閉鎖病棟・上高地【小梨平ソロキャンプ2018】

16:34
「上高地登山相談所」の隣に、ラーメン店の店頭にでも置いてありそうな自販機があった。なんだろう?と思って近づくと、「上高地の自然を守る会」入会発券機、と書いてある。

ええ?なにそれ。上高地の自然を守ることに賛同した人はこれにお金を投入せよ!ということ?

せっかく登山相談所という有人窓口があるのに、ここは無人なのか。お金を扱うものは機械の方が確実、という判断だろうか?それともこの機械さえあれば深夜早朝でも対応できる!ということからなのか。

はあー、1人500円、なんだそうな。

ボタンがいくつもあるので、「お気持ち」の量によって値段が違ったり、特製ピンバッヂが付いてきます!という特典があったりするのかと思ったけど、違う。単に、団体がまとめて購入する用に、1枚~10枚までまとめ買い用のボタンがあるのだった。

上高地の自然を満喫している僕ではあるが、この謎の「守る会」にチャリンとお金を払う気にはなれない。なんのメリットがあるんだ?これ。

いや、「メリット」とか言っている時点で信心が足りないのかもしれない。すまん。

「ご入会の手順」をよく読んでみると、この守る会の実態は山岳保険であることがわかった。入会しておくと、死亡・後遺障害72.8万円、救難者費用100万円の傷害保険が付帯するそうだ。なるほど、そういうことか。

登山をやらない人からすると、「身ひとつで楽しめる、気軽なレジャー」という感覚かもしれない。しかし、北アルプスのような山を登る場合、たとえオーソドックスな登山ルートを予定していても、山岳保険に入っておいたほうがいい。入らないのは、むしろ無責任といえるレベルだ。

クレジットカードの旅行保険が使えるからいらない!・・・というのは大きな間違いだ。山岳保険というのは、本人の怪我を保障するだけでなく、「遭難した時の救助費用」を保障するという特殊な保険だからだ。たとえば、ヘリコプターを1時間飛ばしたら、それだけで50万円以上のお金がかかる。行方不明になって捜索隊が組まれた場合、捜索隊に支払うお金も相当な額になる。「お金がないから、捜索隊は最小限で・・・」なんてケチって、その結果発見が遅れて死亡、なんていうのは情けない話だからやめたほうがいい。

そんなわけで、この「守る会」の救難者費用100万円というのはちょっと安心できる保険だ。入って損はない。

ただ、よく山に登る人なら年間契約の山岳保険に入っているし、僕程度の山登りしかしない人でも、最近は1日限りの保険というのはネットで簡単に契約できる。上高地に到着して保険に入るよりも、予め加入しておいた方がバタバタしなくて済むと思う。

まあ、この辺は人それぞれだ。守る会の領収書は登山届に貼って提出するということなので、もし遭難したら救助と保険がシームレスに機能してこれはこれで便利だ。

16:35
この時間の上高地バスターミナルは、人の数こそ減ったものの、バス待ちのお客さんがまだまだいる。マイカーでやってきた人たち向けの沢渡行きシャトルバスは人が少なく、新島々行きのバスに人が並んでいた。

16:36
用もなくバスターミナルの窓口を見に行く。下界が恋しいわけではないけれど。

16:37
僕がここを立ち去る際に乗る、新島々行きのバス時刻表を撮影しておく。

どの時間に乗るのかは、その日の気分次第だ。

そもそも、明日かもしれないし、明後日かもしれない。明日帰宅、といえば随分早い気もするが、それでも2泊したことになる。明日夕方に引き上げる、という選択肢は十分にあるだろう。

いやいや、せっかくだから3泊、ということもできるが、気になるのは明後日が雨の予報だということだ。さすがに雨が降る前に退却したい。そのためにも、ロジスティクスは気にしておく必要がある。

高速バス「さわやか信州号」に乗って、ビューンと一気に新宿ないし東京に帰っちゃう、という選択肢もある。

乗り換えがない分楽だけど、4時間だか5時間だかをずっとバスの座席で過ごすのはしんどい。楽さよりも、旅情を楽しみたいので僕は敢えて乗り換えがあるルートで帰宅するつもりだ。

なお、直通バスの方がお値段は安く済む。お金を気にするなら、バスオンリーの方が良いのだけれど。

16:38
もうこの時間になると、バスターミナルの売店も閉店を見据えた動きになってくる。

夕ご飯はおやきにしよう!なんてことを17時頃に思い立っても、時既に遅しだ。ここいらで売っているものを買いたいならば、16時台にはお店に到着していたい。

16:47
キャンプ場に戻ってきた。

河童橋界隈は静けさを取り戻しつつあり、森は静かに日暮れの訪れを待っていた。

テントは、昨日よりも少ないように見える。

キャンプ場の設備はBエリアのトイレが閉鎖されていたけれど、Bエリア近くの炊事場も閉鎖されていた。夏のハイシーズンになるとオープンされるのだろうか。

ご丁寧に、立ち入りできないようにシンクをひっくり返し、入り口をブロックしてあった。

16:50
キャンプ場受付近くのエリア。

やっぱりここはテント密集地帯だけれど、昨日ほどギュウギュウではない。その気になれば、まだテントが割り込む余地がある。

とはいえ、僕はここに引っ越す気にはなれなかった。昨日と同じBエリアで十分ですわ。1,2m先に他の人のテントがある、というのは気が落ち着かないので。

(つづく)

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