゃんと価格交渉するけどな。

ビックカメラ池袋本店には「まとめ買いカウンター」という場所があるので、そこに行って店員さんに相談をしてみた。既に購入しようと思っている機器のリストは手元にある。値段だって調べてある。

すると、「ご予約はされていますか?」と聞かれ、やや動揺した。予約がいるものなのか?「いえ、していないです」というと、ちょっとだけ確認の手間が入ったけど、それでも対応はしてくれた。後で知ったのだが、「まとめ買いカウンター」ってのは、一般的には「今度ぉー結婚するんでぇー、家電一式そろえたいんだけどぉー」っていうような新婚カップルとかがやってきて、一日がかりで店内をぐるぐる回り、製品を選ぶのに付き合ってアドバイスする立場らしい。なるほど、それなら予約が必要なわけだ。でも僕の場合、ずばり商品の型番と競合他店の値段が書かれた紙を出して、

「これを買いたい。まとめ買いするので、ビックさんなら総額いくらのお値段で提示していただけるか?」

と単刀直入に聞いたので話は早かった。

原則ビックカメラで買うつもりだったので、価格.comの最安値販売店とガチガチの価格競争をさせる気はなかった。価格.comで最安値をたたき出すお店は、大抵が「クレジットカード払いは不可」となっているし、中には在庫確認が必要で発送まで数日を要するといったものもある。こういうのと比較するのはフェアではないだろう。

大変に物わかりが良い僕は、お店の人にこう言った。

「一応価格.comの値段は調べてありますが、公平を期すためにクレジットカード払いが可能で、在庫ありのお店で最安値を提示しているものを表に書いています。あと、ビックカメラ.comの値段も既に調べてあります。ビックさんは当然ポイントが付くと思いますので、それも考慮した上で、どれだけ価格.comの最安値に近づけるか、頑張って頂けますか」

つまり、最安値にならないと買わないよ、とは言っていない。あと、ポイントも考慮すると言っている。我ながらなんて話が早いんだ。

「10%ポイント還元!」と謳っているものが、「10%割引」とイコールではない、というのは半ば常識だけど、ついついうっかり誤解してしまうところだ。10,000円の買い物をして、10%還元で1,000ポイントを貰った、というとまるで10%割引きを受けたかのような印象を受ける。しかし、次回その1,000ポイントで1,000円のものと交換した場合、当然ながらそこには新たなポイントは付かない。現金で買っていれば100ポイント付くべきはずなのに。つまり、11,000円のものをポイント込みで買った場合、支払額は10,000円なので、実際の割引率は9.1%ということになる。

しばらく担当者は端末を叩き、型番と在庫と値段を照合していた。時々「これはもうメーカー出荷が終わっているので、在庫限りになります」とか「他店から取り寄せます」といったものもあった。さらには、「これはアウトレット店にしかないです。一般的には当店では扱わないものです」というものもあり、大いに困惑した。え?それはどういうこと?

どうやら、メーカーによっては、「家電量販店向けの製品」と「その他流通経路の製品」でほんのわずかに仕様を変え、型番も違うというのがあるらしい。紛らわしい。

家電メーカーは一年に一度など新製品を発売しているが、昨年の仕様と大差ない事が多い。値崩れを防ぐために、見た目だけ新製品にするというやり方だ。だから、ほぼ同じ機能だけど型落ち品の方が安く手に入る。・・・と、わかってはいるんだけどねぇ。ついつい「最新型」を買いたくなってしまうのが人の常だ。カタログで見る限り、型落ち品とほぼ一緒だとわかってはいるんだけど、わかってはいるんだけどさぁぁぁぁ。

値引き交渉については、「当店としてはこれが限界です」などと素っ気ない態度を取られるものだとばかり思っていた。しかし、まとめ買いの客だからか、案外前向きな値段設定をしてくれたし、ポイント還元も多めにしてくれた。こちらから個別に「ここはもうちょっと頑張って」とか言わなくてもよかった。そういう面倒な交渉は、お店側としてもやるだけ時間の無駄くらいに思っているのかもしれない。買う気があるお客さんには、がつんと一発値段を見せて、即決してもらおう、というわけか。

この時点では、家の間取りについて実地検分ができておらず、即決はしなかった。翌日、あらためて家を見て測量したのち、食洗機はやっぱり台所に入らないので却下、など調整をした上で再交渉。結果、ポイント込みであれば価格.comの値段と遜色ない程度の値段は提示してもらえた。やるじゃんビックカメラ。

もちろんこっちも、「現金一括払いにします」と札束を見せたりしていろいろ手は打ってたんだけど。でも、最後はクレジットカード払いに切り替えて、値引きはそのままにしてもらった。

詳細な交渉過程や金額については、ここでは伏せておく。いろいろ迷惑がかかるかもしれないから。

最後の最後は、ポイントを増額してもらったりして調整。ズボンプレッサーに20%還元が付くなど、製品個別に見ると変な割引きのされ方になった。

さて、クレジットカード払いとなったのだが、なんと限度額をオーバーしてしまった。でもまとめ買いカウンターの人は慣れたもので、カード会社にすぐに電話をして、一時的にリミッター解除をしてもらっていた。それにしても限度額を超えてしまうとは・・・。この後やってくるであろう請求に身震いがした。

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