10:30
腕時計をつけたままお風呂に入り、ギリギリまで湯船で過ごした。
「よし、ときは満ちた」と、ジャストインタイムで上高地バスターミナルに帰還。
外は、小雨が降り始めていた。人々は傘をさしている。これから明日、明後日まで雨が断続的に降る見込みだ。僕はそのギリギリまでここに滞在できたことになる。逃げ切りセーフ。
10:31
10時40分新島々行きのバスの改札が、きっちり10分前からスタートした。「出発まで10分も余裕があるんだし」と思っていたらいけない。本当に律儀に10分前スタートだ。
整理券番号順に呼ばれ、ザックのような大きな荷物を持っている人はトランクに荷物を預け、そしてバスに乗り込んでいく。座席は自由だ。
10:32
整理券を確保したものの、乗車しない人もそれなりにいる。
整理券を確保したあとになって乗る便を変更した人もいるし、いろいろな事情で遅刻した人もいるのだろう。
槍ヶ岳や穂高岳に登る場合、上高地スタートで上高地ゴールとなるルートを採用する人が多い。その場合、夏山シーズンなどバスが混むときはスタート時点で帰りの便を予約することをやる。
10:34
他のお客さんは着席したら出発まで座席でおとなしくしていることが多いけど、僕は「どうせ出発まで時間があるんだし」と余裕をかまし、一度バスから脱出してソフトクリームをゲットしに行った。
風呂上がり、何か冷たいものが欲しかったんだ。
さすがにここでノンアルコールビールを飲む、というのはちょっと違う気がしたので、ソフトクリームだ。うん、うま。
10:36
客待ちタクシーの前に、ドバトが何匹か。
ドバトなんて珍しくないのに、つい「おっ、鳥だ!」と撮影してしまった。
10:55
バスは出発し、新島々に向かっていく。
上高地帝国ホテル、大正池と昨日見たルートを逆に進んでいく。そして、釜トンネルに入り、しばらく真っ暗な中を進んでいった先に一筋の光明が。
・・・ああ、これで終わりか。下界だ。下界に戻ってきた。
釜トンネル入り口、「中の湯売店」と呼ばれている場所だ。
ここにはゲートがあって19時になると閉まるのと、一般車両が間違って上高地に侵入しないように警備員さんが常時立って交通誘導している。
この先の山中にある中の湯温泉の連絡所となる建物もある。
10:58
中の湯温泉の売店から新島々に向かう国道158号線。飛騨高山と松本を結ぶ重要な路線だけれど、大雨などで通行止めになることもある。
国道脇には梓川が流れているのだけれど、その対面の崖が崩れまくっている。おい、大丈夫か?と心配になるような崖だ。
僕らがふだん道路脇で見かけるのは、法面工事をしまくってコンクリートだらけの崖だ。こんなに荒々しくむき出しになっている崖、というのを身近に見る機会がないのでちょっとした驚きだ。
見ての通り、ゴツゴツした岩ではなくザラザラした土砂だ。焼岳の噴火によってできたものだろう。
このあたりはところどころ崖の肌からお湯が湧いているのが見える。地図をみてみると「赤怒谷温泉」と呼ばているようだ。温度調整が難しいかもしれないけど、野湯として入浴ができるかもしれない。いや、危険だから立ち寄るのはたぶん無理だけど。
10:59
途中、坂巻温泉が見えてきた。
トンネルのすぐ脇にある小さな宿で、松本方面からだとトンネルを出た瞬間にしか温泉宿の存在を知ることができない。
冬季で上高地入りを目指す場合、この坂巻温泉か、中の湯温泉で前泊し、翌朝釜トンネルを歩いて突入することが多いと聞く。
ちなみに、車がびゅんびゅん走っている国道158号線沿いだけど、これでも「日本秘湯を守る会」の会員宿だ。
11:20
アルピコ交通のバスの素晴らしいのは、座席にACコンセントがついていることだ。
携帯電話の充電くらいしかできませんよ、パソコンなどは無理ですよ、と注意書きがある。よっぽど流す電気を絞っているようだ。でも、山に数日こもってました、スマホのバッテリが切れそうです、というような人にとってはとてもありがたい設備だ。
あいにく僕の場合、充電するための電源ケーブルなんて持参していないし、バッテリを消耗するほどスマホを使わなかったので全然平気だったけど。一番気を使ったのは、デジカメのバッテリ充電だ。
(つづく)
コメント