閉鎖病棟・上高地【小梨平ソロキャンプ2018】

12:10
読書にも飽きてきたので、大正池をあとにする。

これ以上梓川を下っていくと、釜トンネルにたどり着いてしまう。雪で閉ざされた冬季シーズンならともかく、今この時期に真っ暗なトンネルを歩くというのは自殺行為だ。なにしろ、行き交うバスの運転手さんは、まさかトンネル内を歩いている人がいるなんて思っていないから。

梓川下りはここでおわりにして、またバスターミナル方面に戻ることにした。

ただし、今度は車道沿いに歩く。田代池を経由する道はさっき通ったから。

12:13
「河童橋方面迂回路」という看板が出ている。

12:13
中部山岳国立公園 上高地自然研究路

と書かれた看板。

自然研究路、と書いてはあるものの、看板のサイズと向きからすると自動車向けに掲げているっぽい。中古車販売店が、展示している車の向きを全部車から見える方向に向けているのと一緒。

12:16
芽吹き始めた木々。これはケショウヤナギの芽かな?

12:21
車道歩きは新鮮な驚きと喜びに満ちていた。

まず、なにはともあれ人が誰もいない。みんな、遊歩道のほうを歩くので車道では誰ともすれ違わない。車とすれ違うだけだ。

人と会わないから気分がいいだけじゃない。この車道沿い、隠れた名所があちこちにあった。湿地帯があったり、倒木があったり。

これらは、バスに乗っていると全然気が付かない景色だ。一瞬で通り抜けてしまうから見落としてしまうからだ。そして、もっぱら目線は梓川や大正池、上高地帝国ホテルがある方向を見ていて、逆側の景色は完全に見ていなかった。

それがどうだ?こんな湿地帯が道路脇すぐにあっただなんて。

春という季節もすばらしい。「ようやく自分たちの出番がきたか・・・」と生き生きと、いそいそと生えてくる植物たちを間近で観察できる。

12:26
「へえー、こんな景色があったのか」

という独り言を何度も何度も繰り返す。先ほど、穂高橋から大正池まで歩いてきた景色よりもお得感がある景色だった。

12:28
しかし、この車道は狭く、さらには人が歩くスペースは確保されていない。

遠くでバスやタクシーのエンジン音が聞こえてきたら、早めに路肩に逃げる必要がある。歩いているうちに、車のほうがいいあんばいに避けてくれると思ったらダメだ。なにしろこの道幅なので、バスだといっぱいいっぱいだ。人が避けないと、バスの通行の妨げになる。

そしてなによりも、運転手さんはここに人が歩いていると思っておらず油断している。つくづくオレンジ色のザックを背負っていてよかった。遠目でも目立つ。

ひょっとしたらここは自動車専用道で、人が歩いちゃいけないのかもしれない。だとしたらごめんなさい。遠慮はしていたけど、堂々と歩いてしまった。

12:31
倒木にもいちいち感心する。

12:36
釜トンネルから上高地バスターミナルに通じる道は、写真のとおりグネグネしている。道の向きがグネグネ、というよりも、道幅が広がったり狭くなったりしている。これは既に生えている木の都合次第、ということなのだろう。なので、バス同士が行き違いできずに立ち往生し、片方が道幅が広いところまでバックする、なんてこともあり得る。

(つづく)

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