24時間温熱をくらえ【四万温泉】

館内のお食事どころ

12:15
そろそろお昼時なので、外出することにした。

「外出すること」は本当はよくないんだが・・・。館内をウロチョロするだけでも、療養するという趣旨から外れてしまっているのに、「温泉街散策」だなんてけしからん。

もちろん、散歩をするということは健康増進の観点からも推奨されるべきことだ。しかし、今の僕にとっては「体力よりも気力・精神力を補うことのほうが大事」だ。あっちこっち動き回って、刺激を外部から取り込むのはよくない。

とはいえ、やってくるのは昼飯どき。お昼を食べる時間が遅くなれば、夕食にも影響が出る。何しろ夕食は18時だからだ。いやー、宿に泊まっていると本当にいいな、問答無用で夕食時間が決まってるから。自由裁量の余地が少ない分、むしろ気楽に一日が過ごせる。堅苦しいなんてこれっぽっちも思わない。

本館入り口脇に「積善や」という飲食店がある。しばらく外観を眺めて、どうしようか思案したが、やっぱり入店するのはやめた。ここで食べれば、宿から一歩もでないで今日一日を過ごすことができる。しかし、あんまりこのお店のメニューが魅力に感じなかったから、諦めた。さあ外に行こう。

壱番館を見下ろす

12:18
温泉街とは逆の方向に向かってみる。もう少しだけ進めば、行き止まりになってこの集落が終わるからだ。「隅々まで行った、という実績を作らないと気がすまない」というのも僕の悪い癖でストレスの要因なのだが、このなにげない行動がまさにそう。

坂道を登っていくと、積善館を少しだけ見下ろす高さになった。山荘は木々に半分隠れてしまっているが、目の前には我らが壱番館の雄姿が。一階には自分の部屋も見える。露出狂にはたまらんな。

源泉があるあたり

壱番館の前を流れる川は、なんだか意味のない場所に堰がある。そこで水が貯められ、ちょっとしたダムのようになっている。

先ほどの館内ツアーでご主人から教えていただいたのだが、これは川の下に源泉があるからなのだそうだ。堰を作って水を貯めて、その水の重さで地面を押せばお湯の出が良いのだそうで。

そういう温泉の出方っていうのもあるのか!「ポンプでくみ上げます」というのが定番のやり方だと思うけど、そうではなくて「堰を作って水で地面を押す」とは。

四万たむら

12:19
坂の突き当たりにあるのが、「四万たむら」という旅館。一泊おいくらなのかは確認したことがないのでわからないが、調べるまでもないだろーという立派な建物。これで一泊二食付き8,900円から、とかだったら逆立ちしてこの町を練り歩いてもいい。

・・・と、今この文章を書く際に確認してみたが、一泊二食で13,000円くらいからあるらしい。予想外にリーズナブルだった。僕の頭の中には「これくらいの構えだったら、20,000円からスタートでもおかしくない」と思ったのだけど。あぶなく逆立ちで練り歩く羽目になるところだった。

わき道に入る

12:20
わざわざ四万たむらの玄関先に行きたくてここまでやってきたわけではない。地図で確認してみると、この宿の近隣に、観光地ではないと思われるエリアがあったからだ。おそらく、従業員宿舎がある場所だ。宿があるからには、そこに大勢の人が働いている。観光地とは、観光客が集う場所であると同時にそれを出迎える人が住む場所でもある。で、そんな「舞台裏」を見てみたかった。

あえてわき道に入り込んでみる。

給水塔

温泉街の楽しさは、土産物屋などが並ぶ表通りだけではない。裏道に入ったときの、「宿が見せる無防備さ」がいい。表はきれいに体裁を取り繕っていても、裏に回れば薄汚れていたりしていて、味わい深い。

四万たむらの脇を歩くと、表のゴージャスな萱葺き入母屋造りとは違う、ざっくばらんな建物が見える。これは客室なのかそれとも別の用途なのか、いろいろ外観から想像するだけでも楽しい。大型温泉旅館は増改築を繰り返していて迷路状態なので、それを部外者が外から推理するのはちょっとした娯楽だ。宿泊して館内探検するのが手っ取り早いのだけど、今回は外から探検。

源泉があるらしく、貯水タンクらしきものが見える。なんでも、敷地内には7カ所も源泉があり、合計で毎分1,600リットルの湧出があるのだという。お湯使い放題やんけ。すごいな。

従業員宿舎

12:21
貯水タンクを眺めつつ奥に進むと、マンションが見えてきた。これがどうやら四万たむらの従業員宿舎らしい。分譲マンションと違い、非常にそっけない作りだ。

旅館に勤めていると、まかないが出るだろうからこの部屋ではどれだけ自炊をするのだろうか?休日のときまで宿でメシを食うのはさすがにアウトだろうから、そのときは自炊だろうか。通勤時間はわずか数分。職住隣接だ。

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