小笠原遠征

南京浜↓

10:41

南京浜にも降りてみることにした。

静沢の「もっとスペクタクル」なものに早く行きたいばばろあは

「もうええじゃん。どこの浜へ行っても一緒じゃろうが」

と不満の意を述べたが、しぶちょおとおかでんが「東北スタンプラリーの旅」や「八丈島観光名所完全制圧」みたいな、「そこにあるからには行っておかないと何だか損」と思ってしまう性格なものだから多数決で寄り切り。

結局、南京浜に降りることになった。

なぜこのような名前になっているかというと、以前中国人がここに移民してきたことがあるからだという。恐るべし中華パワー。沖の鳥島周辺で潜水艦を使って海洋調査をやって怪しからん、なんて話が最近あるが、昔からこんな離島までやってきていたのか。

南京浜

10:44

で、南京浜。あんまりきれいな浜ではない。

南京浜を紹介する看板にも、「海水浴にはあまり向かない」とはっきりと書いてあった。ただ、沖には珊瑚礁があってダイビングには最適なんだと。

塹壕跡

10:50

南京浜から御幸之浜へと向かう遊歩道を歩いている途中、ばばろあが鋭く反応。

「おっ、この溝、塹壕跡だ」

え?普通の溝に見えるけど・・・。

「ほら、ここからこういうふうに伸びていって、あそこで曲がって・・・」

なるほど、確かに自然にできた物ではない。それにしてもよく気が付くもんだ。

果敢にも遊歩道を離れ、ばばろあ一人で塹壕跡を歩こうとしたが、木が邪魔していたり雨水が溜まっていたりでさんざんだったらしい。しばらくして、諦めて戻ってきた。

それにしても日本軍、至る所で土木工事やってるんだな。

御幸之浜園地

10:55

御幸之浜園地に到着。

昭和天皇が以前ここに行幸されたということで「御幸之浜」という名前がついたとのこと。

崖ばっかりを見る

10:56

いつの間にか、ばばろあのクセが移ってしまい、われわれまでもが海を見るよりも崖ばっかりを見るようになってしまった。

「ほら!あそこ、あそこに銃眼がある!」

「こっちにも!」

バードウォッチングみたいなもんだ。

何やら怪しい穴

11:07

何やら怪しい穴をばばろあが発見したが、ほとんど埋もれてしまっていたため中身は確認できず。

このあたりも、結構な数の壕があったに違いない。

「静沢の森遊歩道」案内ビラ1
「静沢の森遊歩道」案内ビラ2

11:29

母島観光協会にあった、「静沢の森遊歩道」案内ビラを貰う。名前は「森林浴を楽しみましょう」的なものだが、実際は戦績めぐり用資料、とでも言うような内容だった。これが、宿のおばちゃんが言っていた「もっとスペクタクル」なものだ。

「この場所は夕日の絶景ポイント」なんて書いてある割には、地図上に記載されているのは「弾薬庫」「機関銃?」「砲台」「兵舎跡」なんていう物騒な記述だらけ。このギャップが何とも怪しくて、既にこの時点でスペクタクルだ。

11:30

海軍の兵舎があった場所。いまだに、しっかりとしたコンクリートの基礎が残っている。完全に森に埋もれてしまった北村とは大違いだ。

厨房

厨房。三口のかまどが設置されていた様子。

兵舎入口

兵舎入口。高床式、とまでいかないまでも、結構高い基礎をこしらえている。

水か燃料を溜めていたのだろうか?

11:31

半分壊れてしまっているが、円柱形のタンクのような遺構もあった。水か燃料を溜めていたのだろうか?

礎石
風呂

11:32

浴場跡。戦後60年を過ぎて、まだ風呂桶が残存しているというのは何だか不思議な光景だ。

何かの建物の跡
何かの建物の跡

11:34

兵舎以外にもいろいろな施設がここにはあったようだが、原型を留めていないので何があったのかまでは不明。観光協会でもらった地図にも、特に何も書かれていなかった。

あ、ここにも何かの建物の跡が。

このあたりにもかまどがあったというが、よくわからなかった。

急な崖

11:37

ここから先は急な崖になっている。丸太で組んだ階段はあるが、非常に安定感が悪く、横に張ってあるロープにつかまりながらの崖下りとなる。後で知ったが、どうやら立入禁止区域だったらしい。ま、そりゃそうだ、これはちょっと危ない。

あくまでも自己責任で、ということで。

「そんなとこ下っても何もないんじゃないか?」

とおかでんは尻込みしていたが、先陣を切って突撃していったばばろあが下の方から「おーい、来て見い。スペクタクルがあるぞ」と声をかけてきた。

アブねぇなあ、と思いながら階段を下りる。

青い海

11:39

いやあ、それにしても南の島っていいですなあ・・・。

青い海。色がそもそも違うもんね、東京湾の海とは。あっちはどす黒いって感じがする。

砲眼

11:39

なんて呑気な気分でいたら、あっ、階段を下りてちょっと脇に水平移動したところに何か穴がある。砲眼だ!

砲眼、今までは遠くからしか眺めて居なかったのだが、まさか間近で見ることができるなんて。というか、ばばろあが居ない。さては中に侵入したのか?

安式十五糎砲

近づいてみたら、何やら丸太みたいなものが突き出ていた。

御柱祭で使った木材の朽ちたもの?

・・・いや、違う、これぞホンマモンの安式十五糎砲(八九式十五糎加農砲)だ!

でけぇ。

昨日見た、十二糎高角砲とは比べ物にならないくらいデカい。さすが、もともとは軍艦に取り付けられていただけある。

アームストロング砲の特徴は、従来の大砲と比べて速射が可能ということだ。こんなデカい砲で速射ができるというのだから驚きだ。

とはいっても、今となっては錆に錆まくってしまい、老木にしか見えない。鉄って、さびるとこういう風になるのね・・・と違った意味で勉強になった。

砲眼入口

11:40

砲眼入口は、崩落によって土砂が積もり、せまくなっていた。

おかげでこの状態でご自慢の十五糎砲をぶっ放そうにも、射角が狭いったらありゃしない。

穴の中

11:40

隙間から中に入ってみる。中からみたらこんな感じ。

一発ぶっ放すたびに、ものすごいバックブローが出ると思うのだが、こんな狭い穴蔵で弾込めや照準あわせをやっていた人達は命がけだ。

壕は深い

11:41

この壕は、単に十五糎砲発射用なのかと思ったら、奥にまだ伸びていた。

言われて見りゃそりゃそうだ、崖を這い登ったり降りたりしながら、この壕に出入りするのは戦時中じゃむちゃだ。先ほど丘の上で見た兵舎近辺に、この壕の入口が繋がっているはずだ。

ばばろあが、懐中電灯も無いまま奥へと入っていく。

「お、結構奥があるで?」

トム・ソーヤーが探検したマクドウガルの洞窟、の気分。あんまり奥に行くと、財宝どころか人殺しのインジャン・ジョーが出てきそうだ。

物置

11:42

壕の途中にあった、物置らしき場所。

ここだけ手彫りではなく、かっちりと方形に作られている上にセメントで固めてある。砲弾の貯蔵庫として使っていたのかもしれない。

延々と続く壕

11:43

奥に進むにつれ、ほとんど真っ暗になってしまった。

時々、わざとデジカメのフラッシュを焚き、地形を確認してから前へ進む。

所々石が落ちているので、足下には十分注意が必要だ。

この先には一体何があるというのか?

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