閉鎖病棟・上高地【小梨平ソロキャンプ2018】

11:09
大正池に到着。

焼岳をバックに、高原ならではの密度の薄い森、そして澄んだ水面・・・さらには、大勢の観光客。

自分も観光客の一人なので偉そうなことはいえないが、人が多い。

特に団体客の場合、「大正池で解散・自由行動⇒数時間後に上高地バスターミナルに集合」というプランになっているツアーがそれなりにある。そのため、「さあ!上高地に着いたぞ!」とテンション高めで、うおおおおおと言いながら記念撮影をしていらっしゃる。

一方こちらは、上高地の中心から最果てまで歩いてきたところだ。最果てに来てみたら、一番俗っぽい空間だった、ということでその温度感の違いが激しい。

11:10
焼岳をバックに撮影していらっしゃる方ももちろんいるけど、多くのお客さんのお目当てはこれ。

穂高連峰の景色。

遠くから見ても美しいのは、岳沢まで平坦でそこからいきなり穂高連峰がそびえ立っているからだ。日本の山は、折り重なるように山の奥にさらに山、という配置が多い。もちろんこの穂高連峰もそういう山の一つだけれど、少なくともここから見るとこつ然と山が盛り上がっているように見える。

これはテンションが上がる。

そりゃあ、穂高神社という神社ができるわけですよ。聖地にしたくなりますよ。

ちなみに大正池だけど、「池」と呼ぶにはちょっとわかりにくい外観だ。川幅が広くなっただけのように見える。

昔はもっと立ち枯れ木が水面からにょきにょきと生えていたはずだけど、今はそれも少なくなった。

11:11
大正時代の焼岳の噴火によって梓川がせき止められ、それでできた池だという。だから「大正池」。さすが焼岳さん、ハンバないっす。名前からして、「やればできる子」感がビシビシ伝わってきていたけど、川をせき止めるとは。

じゃあ、梓川の水はどうなるの?あふれるんじゃないの?と思うけれど、下流の方を見ると人工の水門がある。水力発電用の取水口もあるようだ。今じゃ、人間によってコントロールされている池だ。

この事実を知った時、ちょっと残念に思った。単に部外者によるセンチメンタリズムだけれど。

大正池の湖畔にある、大正池ホテル。

水際に建物が建っていると、「水害のときには大丈夫なのだろうか?」と心配になってしまうのは日本人の性なんだろう。もちろん川なので津波はないけれど、大雨が降ったあとはこのあたり、どうなるのだろうか。

「大正池を観光する」といっても、人が楽しめるのはこの大正池ホテル脇の比較的狭い河原だけだ。そこまで自由度はない。なので、大正池観光というのは、せいぜい10分もあればお釣りがくる。

様子を見ていたら、みなさん記念写真を撮り終えたら、さっさと次の場所へ移動していた。ここにレジャーシートを敷いてじっくりくつろぐぞ、という人は皆無だ。

でもそれでいいと思う。どこからともなく、ワンタッチ折りたたみ式のテントを持ち込んで、半日くらい滞在してます・・・なんて人が現れたら、景観を損なう。

11:14
大正池湖畔からホテル脇の階段を登り、車道に出る。

釜トンネルから上高地バスターミナルに通じる道だ。

ここ大正池ホテルの正面だけは道幅が広くなっていて、一時停車ができるようになっていた。シャトルバスだけでなく、観光バスもここで人の乗り降りをさせる。ただし、写真で見たまんまの空間しか余裕がないので、車を留めておくことはできない。さっとお客さんをおろし、すぐにバスターミナルに向けて出発しないといけない。

ここにはアルピコ交通の従業員さんが1名控えていて、常に無線でやり取りをしていた。おそらく、バスターミナルと釜トンネル入り口の中の湯売店とでやりとりをして、車の往来を把握しているのだろう。

なにせここは道幅が狭く、観光バス2台がすれ違うのは無理、という場所もあちこちにある。どのタイミングで車をやり過ごさせるか、というのは大事なことだ。

こんな観光地なんだから、道幅を広げればいいのに・・・と思う。でもそれを今からやろうとすると、環境破壊になってしまう。もう、今のままで今後もやっていくしかない。

以前田中康夫氏が長野県知事だったとき、松本から上高地からリニア高速鉄道を敷くんや!とぶち上げていたことを思い出した。大変便利な話だし、観光バスやタクシーの排ガスがなくなるというのは素晴らしい。とはいえ、それによって観光客がもっと気軽に・短時間で上高地に行けるようになると、この地がオーバーユースになってしまう。

排ガスの影響は除外できても、人多すぎ問題で環境破壊じゃ意味がない。

あと、冬は雪で閉ざされる場所に線路を敷くことの大変さを考えると、その観点でも現実的じゃなかったのだろう。

11:15
大正池ホテル。

運がよければ12,000円台から泊まれるようだけど、現実的には1万円の後半、ちょっといい部屋にすると2万円台は必要となるお宿。

このホテルに泊まって、部屋が車道側でも許せるかどうか。せっかくだから大正池側に窓が開けている部屋がいいよな。

11:16
ホテルの前にあるバス停とタクシー乗り場。

大正池から沢渡・平湯温泉までは3,500円の定額料金。上高地バスターミナルからタクシーに乗るのと比べると、少し安い。

だいたい4人でタクシーに乗れば、バスと値段が釣り合うように値段が設定されている絶妙さだ。

ここからバスターミナル方面に向かうバスに乗る人っているのか?と思ったが、様子を見ていたら案外いた。徒歩で1時間以上かかる距離なので、トレッキングが趣味ではない人はとっととバスに乗ってしまった方が楽だ。

大正池ホテルの玄関。

「星降るホテルソフトアイス」とかいう青いソフトクリームがあるようだ。へええ。

信州味噌カツ丼、焼岳カレー、大正池ハヤシライスといったご当地感いっぱいのネーミングで料理が用意されている。そうか、ここにもレストランがあるのだな。

もちろん、山賊焼もあるぜ。1,400円。

そろそろお昼ごはんにしても良いのだけれど、さてどうしたものかね。

おや、「信州 根羽村のジビエ 鹿まん」というのがあるじゃないか。

ジビエ大好き!ジビエと知ったら、無条件で選ぶゥゥゥ!

ということで、山賊焼きでも焼岳カレーでもない、鹿まんを注文。

11:26
テイクアウトで、大正池に鹿まんを持ってきた。注文する人が少ないのか、作りおきはされていないらしくオーダーからちょっとだけ時間がかかった。

鹿まん、まんじゅうの表面に「しか」という焼印が押してある。どうもどうも。

11:27
大正池のほとりは観光客だらけだし、日陰がない。5月とはいえ白い河原にいると照り返しで熱いので、木々の隙間に逃げ込む。ケツが痛いけどしょうがない。ここの石は川の流れで丸くなっておらず、結構尖っている。いてて。

そこでノンアルコールビールですよ。「アルコール消毒」ならぬ「ノンアルコール消毒」ですよ。

鹿まん断面図。

なるほど食べてみて「そりゃそうだ」と思ったが、鹿肉というのは赤身の肉だ。脂が少ない。なので、豚まんと比べてあっさりとした食べごたえになる。肉汁も出ない。

豚まんほどうまいとは思わないけれど、鹿まんという珍しいものを、長野県で食べたということに大満足した。

なお、この鹿まんに限った話じゃないけれど、上高地で食べるものというのは全てが下界から仕入れたものだ。ご当地グルメというのは皆無だ。

11:55
小腹が満ちたところで、読書。

今日もあちこちで読書だ。

優雅だって?いや違う、集中力が続かないので、場所をかえ雰囲気をかえ、なんとか読書を少しずつ進めているのに過ぎない。こう見えてちょっと苦労してるのよ。

(つづく)

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