小笠原遠征

ははじま丸

13:27

ロース石の素晴らしさに感動しつつも、気になるのは我らが胃袋だ。飲食店が開いてないとなるとは困ったもんだ。

幸い、よろず屋さんが開いていたので、そこで何かを見繕う事にした。・・・といっても、なかなかいいもの、無いねえ。さっきまでは「島特産の魚で握られた寿司なんていいねえガハハ」なんて言ってたくらいなので、目の前にあるサバ缶とか見ちゃうと、なんだかがっかりしちゃって。あと、小さな島のよろず屋さんなので、生活に必要最低限なものしか置いていない。冷凍品も多い。えいやっと覚悟を決めて、何種類かのお総菜類を購入した。もうやけくそだ、こうなったらははじま丸の中でランチクルーズとしゃれこむことに決め、ビールを何本か購入。

港に到着してみると、すでにははじま丸は到着していた。相変わらず必死にコンテナの積みおろしと積み込みをやっている。間に合うんかいな、と見ていて心配になるが、どうやら大丈夫そうだ。

それより気になるのはお巡りさんだ。わざわざパトカーで乗り付け、お巡りさん2名がもうスタンバイしている。恐らく母島警察の全勢力を結集したと思われる。しめた、悪いことをするなら今がチャンス。

それにしても不思議だ、昨日は1名の警官が形式的に降船客をチェックしていただけだったが、今回は2名体制になっている。何かあったのだろうか。

そういえば、さっき買い物をしたよろず屋のおねーさんが、「あっ、あいつだ!あいつがナントカカントカ」って外に追いかけていってたっけ。万引きでもした奴がいるのだろうか。もしそうだとしたらつくづく馬鹿な奴だ、こんな離島で軽犯罪したって逃げられるわけがないし、とっつかまるなんて一番愚の骨頂だ。

乗船手続きを行う

13:30

ま、どういう結末になるかは後のお楽しみとして、われわれも乗船手続きを行う。

ははじま丸の父島行きが混むのは、おが丸出航当日らしい。次のおが丸出航まではあと3日あるので、待合室は結構閑散としていた。

クジラのモニュメント

13:35

暇なので、のけぞっているクジラのモニュメントの中でわれわれものけぞってみる。

こういうお馬鹿写真を見てみると、必ずおかでん+しぶちょおであり、ばばろあは写っていないんだな、なにげに。

お巡りさん

13:42

おっと、警察24時の報道スペシャル開始、ってなありさまでさあ。

何やらお巡りさん2名を挟んで、おねーさんとオッサンがやりあっている。おねーさんの方が激高しているので、どうやら被害者らしい。

「アンタのせいでなんちゃら」

とかいってオッサンをこづこうとするのを、警察が割って止めに入っている。遠方から見ているわれわれは他人事なので「ええぞええぞやれやれ」と無責任な声援。

さすがに近づいて話を聞くわけにもいかなかったので、遠方から漏れ伝え聞こえてくる声からの判断だが、このオッサンが南崎だかどこかに行くっていうんで、有料を条件におねーさんが車に乗せてあげたらしい。しかし、途中で口げんかになったかなんだかで、オッサンが途中下車、もちろん無賃乗車でトンズラしたと。で、「コンニャロー」となっているのが今まさにこの瞬間。

一般観光客にとっては、ははじま丸しか交通手段が無いので、被疑者を捕まえようと思ったら港で待ちかまえていれば良い。ここの警察は非常に手堅い「犯人追走手段」を確立していると言える。

で、このままドツキあいがはじまるのか、それとも署に連行されるのか、さらにはその場で現金授受で和解するのかと固唾を呑んで様子を見守っていたのだが、なんだかわからんうちに皆様解散。あれれ。

プロレス見に行って、大一番のタイトルマッチに他の選手が乱入してきて無効試合になって観客総立ちで怒る、みたいなありさまですわ。なんのこっちゃ。

恐らくオッチャンのほうが謝罪して事は済んだんだと思うけど・・・。

対岸の崖にも、銃眼

13:45

「一番のスペクタクルになると思ってたんだけどなあ、残念」

などと無責任な事をいいつつ、ははじま丸に乗船。せっかく今日はいい天気だし、外の空気が気持ちいいオープンデッキを本拠地にランチクルーズとしゃれ込むことに決めた。

おや。

沖港の岸壁の対岸の崖にも、銃眼発見。この壕は、わざわざセメントで四角く作り上げた至って人工的なものだ。自然の崖に穴を開けた物とは違う。射角の問題なのか、それとも岩盤のもろさの問題なのか。

ばばろあはこの銃眼の入口になる壕を探しに一人で探検しに行っていたようだが、結局見つけられずに戻ってきた。

手を振り合いながらのお別れ

14:00

「ありがとーう」「さよーならー」と、お見送りに来た宿の人たちと手を振り合いながらのお別れ。

ごぶの木の豪快なオバチャンも、ちゃんと見送りに来てくれた。なんだか、すごく、すごくうれしい気持ちになる。そして、ちょっとだけ哀しい気持ちにもなる。なんだか船旅って、不思議なものだ。徐々に遠ざかっていく光景が、いろいろな気持ちをわき上がらせるのだろうか。

いや、違うな。多分、この交通の不便さから、恐らく二度と母島の地を踏むことは無いだろう。父島だったらまだ可能性があっても、さらにそこから2時間先の母島となると、多分訪問はないと思う。一期一会、じゃないけど、そういうのが感じられるからこそ切ないんだろうね。ココロの底から、「ありがとうー」と大きな声をだして、こぶの木のオバチャンに感謝の意を伝えた。向こうも、うれしそうに手を振ってくれた。また会えるといいなあ・・・。

母島を後にする

14:01

「ありがとう」「さようなら」とは言えても、「また来るよー」という言葉がついに言えなかった自分にちょっと哀しい気持ちになりつつ、いつまでも手を振ってくれる人たちに手を振り返していた。

こぶの木のオバチャンは、小笠原諸島外から嫁いできた人だけあって小笠原の自然と観光の共存についていろいろ考えを持っている人だった。

空港設置に関する議論や、TSLについてもいろいろ話をさせてもらい、地元の人たちの交通に対する一喜一憂がよく分かった。ただ、明るいニュースとしてオバチャンが言っていたのは、「近いうちに、小笠原へは関西からも船が出るようになるから。そうすると、西日本地方からのお客さんも来るようになるんだよ」ということだった。うれしそうに語っていたなあ。それはいい話だ、おが丸と関西航路の船の着岸日が微妙にずれていれば、島は常に観光客がいる状態になっていい事だ。

・・・が、そのオバチャンの話、2007年4月時点では実現したというニュースを全く聞かない。廃案になったのか、それとも検討が長引いているのか。webで調べたが、そのような情報ソースは全く見あたらなかった。あの話は一体なんだったんだろう。

ランチクルーズ

14:05

さあ、船が動き始めたことだし、ランチクルーズ(今、必死になって「昼食」「腹ごしらえ」「食いっぱぐれたので適当に買ってきた」という表現は避けている)だ。

買ってきたのは、各自パン類と、あと全員で食べる用のお総菜。こういう離島でもパック詰めのお総菜って売ってるんだな、と感心したものだが、正直あまり美味そうには見えない。肉団子と、天ぷら盛り合わせ。まあ、食事にありつけるだけ感謝感謝なのです、なにしろここは東京から27時間30分。地球の反対、ブラジルのサンパウロに行くよりも時間がかかる「国内」なんだから。

乾杯

14:08

というわけで、乾杯。

水平線と船の傾きを見て貰えば分かるとおり、既に結構傾いております。もう船酔いには慣れたつもりなので、酔い止め薬は飲んでいない。それよりもビールで酔っちゃえ。

崖を見ると銃眼探し

14:10

いかん、駄目だ。

どうしても崖を見ると銃眼探しをやってしまう。あ、ほら、あそこに2箇所発見・・・。

癖になってしまったではないか。

「小笠原一週間の旅行、どうでしたか?海なんてきれいだったでしょ?」って職場の後輩に聞かれた時、「うん・・・そうだねえ、崖ばっかり見ていたからあんまり海は覚えていない」なんて答えたら、絶対変な人扱いされると思う。気を付けなければ。

遠ざかっていく母島

14:14

遠ざかっていく母島。

さようなら、東京都最果ての有人島。

温かく出迎えてくれてありがとう。少ない人口のなかで生活をするのは大変だと思うけど、これからも頑張ってください。

カレーパン

14:21

いや待て、しみじみしている場合ではないぞ。おかでんが買ったカレーパン、消費期限切れになっとる。

ばばろあ、しぶちょおが買っていた他の食材についてもチェックしてみたが、あー、結構期限切れがありますなあ。

まあ、離島ってことで、ドンマイ。

別に腐っているわけじゃないし、味が落ちているわけでもあるまい。それよりも、このカレーパンをあの離島で103円で売ることができるのが不思議でならん。一体どういう流通マージンが途中で入っていて、店はどれだけ儲かっているというのか?都会とほぼ同じ値段でどうして売ることができるんだろう。助成金が国か都から出ているのだろうか?

一息ついている人々

14:25

ひとまず全て平らげて、一息ついている人々。帰りも、ずっと海を眺めてクジラ探しをする予定だったのだが、おかでんは大して飲んでない割には酔っぱらってしまった。あっけなく二等客室のカーペットにひっくり返って、お昼寝。父島に接近するまでずっと寝ていた。

一方、取り残されたしぶちょおとばばろあだが、律儀にクジラ探しをしようとしていたが、船が揺れるやら、さっき食べた油っぽい肉団子や天ぷらが胃にもたれるやらですっかり船酔いしてしまい、二人ともトイレに駆け込んで大騒動になっていたらしい。

「もう船酔いは行きの船で克服できたと思ったんだけどなあ・・・」

と顔をゆがませながら語る二人だった。やはり、本格的に揺れる直前に脂っぽいものを食べちゃ駄目ってことだ。

父島が見えて来た

16:14

父島が迫ってまいりました。

途中ずっと昼寝していたせいもあって、「父島に戻ってきたぞー」という感慨は特になし。感動屋のおかでんでさえ、そんな感じ。

しぶちょおとばばろあは船酔いからまだ立ち直れず、ぐったりしっぱなし。三人ともカーペットに倒れとる。

民宿バナナ荘

16:34

父島再上陸。昨日上陸したときの感動と興奮はどこへ行ってしまったんだ、と三人とも驚きつつ、足を引きずりながら本日のお宿へ向かう。

目指すは、目抜き通りで民宿街があるほぼ一番手前にある宿、「民宿バナナ荘」。素泊まりの宿だ。食事は自己解決しないと。

まあ、いくら離島とはいえ、飲食店はあるし食品スーパーもあるわけで、戦跡目指して山奥に分け入らない限りは食事に困ることはあるまい。「あ、あらかじめ言っとくけど、カメ料理作るのだけはやめとこうで」「わかった、わかった」

レンタバイク

16:35

宿の脇には、レンタバイクがあった。どうやら1日あたり2,000円でガソリン満タン返し条件で借りることができるらしい。

そういえば、島のあちこちでレンタバイク屋を見かけた。アップダウンが激しい島だし、車で移動するほど広くもないので、少人数ならスクーターが丁度良いのだろう。

「ごめんくださーい」と宿の中に入ったら、

「ドーゾドーゾ」と出迎えてくれたのが白人の巨漢の親父。これには面食らった。小笠原には先住アメリカ人が居たとは聞いていたが、まさかこんなところでお目にかかれるとは思っていなかった。名前は忘れてしまったが、いかにもアングロサクソンな風貌と名前と体つきだった。「民宿」といえば和風をイメージしてしまいがちだが、アメリカーんなご主人に出迎えられて動揺が隠せないワタクシたち。名前何だったかなあ、アンダーソンだか、そんな名前だったような記憶が(違ってる可能性大)。

日本語はほぼ問題無く会話ができる人だが、若干発音がガイジン的だ。後で聞いたところによると、昔は沖縄で海兵隊だかなんだかの兵隊をやっていたのだが、親戚を頼ってこの地に渡ったのだという。へえー。小笠原で数奇な人生を見た、って感じ。

部屋は2段ベッドx2の四人部屋が6部屋。相部屋が前提だ。これで確か1泊素泊まり5,000円。高いなあ、と思うが離島価格+シーズン価格だから仕方がない。

生協

16:43

バナナ荘の良いところは、船着き場に比較的近いということ、建物の前から港がよく見えて眺めが良い事、そして食料品調達をする上で必須となる、生協と小祝商店(向かい合って位置している)が近いということだ。

自炊となる以上、食料の買い出しをしておかないと。ざっと街を見る限り、居酒屋や飲食店の数は結構あるようなので、夕食は外食、朝食は自炊という方針を決め、生協に入ってみた。

まず入るやいなや驚かされたのが、入口すぐのところに積み上げられていたカンヅメの山。入口正面といえば、商店としては最も売りたい商品、お買い得商品を陳列するものだ。普通だったら、新鮮な野菜だったりすることが多い。しかし、このお店の場合・・・

ずらりと並ぶキャンベルスープ、そしてSPAM。オイルサーディンに見たことも聞いたこともないメキシコ料理?の豆スープ。こ、これがこのお店の売れ筋商品ということなのか!?愕然としてしまった。

「やっぱり、さっきのバナナ荘の親父みたいに、ネイティブジャパニーズじゃない人って結構いるんだわ、これ。そうじゃなきゃこういうの、売らないって」

「うーん、でも全然さっきから見かけないけどなあ、白人さんなんて」

異国感がある商品品揃え

16:54

しかし、疑惑が確信に移ったのがこちら。キャンベルスープの山が積まれていた列の隣の列。

普通、列における「お誕生日席」に相当する場所というのは重点商品が置かれ、お客さんがよく手にとる場所だというのがマーケティングの常道だ。だから、日々食品メーカーは、流通小売のバイヤーや店舗担当者に頭を下げて良い場所の確保をお願いしているわけだ。

そんな「大切な場所」にキャンベルスープやSPAMカンヅメに続いて並んでいたのが・・・

デカい瓶に詰められた各種ピクルス、そしておかでんの二の腕ほどありそうな太さのタバスコ瓶、売られているケチャップはもちろんカゴメなんかじゃなくて、ハインツだ。

唯一納得がいったのが、見慣れたGABANの胡椒缶。まあ、日常生活で使うにはデカすぎる大きさだけど、この胡椒缶ってよくラーメン屋のカウンターに置いてあるよね。・・・ん?

よく見ると、「ホワイトペッパー」などではなかった。「シナモン」!?「カエン(カイエン)ペッパー」?「チリパウダー」??なんじゃ、そりゃあ。いや、いくら何でもこれが馬鹿売れ、お店もメーカーもイチオシな商品には見えないんですけど、やっぱりそうなんですかはあなるほど。

あんなデカい缶のシナモンなんて何に使うんだよ。何か独特な料理があるんかね。カイエンペッパーとチリパウダーは、明らかにポークチリビーンズ系の料理をつくる為のものだ。そっれにしてもこんな商品、本土では見たことが無いぞ。

いやあ、カルチャーショックでした。驚きました。ここが沖縄ならまだしも、東京都で、こんんなものが当たり前のようにどっさりと売られているというのが驚きでした。しかも、見よ、この在庫の豊富さを。棚の奥までびっしり在庫してるぞ。バックヤードの在庫まで含めたらいったいどれだけあんなデカいタバスコをストックしてるんだよ。一体どれだけ売れるんだよ。この店のPOSレジの明細か防犯カメラの映像、どっちでもいいから見させて欲しいぜ。

お弁当が高い

16:55

それにしても離島物価ですな。

朝ご飯は弁当で済ますか、という事も考えたが、お弁当750円だそうで。具たくさんで大変に結構なんスが、コンビニ弁当が今日日平均価格500円程度であることを考えると、ちょっと手が出にくいんですわな。

さすがにこの購入は諦めた。

お会計

17:03

めいめいが共同戦線を張ったり、独自路線で食材を選んだりして、お会計。

朝ご飯なので、本格的な調理は避けてせいぜいフライパンで軽く炒めたりお湯でゆでる程度の食材に留めておいた。

よし、これで父島滞在のスタンバイはできたぞ。

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