浴室を覗いてみる。
悪くない作りだ。特に欠点はない。築10年弱、若干金属部分に傷みがあるものの、こぎれいにまとまっている。
座ってシャワーを浴びていたら、正面に鏡があるという作りもいい。
浴槽がえらくしっかりした作りなのが目に留まった。そういえば昔、実家の風呂の中で足を突っ張って伸びをしたら、風呂桶を割ってしまったことがあったなあ、と思い出す。風呂に入って気持ちよかったので、ついつい踏ん張ってしまったんだ。そうしたら、ビシッと音がして、風呂桶が縦に割れた。あれは心底びっくりしたもんだ。
浴室の隣にあるトイレを覗いてみる。
わわ。正面の壁だけ壁紙が違う。
「おしゃれですね、これ」
担当者が感嘆する。なんか落ち着かない感じがするけど、でもこれはこれでいいのかもしれない。変なところで凝ってるな。
予備のトイレットペーパーを置く棚が備え付けられていたり、便利。
うん、基本的にこの家は作りはよさそうだ。
いやいや、平凡とは言わせない。この物件には、独立洗面台が付いているのだ。
もともと僕は、「独立洗面台がある物件がいい」と希望してきたのだが、全然そういう物件は提示してもらえなかった。あまり存在しないのだろう。大抵、風呂場の中に洗面台がある。
ここの独立洗面台、シャワーになっているのが便利。朝シャンするのも余裕だ。これはいい。
でもなんだろうな、ワクワク感とはちょっと違うんだよな。
リビングに入ってみる。照明が取り付けられていないので真っ暗だ。
しかも、壁の一面が黒っぽい。ここも、トイレ同様に違う壁紙が張ってあるのだった。どういうコンセプトだ、この家。シックな雰囲気にしたいのだろうか?
家具の色やデザインに気をつけないと、やたらと浮いた家になったり、お葬式状態の家になったりしそうだ。難しいなこれ。
この部屋、不動産屋が推すとおりに全く梁がなかった。デッドスペースができないのは確かに良い。
24平米の家にしてはそれなりに広く感じるのは、恐らくこの物件にベランダがないからだろう。窓の外は、すぐに壁だ。
物干し竿を引っ掛けるための仕組みは一応あるけど、あんまり干したくはない。浴室乾燥もないし、ここに住むなら洗濯乾燥機はぜひ欲しいところ。
その窓だが、シャッターが閉まっていた。道理でこの部屋、真っ暗なわけだ。
「2階なのにシャッターがあるのか。びっくり」
後で知ったが、このあたりは治安が悪い場所らしい。2階でも油断ならない、ということだろうか。
この物件にはクローゼットはない。押入れがある。
「ベランダがないので、ここに諸々の荷物全部が入らないとダメってことか」
ゴルフクラブはこの家には持ち込めないっぽい。まあそれはいいんだが、下の段にキャンプ用品詰めてー、中段に衣類置いてーってやるとたぶん足りないっぽい。
さっき、潤沢な収納スペースを見たから、ここの押入れでは物足りなく感じる。
コメント