地上の楽園を普段使い【小梨平ソロキャンプ2019】

12:48
「かふぇ・ど・こいしょ」から嘉門次小屋を見る。

ああ、さすが昼時にもなるとお客さんがいっぱいだ。9時台でさえ、囲炉裏の周囲いっぱいに岩魚が焼かれていたけれど、これだけお客さんがいればいくら焼いても焼き足りないくらいだろう。

成田山新勝寺の参道にある有名うなぎ屋さんを思い出した。店頭では全力でうなぎをさばき続ける職人さん、焼いている職人さんがいるんだけれど、軒先にぶら下がっている整理券番号表示ディスプレイでは「ただ今の待ち:100組」と表示されている。

うなぎを焼くのには時間がかかるけれど、それと同じく岩魚も焼くのに時間がかかる。

12:57
お昼どきですね。お昼ごはんはどうしましょうか?

いや、いらないです。さすがに朝7時にサバ、9時に岩魚、10時にケーキを食べてきて、ここでお昼ごはんをさらに食べるのは過食だ。

そのかわり、ただ今より梓川の遡行を再開し、次の山小屋地点である徳沢を目指す。明神館から徒歩で1時間。平坦で歩きやすい道だけど、それなりの距離だ。腹をくくっていかないと。

しかも、帰りは小梨平まで2時間となる。

現在13時なので、明神→徳沢→小梨平とノンストップで移動したとしても、帰着が16時。もうキャンプ世界では日没を意識する時間だ。ちょうどいいタイミングとも言える。

明日の朝は帰京するので、このお散歩が上高地の自然を満喫する最後のチャンスだ。

明神~徳沢の間は、あちこちで猿を見かけた。赤ちゃんを抱いた母猿もいるし、少年少女猿がじゃれ合って遊んでいる。見ていて楽しい。動物園の猿山にいる猿を観察するよりも、こうやって自然の中で生きる姿を見られるのは貴重だ。

ほら、ここにも猿。日なたぼっこをしているのかな?倒木の上に三匹が座っている。

貪欲に食べ物を探し回っている気配がない。そんなことをしなくても済むほど、このあたりは食べ物に困らないようだ。

12:59
枯れた川を横切る。石ころがゴロゴロ転がっている。

雨が降ったときだけ川になるのだろう。しかし、涸れ沢の両側が人工的に作られた土手のように見える。これは自然の産物なんだろうか、それとも人間が人工的に「雨水はここに流れてね」と作った排水路みたいなものだろうか?

Googleマップの航空写真で上流部分を調べてみた。

これを見ると、上流に小さいながらも砂防ダムっぽいものが作られているのがわかる。

コンクリートで固めてはいないけれど、ここに人の手が加わったのは間違いなさそうだ。

13:00
涸れ沢を越えたところに、看板が出ていて道が分岐していた。

左に向かえば徳沢、右に曲がれば徳本峠。

徳本峠。「とくごうとうげ」と読む。昔は下界から上高地に入る際、この徳本峠を人馬牛ともども乗り越えてやってきていた。

今でこそ、釜トンネルという相当強引なトンネルが開通しているので中の湯・大正池方面から上高地入りするけれど、昔はそんな道は存在しなかった。釜トンネルあたりは活火山・焼岳の影響があって地形が入り組んでいる。通行には適さなかったのだろう。あと、そもそも釜トンネル経由は松本方面からだと遠回りだ。

バスと電車の結節点である「新島々駅」からちょっと上高地側に進んだところに、島々宿と呼ばれる集落がある。今だと、バス停「安曇支所前」にあたる場所だ。

今この分岐から徳本峠を越え、延々と歩いていくと島々宿に到着する。ただし、健脚でない限り山中一泊の長丁場だ。

今やこの道はあまり使われなくなったけど、「上高地開拓時代に思いを馳せつつ歩く」ということでクラシックルートとして歩く人がいるようだ。僕も、いずれはこの徳本峠超えをやってみたいと思っている。峠を超えるだけで、山のピークにたどり着くわけではない。なので景色は大して良くないとは思うけれど。

徳本峠に向かう道の入り口には、「通行しないで 大雪」と書かれた段ボールが貼り付けられていた。

そうか、徳本峠はまだ雪解けしていないのか。

アイゼンなどの装備があれば行けるんじゃないかと思うんだが、「冬山装備がない方は通行しないで」という書かれ方になっていないので、マジ大雪なんだろう。道が完全にふさがっているレベル?

13:01
上高地から明神、徳沢に向けて歩いていくということは、明神岳の東側をぐるーっと回り込んでいくことに等しい。刻一刻と変わっていく明神岳界隈の景色を見上げつつ、「ああ、ちょっと前に進んだな」と実感していく。

チベット仏教など4つの宗教の聖地であるカイラス山を巡礼している気分だ。カイラス山は聖なる山として扱われていて、有史において登頂した人がいない。そのかわり、巡礼者は山の周囲50キロ以上をぐるっと回る。単に山のふもとを回るのではない。巡礼路の最高地点は標高5,630メートル。酸欠で倒れそうだ。

13:04
明神から先になると、ぐっと観光客の姿が減る。もちろん、「あともう一歩頑張って徳沢まで行こう」という人はある程度いるので、軽装の観光客はいる。しかし、上高地~明神の観光地感はもはや残っていない。

静かな森の中を歩く。倒木さえも苔むして美しい。

徳沢に向けた道。相変わらず道幅が広く、平らに整地されていてとても歩きやすい。

時折すれ違う下山中の人は、テントを背負っている人が多かった。涸沢でテント泊をしたのだろう。

湧水ポイント。

湖底に穴が開いていて、そこから水が湧き出しているのが見える。

「おお!これはきれいだ!」と写真撮影してみたけど、「水が湧いている様子」をわかりやすく撮影するのは無理だった。

13:29
気持ちの良い道はまだまだ続く。ご覧の通り、平坦だ。ヒールを履いて徳沢に行くことだって、不可能ではないだろう。ただし、わざわざそんな危険&疲れることをする理由はどこにもないけれど。

(つづく)

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