閉鎖病棟・上高地【小梨平ソロキャンプ2018】

07:06
朝7時を回ったので、朝ごはんをお腹に授けるべく、小梨平食堂に向かう。

朝6時過ぎに起きて、テントの片付けを開始して、コーヒーを沸かして飲む。小一時間の間でいろいろなことをこなしてきたけれど、それでも朝ごはんの時間まで長く感じた。

ようやく朝ごはんだ、という感じ。

昨日夕ご飯を食べてから半日経ったからだ、と最初は思っていた。でも待ってほしい、下界の日常でも晩ごはんから朝ごはんまで12時間くらい時間が開くのは珍しいことじゃない。やっぱり、「漆黒で、孤独に過ごす」という体験は空腹を招くのだろう。もっというと、暇だと腹が減る。

さらには「寒さ」という要素が加わり、身体が「生きなくちゃ!」と必死だったんだと思う。

むしろ、こういう寒さ体験は身体が研ぎ澄まされ、忘れかけていた野菜の感、じゃなかった、野生の勘が蘇る気がしてよかった。

おそらく、これをもっと突き詰めていくと、修験道の人とか、ヨガの人とかになっていくのだろう。うん、わかるわかる。わかるよー。

・・・と、軽薄な理解を示しつつ僕は欲望にまみれつつ食堂へ。

時刻は7時6分。食堂オープン時間キッチリに行くのはなんだかかっこ悪いので、少し遅れての到着だ。「まあ、そんなにお腹は空いていないんだけどね」とスカしている。小物っぷりがこういうところでも現れている。

07:06
朝7時過ぎだけど、窓際にお客さんがちらほら。「わざと遅れて食堂に到着した小物」のおかでんとは違う、大物たちだ。腹が減った!食うぞ!という潔いナイスガイたちだ。

テント泊の人たちで、ここで御飯を食べている人はどれだけいるのだろうか。僕なんか、「外食でいいじゃん」と開き直っているけれど、テントをわざわざ上高地に持ち込むような人たちは、自炊がメインなはずだ。

小梨平食堂、毎日売店には訪れていたけれど食事は初めてだ。

いろいろあるので食事には困らない。とはいっても、山小屋や田舎の茶店でよくある「うどん、そば、ラーメン、カレー、おでん」がメニューの大半だ。うどんとそばはバリエーションを多く設定できるので、自販機のボタンがあっという間に埋まる。その結果、慣れないと目移りして大混乱する。

しかし僕は迷わない。なぜなら、「朝定食」というメニューが存在するから。

朝だったら朝定食でしょう!だって、朝だから。

変な日本語だけど、「朝の時間限定のメニューです」と言われれば、たとえそれが安くなくても、好みでなくても、僕はそのメニューを選ぶ。悲しいかな、小物というのはこういう「限定」に弱い。「季節限定」とか「1日10個限り」というのもしかり。

で、朝定食には和食と洋食があるのだけれど、僕は和定食を選んだ。800円。

07:17
おおう、これは嬉しい。

出てきた和定食は、品数豊富・ご飯たっぷりのウキウキな内容だった。メインはサバの塩焼きだけど、それ以外にも温泉卵があったり、ひじきがあったり、「さてどうやってこのおかずを攻略するか」と考えるのが楽しい。なにせ、白米は大ぶりのお茶碗にたっぷりだ。食べごたえがあるぜ。

「選択肢が少ない生活を送りたい」とつぶやきながら上高地にやってきたけれど、この程度の選択肢なら全然平気だ。「どのおかずから箸をつけるか」ということまで悩むようになったら、いよいよ重症だ。ウイダーinゼリーでも飲むしかなくなる。

08:22
朝ごはんを食べ終わり、しばらく暖かい食堂で暖をとったのちにテントサイトに戻る。

乾かしていたテント類の後片付けだ。

左から、黄色いウレタンマット、グレーの袋のテント本体、白い袋のタープ、黒い袋のグランドマット、最後にグレーの細長い袋のテント用ポール。

こうやって見ると、テントがいかに小さくまとまるか、というのがよくわかる。ウレタンマットよりも小さい。これこそが、登山用テントの最大の特徴だ。小さく、そして軽く。

そのかわり、お値段は高く。

値段は目をつぶるしかない。たとえばここでお金をケチって、同じmont-bellでも安いテントを買った場合、多分僕は荷物をザックにパッキングできず上高地に来れなかっただろう。ありがとうステラリッジテント。

08:32
荷物をザックにぎゅうぎゅう押し込む。あとは帰るだけなので、もう入れる順番は適当でいい。これから登山ともなれば、重心を考えたり必要なものを取り出しやすい場所に配置したり、パズル的な要素が伴ってくる。でも僕はこのあと、バスと電車を乗り継いで自宅だ。なので余裕。

ちなみに登山用のザックというのは、一般的な「リュック」と形が違い、やたらと細長い。おにぎりのような形をした、子供用のリュックとは大違いだ。それは、登山の場合腕を前後に振りながら行動するので、腕がザックに当たらない配慮が必要だからだ。つまり、人間様の胴体と同程度か、それよりも細身になる。

だから、荷物の出し入れはあまり得意ではない。一度ザックの奥に荷物を入れてしまうと、引っ張り出すのが面倒だ。しかも、できるだけ荷物をコンパクトにまとめようとして、これでもかこれでもかとギュウギュウ押し込むからなおさらだ。

08:44
グイグイ押し込んで、ようやく全てのパッキング完了。

最後、まだ飲んでいなかった貰い物の信州版コカ・コーラで祝杯。これもれっきとした荷物だけど、ぐいっと飲んでキャンプ場のゴミ箱に捨てさせてもらう。売店で貰ったジュースなので、ゴミを捨てて帰ることについては許して。

08:46
それにしてもなー。

悔しくてしげしげとサングラスを眺める。

度入りのサングラス、これを装着していると日中の疲労度が違うので最近重宝していたものだ。で、今回も肌身離さず持ち歩いていたんだけど、夜中に寒さに耐えかねてガスストーブをちょっとだけテント内で点火した際に落っことしてしまった。その際に樹脂フレームが少し溶けてしまった。

悪いことはやるものじゃないな。

こんなことをやっていたら、テントが燃えるとか酸欠になって死ぬぞ、という神様からの警告かもしれん。

08:50
自分のテント撤収が終わったBエリア。

見晴らしが良くなっている。僕に限らず、他のテント泊の人たちもずいぶん撤収していた。今日このあと雨が降ることを知っていて、早く引き払ったのかもしれない。

08:54
荷物を持って、バスターミナルに向かう。

最後、梓川のそばに行き、岳沢と記念撮影。

チェックアウトの手続きはないので、荷物をまとめたら受付に立ち寄る必要はない。

まだ雨は降らないのかな?山頂までしっかり見えている。

08:55
川沿いエリアのテントサイト、Lエリアもご覧のようにこの時間は空きがある。今なら川沿いの一等地を取りたい放題だ。

08:58
38リットルのザックを背負い、25リットルのサブザックを手に、バスターミナルに向かう。

登山をやってきた人のような、そうでない人のような、微妙な身なりだ。もし登山なのだとしたら、なんでオレンジ色のザックを手にぶら下げているんだ?同行した仲間が行方不明になったのか?と心配になってしまう。

(つづく)

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