俺の引っ越し2013

役所に行き、転出届を出す。

住基カードを持っていれば、転出届は発行されないという。はあ、そうなんスか。だからなんなんだ、と思う。住基カードを作ったはいいけど、何一つメリットを感じることはなかった。この自治体は、独自のカードを発行していて、住民票の自動発行などはそのカードを使っていたからだ。なんか役所の中の作業としては、住基ネットってそれなりの意味があるのかもしれないけど。

後日、転入先の役所に行って手続きを行ったが、この古い住基カードってどうなるの?と聞いてみた。ばっちり昔の自治体名が書かれているからだ。

「ああ、それはそのまま使えますよ」

ええ?そうなの?ずっと使えるものだったら、こうやって自治体の名前入れるのやめようよ。僕が住基カードを気まずそうな顔で眺めているのに気がついた窓口職員は、

「この自治体のカードに新しくすることができますよ。古いカードは廃止ということにして」

と教えてくれた。それはお金がかかるのか?と聞いたら、無料だという。なんかスゲー無駄な事を自治体またぎでやってる気がするんだが、無料というので新規発行してもらうことにした。

今度の自治体では、住基カードを持っていればコンビニのマルチメディアコピー機で住民票を印刷することができるのだという。おおそれは便利。しかし、住基カードができるまでの間は、やっぱりこの自治体オリジナルのカードを使ってくれということで、別のICカードが発行された。なんだかなぁ。なんでも、今では住民票の発行は全部窓口業務ではなく自動発行機に移管されており、そのために身分証明となるICカードが必要なのだという。便利になっているようでなっていないような。

自治体のお役所仕事については、いろんなところで語り尽くしているだろうから割愛。

さて話を引っ越し当日に戻す。役所に転出届を出した後、ローソンに行き梱包したフレッツ光のルータを発送した。フレッツ光を今回解約したわけだが、申請をして数日後に梱包用の封筒が家に送られてきた。その封筒に使用済みルータとONUを入れて送り返してくれ、というわけだ。で、ローソン経由であれば送料はかからないのだという。コンビニ何でもやってるな、と驚くやら呆れるやら。コンビニのバイトさん、覚えなくちゃいけないことだらけで混乱しないんだろうかと心配になる。

新居に移動中、引っ越し業者から電話が入った。もう到着したけどそちらはいつ新居にたどり着きますか?というものだった。「今向かってます!」という蕎麦屋の出前な事を言って、先を急ぐ。やっぱり、小一時間あれば新居に到着しちゃったらしい。

風呂場

新居に荷物が運び込まれている間、早速僕がとりかかったのは、風呂場のカビ対策だった。これまでの家は黒カビがかなり生え、対処を放棄するという有様だった。新居に移り住むにあたって、その二の舞はしたくなかったので、事前の予防策を徹底することにした。日々の掃除は当然やっていくつもりだが、もともとの雑な性格ゆえ、ちゃんとやりきれる自信がない。だったら、カビの予防に重点を置くことにしたいと思った。

まず、浴室の壁面に「納豆菌を使った、カビ予防のシート」を張った。10センチ弱四方の小さいものだが、これを壁の片隅に張っておけば浴室全体が6カ月ほどカビが生えにくくなるのだという。

それだけではない。「お風呂の防カビくん煙剤」という、バルサンみたいなものも炊いた。煙を盛大に噴き上げ、浴室全体を殺菌効果のある銀イオンでコーティングしてしまおうというものだ。

二重で対策をうつところを見ても、僕が新居にかける意気込みというのが伝わるだろう。真剣に、引っ越しで生まれ変わろうと思っている。

この後、兄貴が合流してくれて、二人がかりで次々やってくる荷物の受け取りや整理、家具の組み立てをやった。早くビックカメラから家電が届いて欲しかったのだけど、これはよりによって日没後になってしまったのが誤算だった。お陰で、照明がない部屋は暗くなってしまい、ベッドの組み立てを業者さんが行っている時はキャンプ用のランタンをともすことになったくらいだ。

夕方、いつまで経ってもハウスクリーニング業者さんから終了の報告がないので、心配して電話をかけたら「もうすぐ終わる」ということだったので確認のため旧居に戻った。昼過ぎには終わるような事を言っていたが、結局あまりの汚れっぷりに手こずったらしい。8時間近くかけてようやく完了だった。まあ、それだけの規模感だからこそ、僕はプロに外注したわけで。数時間で終わる程度なら、自分でやってるわい。

翌日昼、ドキドキの旧居不動産屋引き渡し。事前に不動産屋さんに「大家さんは立ち会いますか?」と聞いていたのだが、「多分来ないと思います」という言葉に救われた。頼む来てくれるな。不動産屋さんとならビジネスライクに話ができるけど、大家さんとなるとどうしても感情が入ってしまうだろう。「俺の物件をこれだけ汚しやがって」的な私情が絡むとややこしいので勘弁してほしかった。

引き渡し当時の家

不動産屋さんと部屋の中に入り、いろいろな場所の確認をする。

こっちは既にいろいろな予備知識を仕入れており、頭がパンパンな状態だ。このアパートが建てられてから築何年が経過しているかなども調査済みだし、居室内の各部位ごとの耐用年数目安なども全部調べてある。とはいえ、やっぱり汚しまくったのは事実であり、それはハウスクリーニングを済ませても隠しきれるものではない。とても不安だ。

一番の不安は、フローリングだ。ほこりがこびりついたところをハウスクリーニングできれいにしてはもらったが、強力な洗剤の影響でか、色落ちが発生した。ほかにも、細かい傷やへこみがある。フローリングには「耐用年数」という考えが適用されないので、もし張り替えるとなれば平米単位でお金がかかる。運が悪ければ10割負担となり、それはちょっと計算しただけでぞっとするお金になる。

こういう時は、建物の築年数から、建物全体の減価償却期間を計算し、その割合分しか僕は払いたくないですみたいな話をするつもりだった。でも不動産屋さんは「まあ、おかでん様は10年もお住まいになられてますから、当然汚れはでますよねえ」と言ってあんまり事を荒立たせない方針のようだった。フローリングに関しては、張り替えにするのか、それともそのままにして上にシートを新たにかぶせるなどするか、いずれにせよ安く済む方法を大家さんと相談する、とのことだった。

他に何カ所か指摘を受けたが、いずれにせよビジネスライクに話が行われ、「家を汚く使ってけしからん」的な話にはならなかった。ハウスクリーニングのお陰でもある。お金をかけておいてよかった。あと、不動産屋さんとしても、事を荒立たせても何もいいことなんかないのだろう。とっとと見積もりを出して、とっとと終わりにして次の入居者に入ってもらった方がよっぽど建設的だ。出て行く人をなじっても何もいいことはない。

大家さんと相談の上、業者が入って見積もりをとり、その結果を後ほど郵送でお知らせします、敷金の残りについては後日振り込みます、ということになった。いやいや、敷金の残りなんてあるわけがないでしょ・・・と思ったけど、社交辞令でもそう言ってくれるとほっとする。

精算書

一ヶ月くらい経過したころ、不動産屋から封書が送られてきた。中を開けると、「請求明細書」なんてものが入っているっぽい。きたきた、きましたよ、地獄の通知書。さて、一体どれだけの請求がやってくるのやら。ドキドキしながら、正座して資料をぽん、と表に返す。

・・・あれ?

いろいろ書かれているのでしばらく意味がわからなかったのだけど、結論から言うと「敷金の払い戻しがある」ということがわかったので驚愕。ええええ?と何度も読み返してしまった。10万円台の請求すら覚悟していたのに、敷金没収どころか返金があるとは。

ざっくり言うと、

  • 原状回復工事に約30万円かかります
  • でもあなたの負担金はそのうち約6万円です
  • 敷金に加えて、退去した日からの日割りで家賃返金があるので、それと相殺します
  • というわけで、約3万円返金しますね

という内容だった。うひゃあ。

その内訳は表の通りだ。とても親切にわかりやすく書かれていて、とてもありがたい。明朗会計だ。

ボロッボロにしていた電気コンロは、この際IHコンロに置き換えるらしい。バージョンアップにあたるので、僕の負担は0%だった。10年住んでいた、というのはこういうところで有利だ。時間の流れが自分に味方してくれる。

引き渡し時、唯一不動産屋さんと意見があわなかったのが、トイレの便座だった。真っ二つに割れていたからだ。そのため、僕はこの家に暮らす上で、踏ん張るのでさえ難儀するという苦難の生活を強いられていた。ガムテープで補修しても無駄で、座るとすぐにまた割れた。これは不動産屋さん曰く、「入居者の過失によるものなので負担は避けられない」ということだったが、僕は「2年前の契約更新時に、便座にひびがはいっている、いずれ割れるかもしれないと通告はしていた」「過失のせいで便座が割れるという性質ではない。雑に扱って割れるような場面というのは普通あり得ない。老朽化だ」「もし負担するとしても、減価償却に基づいて計算して欲しい。全額負担は考えていない」ということを伝えておいた。不動産屋さんは「大家さんと相談する」といったん引き下がり、その結果100%大家さん負担ということになった。よかった。

一番気になっていたフローリングについては、40%負担ということになっていた。工事費が75,840円ということなので、おそらく「全面張り替え」はやめたのだろう。クッションフロアかなにかを上に敷く、ということにしたのだろう。これについては特に言うことはない。

もうね、とにかくほっとしたという気持ちが強くて強くて、本当にこの日は祝杯をあげたい気分だった。そして、この書類を受け取ったことで、ようやく僕の30代、あの家での生活が全て終わったと思った。

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