俺の引っ越し2013

【3軒目:パズル的要素がある物件】

3階建ての物件

間取り図なし。

3軒目の物件に移動。駅から遠い物件からスタートして、だんだん駅に近づいている。だから、より魅力的な物件になっていっているはずなんだが、どうだろう。

ちなみにこれまでの2軒は、選ぶ気がしない。デメリットを上回るメリットがあるなら考えるのだが、見いだすことはできなかった。

さて、3軒目はちょっと間取り図を見ると気になる作りだ。単身者用の1Rや1Kの部屋というのは、その多くが似た間取りになっている。玄関入ってすぐにキッチン、風呂、トイレがあって、その奥に6畳から8畳くらいのリビング、といった作り。突き詰めていくとそういう形にならざるをえないのだろう。逆に、そうではない形というのは、なにかそうせざるをえない制約があったのか、大家が意欲的だったのか、とにかく癖がある。その癖を「わくわく」と捉えてプラス評価とできるのか、それとも「やっぱり王道から外れると住みにくいね」となるのか、そこを確認したい。

この物件は、1階に商店が入るようだ。現在は空きになっていてシャッターが閉まっている。コンビニも入居できそうな広さはある。

コンビニが家の近くにあることの是非、というのはよく語られる。「究極的には家に冷蔵庫がいらなくなるよ」と利点を語る人もいるし、「夜中も人がうろうろしていて、柄が悪い」と言う人もいる。どうなんだろうか?

冷蔵庫の存在については、真剣に悩んでいるところだ。今住んでいる家を激しくとっ散らかしたという黒実績から、次に移り住む家では「できるだけ物を置かない」「あれこれできる余地を与えない」というストイックさが必要だと思っている。わりと真剣に。で、家の中で一番散らかしてしまうのがキッチン周りであり、僕が料理好きであるからこそ、料理がやりづらい環境にしてしまう方がよいのではないか、と思っている。

冷蔵庫が小さい→食材をあまり置かない→料理をあまりやらない→家は汚れない

という構図だ。せっかくのルンルンお引っ越しなのに、こういう夢のない後ろ向きな事をまじめに考えているのは、それだけ今の家がひどいありさまだということだ。掃除は無理だと数カ月前に断念し、汚れたまま放置されたキッチン。電気コンロの上には、ポストに入っていたダイレクトメールなんかが積み上がっている。で、料理を作りたいという欲求だけは人並み以上にあるので、お金を払って料理教室に通うという本末転倒っぷり。でもそういう生活でもいじゃん、という気がしなくもない。

話を戻すと、そんなわけで「冷蔵庫は小さくてもよいのではないか?」「コンロは2口じゃなくて、1口でもかまわないのではないか?」などと考えてもいる。こういうところの希望ががっちり固まっていれば、不動産選びで悩む範囲が狭くなって楽なんだけど、今回に関しては曖昧。だからこそ、「わくわくさせられる物件が希望」という曖昧なキーワードが出てきているわけだ。

ここもオートロック

この物件もオートロックだった。さすがにこの物件は、オートロックが意味をなしていない、ということはなかった。階段は建物の中、クローズドな場所にあり、外部から侵入されるということはない。

郵便ポスト、普通なんだけどしみじみいいなあと思う。一軒目のさびまくった郵便ポストがよっぽど衝撃的だったということだ。

ポスト裏側

オートロックの扉を入ると、郵便ポストの裏側に回り込むことができた。住居人は、オートロックの外に出ないでも、内側から自分の郵便物を受け取ることができる。

ポストの下には、ちょっと大きな口が内外をつなげていた。まるで刑務所や精神病院で物をやりとりする場所のようだ(実際そういうものを見たことがないので、あくまでも想像)。ここで、宅配便の受け取りなどをしてくれ、ということなのだろうか?オートロックを開けなくても、荷物の受け取りができる、ということか?

「そういえば、一人暮らしのアパートで、宅配ボックスがある物件ってないんですか?」
「あまりないですね、そういうのは」

不動産屋とのやりとり。もし宅配ボックスがあれば、それは物件選びの有力な選択肢になり得るんだがな。単身者だからこそ、ネット通販などをよく使うわけだし、受け取りに四苦八苦することになる。宅配ボックスのニーズはむしろ高いと思う。

「単身者の家=チープで良い」ということはない。これからはそういう人が増えるわけだし、あんまり広くない家であっても充実した装備の物件が増えて欲しいものだ。

3階廊下部分

今回内見する物件は3階なのだが、階段と廊下がちょっと変わっている。ガラスの柵。そして、廊下のところどころにガラスパネルが張ってあり、そこが照明で光っている。

訪れた人を必ずや「おっ!?」と思わせるだろう。この物件を手がけた大家および建築家は、意欲的なアパートを作りたかったのだろう。

やっぱり住むとなるとこういうギミックが施されていると、ちょっとうれしくなるよな。プライドをくすぐられる。

特に今回の引っ越しは、「これまでの家は友達を招待することが不可能な散らかり方だった。今度の家は頻繁に友達が訪れるような、そんな交流の場にしたい」と淡い夢を抱いている。そんなとき、こういう作りはうれしいものだ。うん、ちょっとプラス評価。

屋内廊下はすっと伸びている

部屋の中に入る。

まず目に付くのが、リビングまで続く室内の廊下部分。ずっと扉が続いていて、とてもシンプルかつ清潔感のあるデザインだ。これは不動産屋でこの物件の資料を閲覧していたときから気になっていたところだ。実物もかっこいい。

やっぱり、生活感まみれの家って、他人からしたらあんまりいい感じしない。そりゃ人が住んでいるんだから、生活感が出て当然だ。でも、よそさまの家にお呼ばれしたとき、ごちゃっと生活臭あふれる家を見せられると、なんだか居心地が悪くなるものだ。それがこの家だと、ある程度緩和されそうな予感。

下駄箱

下駄箱。2軒目の物件と比べて、棚が多い・広い・高さ調整がきく、ということで何かと便利そうだ。こういうのは間取り図には載っていないので、やっぱり内見するしかない。

問題のリビング

リビングに入る。さて、これが問題だ。間取り図を見た時点で「この家はどう使いこなせばいいのか?」と首をひねってしまったのだが、それが今まさに目の前にある。簡単に言えば、L字型のような形になっている。で、ベランダはエアコンの室外機とガス給湯器を置くためだけのような狭さ。荷物は事実上置けない。

完全にL字型に部屋ができていればまだ良かったのだけど、梁が出っ張っているので実際に住むとなると相当デッドスペースができそうな予感がする。8畳くらいの広さだったと記憶しているが、その通り有効活用はできないっぽい。

窓は大胆に天井から床までガラス張りになっている。「ミニスカートをはいた状態で窓際に立っていたら、道路からパンチラされる」と思ったが、安心しろおかでんは男だ。ミニスカなどはかぬわ。

「冬、相当冷気が入ってきそうですねえ・・・」

ぱっと見て思った印象。そもそもこの家、天井が高いし、窓枠が銀色だし、薄いカーペットということもあって寒々しい。寒さ暑さが気になる。

カーテンレール

「いや、大丈夫ですよ、カーテンをつければ寒くないですよ」

と不動産屋は言う。しかし、この部屋の形状だと相当特殊なカーテンを装着しなければいけないっぽい。何しろ、3面ある。高さも、けっこうある。

「これ、採寸して3つのカーテンを特注しないといけないっぽいですね・・・あれ?」

目立たないように天井の溝に設置されているカーテンレールは、3面ごとに区切られているのではなく1本の長いレールだった。つまり、この窓にはながーいカーテンを取り付けるということになる。

いずれにせよ、オーダーカーテンになることは間違いない。なんか、面倒だな。

思ったよりわくわく感はないし。だんだんネガティブになってきた。

窓側からリビングを見る

出っ張った位置になる窓際に立って、リビングを見たところ。

キッチンのカウンターがこの物件最大の特徴でありわくわくポイントだ。

「照明は・・・間接照明になってるんですね」

いちいち、こういうところが凝っている。部屋の間取りといい、さっきのカーテンレルといい。

間接照明といえば、柔らかい光となって雰囲気が出るというメリットがある。しかしこの部屋の場合、白色蛍光灯ということもあって、むしろ寒々しさを強調してしまっている。うーん・・・。

「あのすみません、この蛍光灯なんですけど、玉切れになったらどうするんですか?」
「お客様で交換していただく形になりますね」
「あー。でも、これ手が届かないですよ?天井まで高いし、間接照明にするために奥まったところに蛍光灯がついてるし」
「脚立かなにかをご用意いただければ」
「わざわざ蛍光灯交換のために?脚立って、不動産屋さんにお願いすれば貸してもらえたりします?」
「ええ、仰っていただければ」
とはいっても、消耗品の蛍光灯なんて1年に1回以上はどこかが玉切れを起こすだろう。その都度、不動産屋までいって、デカい脚立を借り受けて運ぶってのはイヤすぎる。うーん、メンテナンス性の悪さで、この物件は厳しそうだな。

「あの、なんでしたらこの間接照明を差し上げますよ。使っていただけるのでしたら、入居が決まってからでも置いていきますんで」

リビングの片隅に置いてある間接照明を不動産屋は指さす。

「いやー、これは僕のセンスじゃないなあ」
「ははは」

以上この話終わり。

さて、この部屋をどう使うかというのが悩ましい。

「ええと、キッチンのカウンターがそこにある、ということは、食卓をこのカウンターにくっつける形で配置することになりますよね」
「そうでしょうね」
「で、テレビの同軸ケーブルの口がここにあるから、テレビはおそらくこのエアコンの下に置くことになるのでしょう」
「そうなりますね」
「となると、ベッドは?・・・窓際に置くしかないですね」
「はい」
「随分デッドスペースができますよ。この梁が邪魔すぎる」
「いや、他の部屋にお住まいの方も、窓際にベッドを置いてらっしゃいますよ。窓に沿って寝てらっしゃる方もいます」
「ええ!?この狭いスペースに?ベッド、入らないでしょう」
「その方は布団ですね」
「いやあ。。。それはちょっと。。。」

やっぱり変な形の部屋なので、テトリス的に美しく家具を並べるのは難しいようだ。そのためにデッドスペースができ、そこが時間の経過と共にブラックホール化していくのは目に見ている。ゴミがたまっていったり、無くしたと思った「何か」がそこから数年後に発掘されたり。

カウンター付きキッチン

キッチン。

これまで、単身者の家というのはキッチンは玄関先にあるものだという先入観があったので、こうやって独立したスペースというのは目からウロコだった。こういう間取りもありなのか。

宅配便や宅配ピザを受け取る時、何がイヤって、玄関から雑然としたキッチンが見えてしまうということだ。洗っていない鍋とかが見えるとこちらのプライドに関わる。その点この家の場合そういう心配はない。しかも、リビングとつながっているカウンター部分にはロールカーテンが備わっており、キッチンを視界から遮ることも可能だ。これは案外いいぞ。
料理をどんどん作っていくそばから、カウンターに並べていく・・・いいね、そういう自炊生活(この時点で、自炊は抑制しようというさっきまでの考えが吹っ飛んでいる)。

これまでの家は、暫定的に切った野菜を置く場所すらないようなキッチンだった。ここなら、いろいろできそうだ。

コンロはIH。IHコンロを嫌う人も結構いるが、僕はむしろ歓迎する。物心ついた頃から自分の家や実家はIHコンロまたは電気コンロだったので、今更ガスを使うのがはばかられたからだ。

「これだけのスペースがキッチンにあるんだから、2口のIHにしてくれれば良かったのに・・」

と愚痴ったが、不動産屋さんいわく「単身者用の物件で、2口IHコンロってのはまずない」だそうで。

料理好きな単身者っていると思うので、そういう人をターゲットにした物件ってあってもいいのに、と思ったが、多分そんな店子は面倒なだけだから大家さんはいやがるのだろう。料理好きが入居すると、キッチン周りを確実に汚すので、物件の価値が下がってしまうからだ。

冷蔵庫スペース

キッチンを別角度から。

冷蔵庫を置く場所は流しの横。今日は巻き尺を持ってきていなかったので採寸できなかったが、この与えられた幅だと、大きめの冷蔵庫を置くことは想定していないらしい。小さな2ドア冷蔵庫でも置いてね、という考えのようだ。

うーん・・・。

給湯スイッチ

ここもお湯はガス給湯。IHコンロなんだから、いっそのことオール電化にしちまいなよ、と思う。でもそうはならないのがコストなのだろう。電気でお湯を沸かすのはガスと比べて割高、というわけなのだろう。ガスを使うにあたっては毎月基本料金がかかるわけで、オール電化にするとその分が明らかに浮く。でも、そのガス基本料金分を補って余りあるほどガスの方が安いということか。このあたりはコスト比較をしたことがないのでよくわからない。

大学時代に住んでいた家はオール電化だった。そこは水道代は共益費に含まれていて使い放題、という変な物件だったのだが、お湯は電気で沸かしていた。電気湯沸かし器の場合、お湯は電気料金が安い夜間に作り置きされ、それを一日かけて使うというやり方だった。つまり、昼間は追い炊きをしてくれない。そのため、夏など一日二回お風呂に入る日があると、すぐに水風呂になってしまいえらく困った記憶がある。湯を貯めておくタンクが小さかったからだ。

かといって、無駄に大きいタンクだと、夜間とはいえ電気代が馬鹿にならない。こういうところが電気温水器の難しいところなのだろう。

ユニットバス

ユニットバス。今回物件探しをしていて気がついたのだが、ユニットバス物件って昔と比べて減っているようだ。やはり敬遠されているのだろう。特に女性に話を聞くと、ユニットバスは絶対にイヤ!と首をぶんぶん振る人が多い。

僕なんかが、「えー、でもユニットバスは便利だよ、シャワーでトイレを丸洗いできるし」と言うと、キモがられる。そんなに嫌わなくてもいいだろうに、というくらいに。でも実際、ユニットバスの家に住んでいた時の方がトイレは奇麗だった。尿石こびりつきとか少なかったし。

ユニットバスは、「いかに狭いところに風呂、洗面台、トイレを押し込むか」という創意工夫のたまもの。だから、いろいろな物件を見て回ると、その工夫の様がそれぞれあって面白かった。

浴槽の形って、長方形が当たり前なのかと思っていたけどさにあらず。この物件がまさにそうなのだが、台形になっている。足を伸ばす方向を狭くし、背もたれの方向は広くしてある。こうやって狭いところに浴室を押し込んでいるというのは苦労の表れだ。

また、便座においても、スペースに余裕がないこの物件のような場所だと、斜めに取り付けられている。

ユニットバスはどれも同じ、と思わないで、こういうところもちゃんと吟味すべきということを今回学んだ。

収納1
収納2

屋内廊下沿いにある収納スペース。観音開きの扉を開けてみたところ。
棚があって、天井まで荷物をあれこれ入れることができる。これはすっきりしていてとても便利そうだ。

洗濯機置き場も扉の中

洗濯機置き場まで扉で隠れるというのが素敵。

うーん、この物件、マイナスポイントがたくさんあって、プラスポイントもちょこちょこあるって感じ。積極的に「これにしよう!」とは全く思わないけど、他に良物件が見つからなければ、第二第三候補として選択肢になりそうだ。

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