24時間温熱をくらえ【四万温泉】

大広間に向かう

18:02
館内探検を終え、ようやく部屋に戻る。部屋は床下暖房があるので、かなり温かい。暑がりの人なら、場合によっては「こんなに暑いとツラい」と言い出すかもしれない温度だ。

こりゃ、24時間温熱効果十分だな、リラックスできるかもしれん。

そんな期待はある。しかし、寝汗をどっぷりかいて、寝冷えで風邪をひかないように気をつけないと。

そんな期待感を込めての、部屋滞在。しかし、相変わらずまだソワソワしている自分がいる。夕ご飯、夕ご飯だよこの心のざわめきは。

「量が少ない」とうわさの積善館本館名物「箱弁当」。ネットで検索したら、写真なんていくらでも出てきたかもしれない。でも、あんまり事前にガチャガチャ調べるのはイヤだな、と思っていたので、事前情報は全く仕入れていない。ただ、「何なら食堂ではなく、部屋に持ち帰って食べてもいいよ」と宿から言われているくらいだから、持ち運びが容易な少量なのは間違いないだろう。どうする?海苔鮭弁当みたいなのが出てきたら。

もし物足りなければ、夜の街に繰り出すか。いや、でもそういうのはやるべきではないよな。ただでさえ、一連の館内探検も「療養ではなく興奮してしまっている。よくない」と罪悪感を感じているのに。

かといって、空腹を抱えて一晩過ごすというのか?夕食は旅館なので18時から。朝ごはんまで半日以上、間が空く。あー、スナック菓子でも持ち込んでおけばよかったか。食事前にして、あれこれ思案してしまう。

18時になったので、食堂となっている大広間に向かう。「ボロい」と言いかかって、あわてて「レトロ」と言いなおす、そんなことを道中繰り返す。いやあ味があっていいわ、本館の中を歩いていると、しみじみと味わい深い。

広間の入り口に、「お食事のご案内」という札が出ていた。

各お席に部屋番号を提示しております。

お弁当はあらかじめお席にございますので、カウンターにてお箸、ごはん、お味噌汁等をお取りください。

お飲み物、食べ物の持ち込みはご自由にどうぞ。

積善館本部

あ、さすがにホカ弁のように「弁当箱の中にご飯も入っています」というスタイルではないのだな。ご飯と汁物は別立てだ。

それにしても、飲み物食べ物持込自由、というのがざっくばらんで素晴らしい。多くの旅館で、着席するやいなや「お飲み物は?」と聞いてきて、お酒を飲まない僕は「ええと、お茶で」と気まずい顔をして答えるのだが、そういうのがない。逆に、安酒でも高級酒でもなんでも持ち込んでよし!なんなら柿の種とかもいいぞ!という太っ腹さには拍手だ。食事処に食べ物まで持参OKを公言している宿というのは初めて見た。山小屋くらいじゃないか、飲食物におおらかな宿って。

積善館本館夕食

18:05
大広間の舞台側に並んでいた長机。昼間この会場を覗いたときは何もなくがらんとしていたが、この時間になるとおひつやお味噌汁が入った鍋が並び、従業員さんがよそってくれた。「セルフで、自分でよそってください」ではなく、親切だ。

他にも、既に小皿に盛り付けられた筑前煮と、こんにゃく刺身を受け取る。なんだ?これだけでも十分メシとして成立するぞ?どうやらご飯とお味噌汁はおかわりができるっぽいし。

当初、「弁当箱の中に冷えたご飯が入っていて、おかわりはできない。故にひもじい」という展開を想像していたけど、全然違う。おかわりができるとなれば話は別だ、それだけで俺は戦える!!

と、お盆を持って自分の席に向かうと、そこには予告どおり弁当箱が。おおう、これがうわさの「箱弁当」か。しかも、二段重ね!「二段重」という言い方をすると大げさだけど、なにやら上品な白木の箱だ。ちょっとした細工もされていて、予想以上に上品かつラグジュアリー感がある。

しかも、なにやら謎の椀がある。これは・・・味噌汁パート2、じゃないよな。お汁粉とか雑煮とか、または鯉こくでも入っているのか?

おいおい、なんだいなんだい、なんだか贅沢になってきたじゃあないか。思わず顔がにやける。

全景

「かぱ」と自らの口で効果音を奏でながら、箱弁当をあけてみた。

おお!?なんだこれは。松花堂弁当形式になっているのか。これはいいゾ~。

椀は、蕎麦が入っていた。至れりつくせりじゃあないか。

というわけで、料理をずらっと並べてみた。弁当箱の中には4皿。それ以外にも大小さまざまなお皿があるので、結果的には一般的な宿メシと大差ない見てくれになった。これを「質素な食事」とは言わせないぞ?十分ですよもう。これだけの食事が出るのに、別注でサーロインステーキを頼むような人っていったいどんな胃袋の持ち主だよ?

きっと、「好き嫌いが多いんだ。肉以外はどうも私の口には合わなくってねェ・・・」という人向けなんだと思う。きっとそうだ。そういえばこの料理、お刺身はあるものの、総じてヘルシーではある。

こういう料理に拍手喝采を送るというのは、ジジイになった証拠なのかねえ。「ふざけるな!揚げ物をよこせ!」とか鼻息が荒くならないのは、ちょっとさびしくもある。

箱の中身

箱の中は、がんもどき、サラダ、刺身、焼き魚。

ちゃんと動物性・植物性それぞれの蛋白質がとれるぜ!繊維質もな!

酒飲みからしたら、これをつまみに酒を飲むというのはちょっと物足りないかもしれない。でもそれを思うと、一般的な宿メシというのがいかに「酒の肴」用にチューンされたものかというのがわかる。

一昔前の僕だったら、「生野菜サラダで酒が飲めるか!」とか言ってたと思う。でも酒を飲まなくなった今の僕なら、「サラダうまいのぅ」と言いつつ、ムシャムシャ食べる。

岩風呂に向かう

18:25
ご飯をおかわりし、予想外におなか一杯になった僕は大広間を後にする。

大広間を出たところに、まだ入浴していない「岩風呂」があるので、そちらに立ち寄り湯していくことにした。

こちらの岩風呂は混浴になっている。以前日帰り入浴でこの地を訪れた際、「ほう!混浴なのか!」と中に入ったら「半世紀前ほどマドンナだったであろう方」が湯浴みをなさっていて、なんだか微妙な気持ちになったものだ。

そんなわけで、女性専用時間というのがちゃんと設定されている。岩風呂の入り口に時計が掛けられており、女性専用時間の21時~23時のところが赤く塗りつぶされていた。

ナンバーロック

扉には、ナンバーロックが取り付けられていた。のれんの色を変えるとか、「ただいま女性時間」といった掲示をするくらいじゃ、たぎる男どもの欲望を静止できないと思ったのだろうか?

ロックの説明

女性は大変だ、入浴のために風呂の鍵番号を覚えないといけない。うっかり忘れたら入浴がままならない。

岩風呂

18:28
岩風呂。レトロな建物である本館の中にあるだけあって、古めかしい風呂だ。手入れがされているので別にどこも老朽化はしていないが、なんというか今風ではない。入浴していてワクワクする!とか楽しい!といった印象は特にない。カランがないのは元禄の湯と同じで、それだったら風情のある元禄の湯に浸かっているほうがいいような気がする。カップルや家族で宿泊しているならともかく。

脱衣所を見上げる

湯船から脱衣所を見上げたところ。ここは、男女別の脱衣所から扇状の階段を下りたところに湯船がある。足腰が弱い方はちょっとしんどい。

風呂に入る

食事時間中ということもあって、岩風呂には誰もいなかった。

一人でこの温泉を独占。いやあいいですねえ。

思わずガッツポーズ。

食後すぐに、部屋にすら戻らずにお風呂に入るというのはどうかと思うが、そこまでしてでも風呂アンド風呂で二泊三日を過ごしたいという気迫ですよモウ。

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