20:23
夕食後、夕涼み(GW中というのに、夕涼みとはちょっとヘンだが、そんな気温なんだわこれが)がてら、近くの港まで散歩に行く。
誰もいない。
誰もいないので何だか楽しくなってしまい、「うひょーい」などと地域住民の迷惑にならない程度の奇声を発しつつ、岸壁を走り回ってしまった。
21:37
とりあえず夕食中にしこたまビールを飲むこともできなかったわけだし、部屋でちょっくら晩酌でもしますかね、と。
取り出したのは友人から貰った「千亀女」というお酒。
「昼も夜もカメ食って、今度は晩酌でカメを飲むのか。そりゃあいいやハハハ」
「千のカメ女って一体なんだ。美女軍団とはとても思えない光景だな」
「竜宮城のお姫様って、案外カメ女だったかもしれんぞ」
なんていいつつ、ぐいっとお酒をあおる。
うは。これ、清酒じゃなくて焼酎だったのか。中身確認していなかった。
23:52
その結果、一人で酔いつぶれて寝てしまった御仁。
旅の一日目・・・いや、二日目になるのか・・・はこうして暮れていった。
2006年05月04日(木) 3日目
07:00
朝だー。今日は天気が良さそうだ。青空が見える。
と、思ったら、途中雨が降るらしい。今日は、ははじま丸が14時出航の予定なので、それまでの間母島を満喫する予定だ。
本当は、母島最高峰である「乳房山」に登る予定だった。母島観光協会で「これから乳房山に登りますよー」と宣告し、山頂で「指示されたあること」をやって下山してくれば、観光協会から何か記念品が貰えるらしい。
しかし、宿のおばちゃん曰く、「ぬかるんでいてすべるからやめておいた方が良い」んだそうで・・・。あら、そうでしたか。予定変更で、島の最南端を目指す事にした。
他にも、カルスト地形で鍾乳洞が形成されていて、公認エコガイドが居ないと立ち入りが制限されている石門に行く予定だったグループが、「前日の雨の影響で危ない」ということで中止になっていた。聞くところによると、「ジュラシックパークのシーンみたい」な、手つかずのジャングルが広がっていて凄いらしい。
しかしそんなものに見向きもしないで、戦跡を巡っている我らアワレみ隊。うーん、素敵。
07:03
朝食。
いやあ、シンプルですな。
「ハムが偉そうな顔をして朝食メインディッシュの皿を彩っている」というのはよく見かける光景だが、ここでは笹かまぼこ様が鎮座していらっしゃった。
しかし、そうはいってもこのシンプルな朝食、母島における食料自給率ってどれくらい?となるとほぼゼロパーセントなんじゃないだろうか。うーん、離島での生活は厳しい。
07:04
あっ。
相変わらずしぶちょお、持ってますな。しかも今日は特に盛りがよろしいようで。
「まんが日本むかしばなし盛り」とはよく言うが、これはそれを超越している。
円卓を囲んでの、宿泊者全員での朝食なのでいやがうえでもこの光景は目立つ。女性グループの人なんて、目をまん丸にして「これホントに食べるんですか?」なんて聞いていた。しぶちょお、平然として「ええ、食べますよ。もちろん。これくらいは普通です」なんて答えてた。格好いいぜ、しぶちょお。
07:06
おかずの量と種類の少なさが、巨大なご飯の消費を阻害するのではないか・・・と危惧されたが、本人曰く
「何を言ってるの。海苔と納豆があればいくらでも食べられるでしょ」
とのことで、その通り見事な食べっぷりで全てのご飯をあっという間に平らげてしまった。これでまたしぶちょお株急上昇。
こういうのをバカにする人もいるとは思うが、離島に来る人達は心が優しいのか、面白いもの好きなのか、特に先ほど「大丈夫?」と聞いてきた女性なんてしぶちょおに尊敬のまなざしをおくっちゃったりなんかして。
われわれが「今日のははじま丸で父島に戻ります」と宿泊客たちに告げると、みな一様に「えー」と驚いていた。みんな、二泊、三泊するようだ。母島に来たからには、つぎのおが丸がくる日まではここに滞留しのんびりとすごす覚悟の様子。われわれだけなのかね、離島にきてもせわしないのは。
07:50
早々にチェックアウトを済まし、出発することにする。今日も車を借りて移動するわけだが、
「二日借りたといっても、実質24時間も借りてないですよねえ?一日分の料金でまかりませんか」
と交渉したが、交渉成立せず。こういう島においては、島民の方が圧倒的に立場が強い。交渉なんて成立しない。
とにかく、ガソリンだけでも1リットル200円近くしてしまうらしく、やっぱり値引きは難しいんだそうで。
08:00
幹線道路を、今日は南に向けて走る。こちらもアップダウンとカーブが多く、車のエンジンがうなりをあげる。
途中山道になって往復1時間以上の徒歩を強いられるが、母島最南端の小富士まで行くことにした。
宿のおばちゃんにばばろあが「戦跡巡りやってるんですよ」と言ったところ、おばちゃんが「それだったらぜひ、小富士のところにある砲台跡を見るべき。あそこはスペクタクルよぉ~」と言っていた。「北港に向かう途中にあった砲台跡や探照灯基地は見たんですが、あれよりも?」「そうねーあれよりもスペクタクルねぇ」だそうで。ばばろあ激しく興奮。
あと、われわれが宿泊していた宿から丘に登ったところにある静沢という地区にも、軍の施設跡があったり砲台が残っていて、大変に「スペクタクル」なんだそうな。こういう文法で「スペクタクル」を使う人は初めて見たが、あまりに自信たっぷりなので期待して間違いなさそうだ。
08:02
コンクリートの道が駅のロータリーのようにぐるりんと旋回しているところが、道の終着点だった。
どうやらここから先は歩いていけ、ということらしい。
われわれよりも早く来たであろう観光客の車と、自転車・・・じ、自転車?こんなところまで自転車で?が停まっていた。
おや、何か看板があるぞ。
08:02
「ここは都道最南端」と書いてあった。
だからどうした、という気がするが、何だかスゲー得した気分になったので、記念撮影を一枚。
ばばろあが写っていないが、彼は早く「スペクタクル」に会いたいために準備に余念がない。
「はよ行こうで。そんなんどうでもええじゃろうが」
仰るとおりで、確かにどうでもいいんですけどね、都道最南端って。
それにしても「北緯26度」に東京都の道があるっていうんだから驚きだよなあ。
08:06
宿のおばちゃんが気を利かせてくれて、透明ポリ袋を一人一枚ずつ配ってくれていた。これに、首と手が入るように穴をあければ、簡易雨合羽の完成だ。
当然傘は持参していたのだが、ジャングル歩きをするところまでは想定していなかったので、雨合羽までは用意していなかった。
では、これから小富士に向けて出発。
08:09
独特な植生の森の中を歩く。何なんだ、この木は、マングローブみたいなやつだ。
08:18
歩き慣れていない人だと辛いかもしれないが、落ち葉がつもっていて地面はふかふかしているし、ちょっと山歩きをしたことがある人だったら全然問題なく楽しいトレイルだ。
・・・とはいっても、道がぬかるんでるんだよなあ。ああ、うっとおしい。
08:24
道の分岐点に出た。
右折で蓬莱根浜0.2km、なんだそうで。
われわれは直進。
あ、既に1.3kmも都道終着点から歩いてきたんだな。
08:27
何か急に景色が開けてきたと思ったら、眼前に広がるのは地滑りでも起きたかのような広大な崖。赤く染まっている。
「すり鉢」と呼ぶそうだ。確かに、形、色からしてすり鉢っぽい。
こんなすり鉢で胡麻をすったら、一体どれだけすれるんだろう・・・と一瞬考えてしまったが、待て、その前に胡麻だか砂だか何が何だかわからなくなるからやめろ。
昔は子供達が、この崖からオガサワラビロウの葉っぱをソリ代わりにして滑ったということだ。あぶねーって。ここ、相当急な崖だぞ。しかも、崖の底には木が生えていて、激突したら大けがもんですわ。
結論。昔の子供はたくましかった、ということでOK?・・・いいんじゃないかと。というか、単なる無謀とも言えるが。
08:30
すり鉢のところから島の東側の海が見えた。やー、相変わらずきれいじゃのぅ。
08:30
休憩舎が用意されていた。茅葺き・・・とは言わないのだろうが、植物を葺いた独特の傘型屋根の東屋だ。
といっても、座るところちっちゃ。
地面がぬかるんでるし、座るのはご遠慮させて頂くことに決定。
08:43
徒歩開始から2.2km地点でまた分岐が出てきた。
右折、南崎0.2km、直進、小富士0.4km。
「まだ400mもあるのかー」
後ろから苦痛の声が聞こえるが、いやいやあともう少しです頑張ろう。
08:51
さすがに小富士本体にとりついたら、斜面がきつくなってきた。
しかし、うっそうと空を覆い尽くす木々が無くなり、空が見えるということはいいことだ。「山頂近し」ということが体感できる。
あともう少しで到着だ、それ頑張れ。
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