閉鎖病棟・上高地【小梨平ソロキャンプ2018】

16:58
小梨平キャンプ場の食堂にやってきた。

夕ご飯のラストオーダーはあと20分後。食べるなら、今決断しなくちゃいけない。

とはいっても、お腹はまだ空いていないんだよな。それよりも、今ここでご飯を終わらせてしまうと、その後長い長ーい夜の時間を持て余してしまう。

スローフード、という言葉には僕はあまり関心がないけれど、今回のソロキャンプに関してはできるだけ夕食をスローでいきたい。別に食事はカップラーメンでも何でもいいんだけど、食べはじめる時間を「スロー」、食べている時間を「スロー」にしたい。

となると、17時過ぎの晩ごはん、というのはちょっと都合が悪いのだった。

そんなわけで、今晩も自炊をキメることにした。

食堂を尻目に、売店で買い物をする。その際、売店レジの傍らに「草もち」を発見した。200円。

草もち!そんなものまで売っているのか、ここは。

びっくりしてしまった。

便利すぎるだろ、ここ。こんなん、日持ちしない食べ物なのになんで売っているんだ?どれほどの人が買うんだ?

びっくりついでに、衝動買いしてしまった。「見つけてしまったからには、食べなくちゃ!」という気になったからだ。今晩のお夜食にしよう。

お夜食に草もちとは、全く予想外の展開だ。

予想外の展開といえば、買い物のお会計をしたらコカ・コーラを1本プレゼントされたことだ。

開山記念だかなんだかで、お買いものをした人に配っているのだそうだ。ありがたい。

それにしても、今どき250ml缶というのは久しぶりに手にした。

よく見るとこのコカ・コーラ・・・何かデザインが違うぞ?

北アルプスと思しき山々と、ニホンカモシカの絵が描かれている。あ、あと白樺らしき木も。

へえ、こんな缶があるのか。

缶の裏面を見ると、「つらなる つながる 信州」と書いてあった。長野県の公式キャッチコピーだ。

こういう県単位デザインのコカ・コーラ缶は他にも何種類かあるらしい。2017年に発売したようだ。

17:07
本日のBエリア。

昨日よりもテントが増えた。でもまあ、これくらいの密度なら圧迫感は少ない。「ない」とは言えない。案外、テントっていうのは繊細な住まいなので、それなりにお隣さんと距離がないと僕は辛い。

お隣さんと距離が開いていても、テントからトイレに向かう途中の導線に別のテントがあると若干のストレスになる。その点今回は問題なさそうだ。また、Bエリアの一番奥に陣取っているので、夜中にトイレに向かうご近所さんの足音やライトの明かりで目を覚ますことがない。

それにしてもステラリッジテントが多いな。

自分のテントに戻ってみたら、フライシートに鳥の糞がついていた。

ははは、自然豊かだってことだ。頭上を鳥が飛び、心置きなく脱糞するほどリラックスしていたと思えばこういうのも許せる。

それにしても、白いテントだと汚れが目立つな。やっぱり山用テントで白が不人気なわけだ。他に使っている人が少ないのでカブらないけれど、次買うときは違う色にしたい。

17:13
これはすごい。ツワモノだ。

同じ型のテント2つを向かい合わせに設置して、真ん中にタープを設置している。テントの山脈ができているじゃあないか。

これでテントとテントの間の空間は雨に濡れない、夜露で靴が濡れないエリアが確保できる。

雨が降っていても、タープ下の空間で煮炊きができる。快適だと思う。

ただ、テントの出入り口からにょっきり顔を出した瞬間、目の前にバーンと自然が広がっている!という高揚感はここにはなく、テントの前にはテントがある。それでもよければ、快適だ。

テントにフライシートを被せるのは当然として、さらにその上にタープをかぶせて二重の防御をしている。場所によっては「ひさし」の役割をする茶色のタープもあるので、三重の防御だ。よくやるぜ。

17:13
一方こちらは、ホームセンターなどで買ったと思われる安いテントだ。

フライシートとテント本体の土台部分との間に大きく隙間があって、その部分はフライシートなしのノーガード戦法ということになる。

そもそも、テントもフライシートもペグ打ちしていないので、フライシートがテント本体にぴったりと張り付いてしまっている。あ、そもそもフライシートにペグ打ちをするための張り綱がついていないのか、これって。

これだと、夜は夜露が中に滴ってきそうだ。氷点下まで気温が下がるこの時期の上高地。それでもこういうテントを使うというのは、熟練者なのかもしれない。

どういう装備で寝泊まりしているのか、他人様の様子はとても気になる。このテントの中もチラ見してみたいところだが、それは覗き見なのでやらない。おじさんのソロキャンプだというのは、ちらっと見てわかったけれど。

ひょっとすると、テントはありきたりだけど寝具がスゲーかもしれない。テント用コットの高いやつとか。

アメリカンドッグみたいに分厚い寝袋とか。快適にテントサイトで暮らせるようにサンダルを持参しているところを見ると、少なくとも「キャンプ初心者が上高地に思いつきでやってきました!」という性質ではないことがわかる。それなりの経験者で、この装備で勝つる!と思ってやっている。手練れだ。

岳沢と、並ぶテント。

テントの色は緑と黄色、ときどき青といったレパードリーだが、中にはピンクという色もあるのだな。

17:53
夕暮れを待ちながら、梓川沿いで読書をすることにした。

まだだ、まだノンアルコールビールを飲み始めるのはまだだ。もう少し自分自身をじらしたい。「早く飲ませろッ!」というゲージが上がるまで、待ちたい。

そこで、崖を下り、川にノンアルコールビール缶を沈めておいた。

ご覧の通り。

コカ・コーラは飲む予定がないけれど、一応。とりあえず。

いきなり大水が上流から押し寄せて、これらの缶が全部流されたら僕は泣く。今晩どうやって過ごせばいいの、と。

ジュースくらいなら自販機で買うことができるけれど、ノンアルコールビールはお店が閉まると手に入らなくなるんだよな。

(つづく)

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