15:30
「完全ご予約制 貸切湯 積善→」という看板があった。→の先には、外に通じる扉が。
「はーっはっは、騙されたな!風呂かと思わせておいて、実は寒い寒い外よ。甘いのぅお主は」
という展開を期待しているのだろうか。でも、外をちらりと覗くと、外に出た先に別棟で確かに貸切湯があるっぽかった。ちぇっ。
この扉を開けられるのは、真の金持ちだけッ!大浴場がいくつもあるというのに、山荘の湯という貸切湯があるというのに、「お金を追加で払ってでも貸切湯を確保する」とは。こういうお金の使い方を思いつくというのはすごい。
「貸切湯積善」を素通りしてさらに進むと、突き当たりに「杜の湯」があった。佳松亭における大浴場だ。日帰り入浴は受け付けていない。宿泊者のみのお楽しみだ。
さすがに先ほどからお風呂に立て続けに入っているので、今入浴するのはやめておこう。「倒れるまで風呂に入り続ける耐久レース」をやっているのではないのだから。くつろぐためのお風呂だ。
そもそも、「さて次はどのお湯に浸かろうかな?」と考えていること自体が、僕にとっては不純でありなんかけしからんことだと思っている。今回は療養なんだし、じっくり一つの浴室一つの浴槽で腹をくくってひたすら無我の境地で浸かりまくる、そんなのが良いのだけど。あーあーあ-、後戻りできねーぞ、こうなったらローテーション組んで全てのお湯を堪能しまくるぞ。もう開き直るしかない。
15:32
佳松亭のロビーには売店があった。そういえば本館、山荘ともに売店がなかったな。何かお土産物とか欲しくなったらここに来ればよいのか。
とはいっても、壱番館の地からここまで辿り着くまで、階段を登ったり廊下を歩いたりエレベーターを使ったりで5分近くかかる。外のお土産物屋の方がひょっとしたら近いかもしれん。
15:33
佳松亭5階(という名の、1階部分)にある玄関とフロント。山荘と佳松亭に宿泊する人はこちらからアプローチだ。チェックインもここのフロントにて。
がらんとしたロビー。ソファなどの応接セットがあってもよさそうだけど、置いていない。また、チェックインカウンターもすごくシンプル。むしろ潔い。本館の、「コンパクトに、ごちゃっとまとまっている感」と同じ建物なのかと驚かされる。
15:34
ロビーにあった「館内のご案内」。部屋割までは言及しておらず、それぞれの館にある風呂にどうやったら辿り着くか?ということに絞った紹介になっている。それくらい、ややこしい。
地図を読むのが苦手な人はこういうの、見ても道に迷いやすいと思う。でもそれがいい。歴史ある温泉旅館の醍醐味だ。
15:36
宿としても、そのややこしい館内の構図を逆手にとって、スタンプラリーをやっていた。館内のあっちこっちでスタンプがゲットできるらしい。僕の性分としてはこういうのが好きだけど、もうあらかた館内探検は終わってしまったので今更感が強かった。結局この台紙を手に入れることはなかった。
15:37
窓の外を見ると、さすがの雪。1月末、群馬の山奥だもの。雪はそりゃあ積もっている。
この広大な積善館ダンジョンの最上階には何があるのだろう、ということで行ってみました佳松亭8階。佳松亭そのものとしては4階部分にあたる。
一部屋一部屋の間隔が広い。さすが最上階。こういうところだと、部屋食だったりするのだろうか?
部屋食を下膳するワゴンを急襲して、食べ残しを強奪するというアイディアが頭をよぎる。別に急襲しなくってもいい。仲居さんがちょっとワゴンから離れた隙をついて・・・
と、ここまで考えて、自分の卑しさというか貧しさを感じ取って愕然とした。どうせ急襲するなら、まだ配膳する前のワゴンにしろよ。なんで残飯を狙うんだよ。
15:39
「明治中期の本館」が描かれた絵。
この時点で、本館はほぼ今と同じ形でできあがっていたことがわかる。江戸時代から続くであろう、フロントがある建物部分。昭和レトロにびびった客室が並ぶエリア。そして川を挟んで向かいにある建物もこの時点からあったことがわかる。
ただ、元禄の湯自体は別の場所にあったようだ。現在の元禄の湯にあたる場所には、客室が描かれている。また、今では何もない庭部分のところに、水車小屋が描かれている。
山荘や佳松亭はまだ存在すらせず、単に「裏山」として描かれていた。それにしても賑わいを見せている絵だ。どの部屋にもお客さんがいるし、旅館の周辺には人がいっぱいだ。まあ、現代においても、分譲マンションのチラシなんぞには「完成イメージ図」として建物の周辺に人が大勢いるCGだったり、共用部分に人が集っているCGが使われているから昔も今もかわらないか。
しかし、「マンション建設予定地が、光の塔がぴかーっと天高く輝いている」という演出はここ最近のものだ。さすがに明治時代の絵にはそんな演出はない。
「湯けむりがあなたを潤す。そうそれは人生第二章の始まり」みたいなポエムみたいなのを添えて。
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