15:18
岳沢湿原を抜けてしばらく歩いていくと、木々の間から金持ちの別荘っぽい建物が見えてきた。
なんだ、あれ。
さすがに国立公園内だ、ビル・ゲイツでもここに別荘を建てることはできないだろう。なんだろう?
朽ち果てた家ならともかく、建物は立派だし、車も駐車されている。現役のものらしい。しかし、河童橋のにぎやかな場所からは離れていて、世捨て人の家とまでは言わないけれど観光客向けとは思えない。
このときの発見以降、記事を書くまでの3年の間に何度かこの道を通る機会があったけどその正体を突き止められなかった。看板もなにもないからだ。近づこうにも、手前にフェンスがあって立ち入りを拒んでいる。
で、この記事を書くためにネットで調べてみたら、ここが「日本山岳会上高地研究所」であることがわかった。日本山岳会会員のための素泊まり施設らしい。へー、こんな施設があるのか!
資料によると、一泊素泊まり3,000円。ほう、なかなか魅力的。
思わずこの建物目当てに日本山岳会に入ろうか、と思ったくらいだが、そこまでのガチ登山はやっていないので入るのはやめておく。入会費20,000円、年会費12,000円だ。mont-bellの「モンベルクラブ会員」年額1,500円を払うのでさえヒリヒリした気持ちになっているのに、背伸びをするのはやめたほうがいい。
15:19
車道にはこのようにゲートが設置されている。
今更ここにゲートを作らなくても、遥か手前で一般車両はブロックされているだろうに、と思う。ということは、上高地界隈のホテルの車が、「お客さんの要望で、つい出来心で」とかいってお客さんを乗せて明神までビューンと送迎しちゃったりしないように、ということなのかもしれない。
看板にはこう書かれている。
上高地治山運搬路
これより先は治山工事専用道路につき許可車両(自転車を含む)以外は一切通行できません。歩行者は遊歩道をご利用ください。
林野庁 中部森林管理局 中信森林管理署
環境省でも国土交通省でもなく、林野庁(=農林水産省管轄)の扱いになるんだな。ちょっと意外。
15:21
この日本山岳会の施設を越えたところで、いきなり前がひらけた。
あ、河童橋に戻ってきたぞ。
前方に六百山、そして手前にはホテルが見える。
このホテル、地味にすごいぞ。
二階以上はよくわからないけれど、少なくとも一階の客室にはテラスがあって、そこには金持ちがくつろげるような椅子と机が備わっていた。あいにく、テラスに出てきている金持ちはこのときにはいなかったけど、やるなぁ、見せつける設備だなぁ。
なにせここは、建物正面が岳沢だ。河童橋まで歩かなくても、カーテンを開ければそこが絶景。しかも1階で。最高だ。さぞや一泊料金はお高いんだと思う。
15:23
レストランも当然、岳沢に向けてテラス席が用意されている。カウンター席は岳沢を向いている。
時間が遅いので、ランチ営業はもう終ったようだ。テラスに誰もいなかった。
ちょっとどうでもいいおかでんが写り込んでしまったけど、先程の金持ち席・金持ち客室からはこういう景色が見える。岳沢ど真ん中、ど正面。むしろ河童橋からの眺めよりもこっちの方がいい。
せっかく上高地に来たなら、河童橋の上から岳沢や穂高連峰の写真を撮るだけでなく、徒歩1分のここまで来たほうがいい。
15:28
そんな特等席にはベンチがある。庶民の味方・ベンチ。
1泊800円のテント生活の僕は、ベンチに座って読書だ。
活字に飽きたら、顔を上げて岳沢を見上げる。ああ、いい気分だ。
15:48
この金持ちの巣窟ともいえるホテルは「白樺荘」というらしい。
どれほど高額なホテルなのかと思ったけど、オフシーズンの平日なら一泊2食で16,000円程度からあるようだ。ただし、こういうのは土日になったり、ハイシーズンになったり、客室のグレードによって値段はバラバラだ。先程の展望テラス付きの部屋は26,000円からスタート、のようだった。
ホテル白樺荘では、「上高地60分ツアーネイチャーガイド」というのが1日4回行われているようだ。料金は1,000円。
14:30が最終回なので、今日はもう参加できない。一応覚えておこう。
(つづく)
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