俺の引っ越し2013

引越しの見積もり金額というのは、各社横並びなのだと安易に考えていた。「依頼主が女性の場合は、女性スタッフが対応します」とか、「荷造りと荷解きはスタッフがお手伝いします」といった付加サービスの部分で値段が変わるのだと思っていた。しかし実際は、びっくりするくらい各社値段が違う。

僕からの依頼を正しく認識し、メールで返答してきた業者だけを並べて比較してみたが、値段の差は3倍以上あった。なんだこれ。

確かに、引越しというのは「運搬用の車と、人」があればできる商売だ。素人でもなんとなくできてしまう世界。だから、クオリティも業者によってバラバラだし、値段もまちまちという結果になるらしい。

一人暮らしの引越しで、段ボール10箱程度、ベッドや大きな家具はなし、白物家電もなし、そのかわりキャンプ用品は結構あるぞという引越しの場合、移動距離数十キロで2万円台を提示する業者が多かった。中には3万円台というところもあったが、お値段分の価値はよくわからなかった。

安い値段を提示している業者は、作業をする人の数が1名、となっていた。大丈夫かそれ?へとへとになるんじゃないか?これは安いとはいえ不安なのでやめにした。

もっとも安い見積もりを出してきた業者は、9,000円だった。ちょっとありえない金額で、目を疑う。さすがにこれを真に受けるほどこっちだってお人よしじゃない。メールをよく読むと、「特定の物件にお引越しされる方に限る」みたいなことが書いてあった。なんだそれ?どういう仕組みだ?気になったので、電話で問い合わせをしてみた。すると、

「お客様はインターネットやられてますか?であれば、ネットの回線を新居でもひかないといけないと思うんですが」

と言い出した。要するに、この引越し業者はフレッツ光の代理店なのだった。自分とこ経由でフレッツ光を敷設してくれたら、引越し代を割り引きますよ、というわけだ。こんなところまでフレッツって勧誘してたのか。家電量販店で、洗濯機や扇風機にまで「今ならフレッツ光に加入で○○円」なんて販売がされているけど、引越し業者も同じだった。でも、理にかなっているとはいえる。僕は独自に回線は手配するので、このご提案は却下とした。

結局、メールの文章が真面目で過不足ない内容だった業者にお願いすることにした。値段は中庸だったけど、引越し当日大きなゴミを4点無料で引き取ってくれる、ということを決め手にした。

この4点のゴミは、「洗濯機」「冷蔵庫」「掛け布団」「敷布団」とした。布団が当日処分してもらえたのは本当に助かった。そうでなけりゃ、引越し日前の粗大ゴミの日に布団を処分せねばならず、引越しまでの間は寝袋生活を余儀なくされるところだった。

何度か直接引っ越し業者と電話でやり取りしながら最後の詳細は詰めた。聞くと、

・土日の引越しは高くなる。平日は安い。
・年末年始は高くなる。
・午前中搬出、午後に新居に搬入というスケジュールだと高い。午後搬出だと安くなる。

ということだった。しかし、こっちは月金で仕事をしているサラリーマン。どうしても土曜日、午前中搬出の午後搬入という王道パターンをお願いしたいところだ。その結果、割高にはなったけどこれは仕方がない。

ハウスクリーニングは引越し業者と提携している、別の業者がやってくることになった。荷物の搬出と入れ替わりに作業に取り掛かるという。費用は引越し業者に一括支払いとなり、総額は53,200円だった。22日前までに申し込みをしたので「早割」が適用されてます、とのことだった。ちなみに53,200円の内訳は、引越し28,200円、ハウスクリーニング25,000円。

ハウスクリーニングというのも適正価格が難しい商売だ。極端な話、バケツとぞうきんと洗剤を持ってオバチャンが切り盛りする、ってことだってアリだからだ。どの程度「おお、素人掃除とは違うな」というテクを持ち合わせているかは、終わってみるまでわからない。ただ、いろいろ見積もりを取った中では、1K物件だと一部屋まるごとやって3万円台、というところが多いようだった。

面白いもので、「荷物が部屋にまだ残っている状態」でのクリーニングの方が高い、とか部屋の状況によって価格が変わる。なるほどそりゃそうだ、と納得させられる。

数日後、引越し業者から段ボールと見積書が届いた。てっきり、段ボールというのは業者が直接持ってくるものだと思っていた。運送業なんだし、業務の合間にトラックで持ってくるのだろうと。しかし実際はビニールラッピングされた段ボールが宅配便で送られてきたので、感心することしきり。そういう仕組みなんだな。

段ボールがやってきたので、これから少しずつ引越しを本格化させていこうと思う。

引っ越し見積書

さて、段ボールと一緒に届いた書類だが、「見積書」と書かれたカーボンコピーの紙に内訳や費用が書かれていた。

それはいいのだが、赤く「契」という字が2箇所、書き込まれている。「契」?これって、契約書ですよって言ってる?

書類の最後に、「ご契約ありがとうございます」という文言があるので、どうやら本気でこれが契約書らしい。まじか。僕は何一つサインとかしてないぞ。最後は口頭で取り決めしたわけだけど、こんなんでいいのか。

これで内容に間違いがあったら苛立ったところだけど、こちらの意向をちゃんと汲んだ内容で齟齬はなかったので、問題なし。

引越の準備をぼちぼち始める。

「最近使っていないものは、たとえ大事なものであっても捨てる」ということにしていて、バンバン捨てる捨てる。とても気持ちが良い。段ボールに入っていくものよりも、ゴミ袋に入っていくものの方が多い。
僕は、いつも「スクラップ&ビルド」な人生だ。いったん作り上げたものを破壊して、イチから作り直さないと気が済まない。

粗大ごみを役所に取りに来てもらうことも、引っ越しまでの間に合計3回やった。一度に依頼できる数に限りがあることと、まだ生活上捨てられないのでぎりぎりまで取っておきたいものなどがあるから、段階的になった。

ゴルフクラブも捨てた。もう15年くらいやっていない。父親から譲り受けたものだが、ゴルフバッグには埃が積もりまくり、ここまで見事に触られていなければ捨てられて本望だろう。

事後報告で、正月の帰省時に父親に「貰ったゴルフクラブ、捨てたよ」と伝えたら、父親は寂しそうな顔をして何も答えなかった。自分が愛した趣味が子供に引き継がれなかったことが残念なのだろう。

家の中はがぜんほこりっぽくなった。何しろ、全く掃除をしていない家だ。埃の量が尋常ではない。ハウスダストに敏感に反応してしまうアレルギー性鼻炎持ちの僕は、くしゃみと鼻水が止まらなかった。そのため、「外出先では素顔だけど、帰宅するとマスク。翌朝、家を出発するまで寝ている間も着用したまんま」という生活を余儀なくされた。

それでも、布団で寝る時、枕元にほこりが降り積もるらしい。目がかゆくてしかたがなかった。さすがに生命の危険を感じ、家には極力帰らないようにした。

この頃、引っ越しを控えているとは思えないくらい精力的にアートギャラリー巡り、食べ歩きを繰り広げていたのはこういう背景もある。当時は、ナポリピザ食べ歩きとかファラフェル食べ歩きとか、やりたい放題だった。

物を捨てるのと同時並行で、新居で買うものを検討開始した。あれを買おうこれを置こう、と一番楽しいひとときだ。

ただ、常に頭にひっかかるのが「お前はいつまで独身でいる気だ?」ということだ。まあこのまま一人暮らしを満喫したまま人生を終えるんだろうな、と40歳間近になってうすうす感づいてはいるが、本当にその覚悟はあるのか、ということだ。

購入するテレビや冷蔵庫、本当にこれでいいの?と。単なるお引っ越しに過ぎないのだけど、それに伴って購入する家具家電のために大きく覚悟を決めるタイミングでもあった。

結論としては、「今、一番快適に過ごせるように物を買おう」となった。

将来の可能性を踏まえて、二の足踏んだ買い物をしたら後々後悔しそうだ。「二の足を踏んだ」ということそのものに自己嫌悪しそうだし。

そんなわけで、冷蔵庫はちょっとマイナーな左開きのものを買うことにしたし、その他もろもろも「今」を意識したものばかり選んだ。

ああそうそう、空気清浄機、今回買うぞ。花粉症でもなんでもない僕は、空気清浄機なんて単なる気休めだ、メーカーの思うつぼだと思っていた。しかしさすがにこの一ヶ月間、ハウスダストに苦しめられたらなんとかしたかった。

空気をきれいにしなくてもいいけど、ほこりを吸い取ってくれることを謳ったメカは欲しかった。部屋中のほこりが減れば、掃除も楽になるだろうし。

とにかく、今住んでいる家をひどい状態にしてしまった後悔と反省がある。次の家では、徹底的に家はきれいに保ちたいし、そのためのお金と努力は惜しまないようにしよう、と誓っている。・・・今のうちだけかもしれないけど。

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