地上の楽園を普段使い【小梨平ソロキャンプ2019】(その01~20)

11:49
というわけで、新島々に到着。

・・・って、おい!もう昼だぞ、正午間近じゃないか。

さすが上高地、と改めて驚かされる。「なにやら近くに友達が遠足に来ているらしいので、昼メシだけでも合流してサクッと戻ろう」という立て付けで下山してきたのに、早くも昼だ。

いやでもあんた、上高地を出発したのは10:40だし、朝6時過ぎから起きて活動開始しているんだから、当たり前でしょう?と思うだろう。でも思い返してほしい。今日僕がやったことは、

朝ご飯を食べる→明神まで行く→穂高神社奥宮→かふぇ・ど・こいしょ→上高地に戻る

だけだ。なんてシンプルなんだ。

このシンプルさこそが、僕に癒やしを与えてくれている。ガチャガチャと、まるでテトリスとかデフラグをやるようにスケジュールを詰め込むことがない。もっとパズルのピースが大きくて、ハマりかたがゆるい。

とはいえ、感心ばかりはしていられない。また同じ時間をかけて上高地に戻らないといけないからだ。

あんまり遅い時間に戻ると、お風呂や夕ご飯の準備に支障がでる。あと、本当に日が暮れたら寝るしかない場所なので、日没前の明るいうちに時間の余裕がほしい。

・・・ということで時刻表を確認すると、2019年5月3日における最終便は16時45分であることがわかった。とはいえ、この最終便に乗るとキャンプ場帰着が18時を回ってしまう。現実的には、16時10分の便が「俺的最終便」ということにした。

仲間たちは現在どこにいるのか、詳細情報は入ってきていない。なにしろマメヒコ御一行様はいつもその場で臨機応変に対応していく。その発想の柔軟さは驚くばかりだが、おかげで状況が全く把握できていない。

仲間の一人が新島々駅まで車で迎えにきてくれて、他の仲間がいる場所に移動する。

車で到着したのは、「梓川ふるさと公園」という松本市営の公園だった。ため池があったり、マレットゴルフ場があったり、多目的広場がある。こんな場所があるとは、全く知らなかった。

ため池脇には桜が植えられていて、ほぼ散った桜、葉桜へと移り変わっている桜が美しい。水面に写り込むその姿も素晴らしい。

なんでここにわざわざ東京界隈からやってきた遠足の人たちがいるのかと思ったら、農産物直売所かどこかで食材を見繕ったので、それをバーベキューにするのだという。この公園には予約不要・無料で使えるバーベキュー場がある。よく見つけたな。

思いつきなので、バーベキューの道具は炭火コンロからなにから、全部その日に現地調達だ。

女性が多いメンツなので、数少ない男性の僕は火起こしをサポートする。

なんだなんだ、急に世俗になったぞ。今朝まで、上高地で仙人のような生活を送り始めていたんだけれど。

ちなみにバーベキューができるようにコンクリートのU字溝が用意されているところは全部埋まっていたので、バーベキュー場の隅っこギリギリのところで、かろうじてコンロをセットする。新品のコンロを、バリバリと袋を開けて組み立てる。

で、その「世俗」で大いに感心させられたのがこれ。へえ、「着火炭」ってのが世の中にはあるのか。

火がつきにくい炭。なので、よくジェル状の着火剤や、温泉旅館で定番の固形燃料などを使って持続した火を用意し、炭に火が燃え移るのを気長に待つ。僕なんかは、着火剤は楽ちんだけど邪道、とばかりに新聞紙だけで炭をおこす美学があるけれど。でも失敗したらかっこ悪いので、そんな美学は捨て置いて便利ツールを使うにこしたことはない。

この着火炭の場合、「炭とは別に、着火剤も買う」のではなく、「炭であり、同時に着火剤でもある」というのがすごい。自分で燃えて、そのあと燃え続ける炭。よくできてるわ。

大量に買い込んだ食材を次から次へと刻んだり下ごしらえをしているのは、カフエマメヒコのオーナー、井川さんだ。

次から次へと、テキパキと料理の準備を進めていく様は圧巻だった。まるで事前にレシピを計画していたかのようだけど、全ての食材との出会い、そしてバーベキューをやることさえも今日になって決まったことだ。

この人は経営者であり、アーティストであり、役者であり、ミュージシャンであり、文筆家であり、ラジオパーソナリティであり、映画・舞台監督であり、農家でありと多彩な才能の持ち主だ。カフェのオーナーとはいえ、普段からお店の厨房に立っているシェフではない。しかし常人ならぬ感性で、グイグイと料理を創作していく。

熱源がこのコンロ1つしかないなので、段取りを考えるのも大変だ。火力が安定するまでしばらく時間がかかるし。

今、深底のフライパンで刻んだ野菜を炒めているところ。奥は、分厚い牛肉をホイルにくるんで、オーブン焼きに近い加熱調理をしている。

きのこを炒めはじめた。

きのこが何種類も入って、先程までの緑黄色から一気に茶色に染まった。

一体これがなんの料理になるのか、まだ我々はさっぱりわからない。わからないなりに火の番をする。

おっ。

今炒めたやつをそのまま食べるのかと思ったけど、一旦アルミのバットにうつしてしまった。えー、これで料理1品完成!だと思ったのに。まだこれで途中なのか。一体何ができるというのか。

こうやって「予め炒めておく」とか「素材を油通ししておく」といった段階を経た調理をする人、すごくかっこいい。憧れる。僕なんか料理は好きだけど、ドバーっとそのまま作っちゃうから。

「お味噌汁に入れる油揚げは、まな板の上で一旦お湯をかけて、油分をさっと洗い流すと良い」なんて知識は持ってるけど、実際にやったためしがない。

調理前の野菜が見目美しくバットに盛られているのも、素晴らしいセンスだ。でもこれ、一体何に使われるんだろう?

(つづく)

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