いいぞォ、山小屋はいいぞォ【仙丈ヶ岳】

12:36
ああ、完全に下界に戻ってきたよ。登山中の非日常的な、ノイズから遠ざかった静かで充実した時間が急速に現実に引き戻されていく。

俗だ、俗にまみれた世界だ。

だーかーらー、なんでこんな世界に一刻も早く戻ろうと、慌ててバスに乗るんだよ。もっとゆっくりできりゃいいのに。

でも、登山って、帰宅してそれで終わりじゃない。旅行もそうだけど、汚れた服をはじめとし、靴やザック、レインウェアなどをメンテナンスしなくちゃいけない。山中で自炊しているなら、クッカー類も洗う。この時間と手間を考えると、早く帰りたくなっちゃうんだよな。翌日は仕事だし。

いっそのこと、登山道具一式ぜんぶレンタルサービスなんてのが全国の登山拠点にあるといいんだよな。そこでぜんぶ借りて、登山が終わるとそこで全部返す。服も全部レンタルで、汚れたままで返却でOK。

そのレンタル屋さんのロッカーで自分の服に着替えて、ほぼ手ぶらで帰宅する。。。なんて最高だと思いませんか。

うん、高コストになるだけかもしれないので駄目かもしれないけれど。

途中、広河原行きのバスとすれ違う。1台編成だった。もう今日この時間から山を目指す人はあまりいないのだろう。

12:58
きっちりほぼ2時間で、甲府駅に到着。

さてお昼ご飯はどうしようか。

いやお昼ご飯と言ってもさっきとん汁と松茸ご飯を食べてきたので、もう食べる必要はない。

とはいえ13時に甲府駅ともなれば、何かつまみたくなるのが人情というものだ。

近隣のお店?それとも駅弁で電車の中?または駅の売店でなにか山梨名物?

ああ、駄目だ駄目だ、「なにか食べる」ことが前提になっちゃってる。

13:00
ちょうど駅前に「奥藤本店」があった。

鳥もつ煮で有名な蕎麦屋だ。

ここで蕎麦を食べてもいいなと思ったが、日曜日のお昼ということもあって観光客らしき人が大勢いる。

混んでいるっぽいのでここで食べるのはやめにした。

やっぱり気持ち的には若干の罪悪感後ろめたさがあるなので、混んでいないお店で、スルリと注文してサラリと食べ終わるようなお店がいい。どこか、そんなお店はないものか。

そんな奥藤本店のすぐそばに「セリフ立ち食いそば・うどん 丸政甲府駅南口店」があった。甲府駅北口の店は北岳に登ったとき、山賊そばを食べたものだ。

あの時はまだ南口店はなかったけど、今は駅の南口側にも小さいお店ができている。なるほど、ならば山賊蕎麦を食べて帰ろう。

なぜなら、僕はさっきまで山賊だったんだから。

勘違いしやすいのは、丸政には「山賊そば」というメニューが存在すると思ってしまうことだ。

実際はそのようなメニューはなく、「かけそば」などに天ぷらトッピングで「山賊揚げ」を乗せる。この組み合わせがいわゆる「山賊そば」で、290円+110円で400円。(2017年当時)

この丸政そば甲府駅南口店はグランドオープンしたばかりらしい。

それを記念して「大盛り無料」なんだと。なんて素晴らしいんだ。ならば僕もそのお祝いをしなくちゃいけない。はい、大盛りでお願いします。

いやー、食べ過ぎだってば。2時間前に食べた豚汁と松茸ごはんはどこに消えた?

13:10
駅前ロータリーに、金券ショップの「アクセスチケット」がある。ここであずさ・かいじのチケットを買うことができるので、ここで購入。

甲府から新宿までだと、特急券+乗車券で2,875円。

13:23
甲府駅で あずさ回数券に指定席を割り当てる。

13:29発のかいじ112号があったので、これに乗ることした。おい、またゆっくりしている暇がないじゃないか。

どうしてこうもデフラグみたいな旅程を組みたがるんだ?もう少しゆっくりすればいいのに。

しかも、「特急かいじ」は甲府始発だ。自由席で十分に座れるのであり、わざわざ座席指定をしなくてもよかったのにね。

駅ビルが新しくなっていて驚かされるのだけど、改札脇に山梨県のお土産を売る立派なコーナーがあるのが素晴らしい。一通り欲しいものは買えるレベルなので、時間がなくてもここでざくっとあれこれっ買うことができる。

さすがにこだわりの甲州ワインを吟味して買う、なんてことはできないけれど。

行くのも大変帰るのも大変だと思っていたが、帰りはなんだかとんとんとんと慌ただしく帰ることになった。

甲府でゆっくりする暇もなかったけれど、山賊蕎麦を食べることができたし、ひとまず満足。

そもそも、北沢峠からトータルでバスに乗ること2時間半。ゴトゴト揺れる車中ではあるけれど、頭を無心にしながら過ごせた時間は貴重だった。揺れるからスマホなんて見てられないし。

都会に住んでいると、僅かなスキでもスマホの画面を見るような悪いクセがついてしまっている。スマホ断ちを意識的にできる空間と時間を作る。それだけでも、登山をする意味がある。

かいじ。

ホームには、「レールマルシェ」という、普通のキオスクとは違う趣旨のお店があった。

これは面白い。ぶどうとか、山梨の名産品がそのまま売られている。生の果物を売っているホーム売店というのは初めて見た。

13:40
かいじはゆるゆると甲府駅のホームを出発した。

これにて旅は終了。怪我ひとつせずに下山出来たし、良い山歩きだった。

今回は雨だったけれども、二日目はすっきりと晴れてこれ以上ない山歩きが出来た。

そしてやはり、しみじみと感じるのは山小屋っていいよなあ!ということだった。

確かに山小屋は不便だ。そしてサービスの内容と値段とが釣り合っていない。それは山奥という場所柄仕方がないことだ。でも、快適ではないのは間違いない。

しかし時期をずらしたり曜日をずらすことで、少しでも混雑を避けて快適さを増す工夫は可能だ。山小屋泊を楽しむなら、みんなが登る時期は避けるということに尽きる。

そうすれば、下界から完全に隔絶した自然に囲まれた空間で、一晩楽しく過ごすことができる。

これは本当に素晴らしい体験だ。携帯の電波が入らない不便さは、むしろ嬉しいことだった。

不自由さのためにお金を払う。

そういう時代はもう既に訪れている気がする。

今回とても不自由な場所に行って、 それをとても満喫できた。

やっぱり山はいい。

そしてやっぱり山小屋もいい。

そう感じた山歩きだった。

2017年シーズン泊まりの山はもうこれで終わり。

後は、本格的に寒くなる前にどれだけ低い山登れるかどうか。

いずれにせよ、今年一年いい山歩きが出来たと思っている。ありがとう仙丈ヶ岳、ありがとう馬ノ背ヒュッテ。

(この項おわり)

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