閉鎖病棟・上高地【小梨平ソロキャンプ2018】

11:45
新島々駅に戻ってきた。

下界への結束点、その2。

上高地バスターミナルは下界結束点その1だけど、そこからバスに乗ってもまだ下界には到達していない。単に護送されているだけだ。

新島々もそう。駅前に飲食店や土産物店が並ぶわけではなく、単に松本行きの電車に乗り換えるためだけの駅だ。

以前、ここで電車待ちをしている間に、駅近くの「島々妙鉱温泉」でひとっ風呂浴びることができた。

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しかし残念なことに、今はもう営業をしていない。代わりに温泉宿だった建物は、老人ホームに変わっている。

新島々バスターミナルの路線図を思わず撮影。往路のときも撮影したような気がするけど、まあいいか。

ここから白骨温泉、乗鞍高原、県をまたいで飛騨高山・新穂高温泉に向かうことができる。

改札は、ふだんは閉まっている。電車が到着し、下車する人が全員駅から出たあと、乗客が中に入ることができる。

なので、改札のいちばん先頭にザックを置いて、「俺がいるぞ」と周囲にPR。

新島々駅から先は、線路が一本になってその先でぱたりと途絶えている。

いいね、鉄道好きというほどではないけれど、こういう光景を見るとなにかグッとくるものがある。鉄などを使った近代建築と、それが今は使われていないというギャップにいろいろな感情を抱く。

もともとこの新島々駅は「赤松駅」と呼ばれていて、路線の途中駅だった。もう少し先に「島々駅」があって、そこが本当の終着駅だった。

上高地観光が流行った際にバスターミナルを作る平地が確保できなかったことから、終着駅の島々駅ではなく1駅手前の新島々駅前にバスが留置できる場所を確保し、そして今に至る。途中は土砂崩れなどあって、廃線となった。

てっきり、徳本峠の入口である安曇支所(旧安曇村役場)がある集落に島々駅があるものだと思っていたけれど、その手前の、今となっては何の変哲もないところが島々駅だったようだ。ちなみに駅舎は移設され、新島々駅の向かいにある。

12:03
アルピコ交通上高地線、松本行き。思わず写真を撮ってしまう。

そういえばこのホーム、島式だけど1番線・2番線という名前はついていないんだな。

ドアにアニメ絵の女性駅員さんが描かれていて、ギョッとする。瞳孔が開いているように見える描かれ方なので、なおさら。

12:39
ついに下界に戻ってきてしまった・・・欲と、情報、そして選択肢にまみれた下界に。その一丁目一番地となるのが、ここ松本駅。

さて、どうしよう。ちょうど昼飯時だ。メシをどうするんだ問題というのが無限に選択肢を生んでくる。なにしろ松本はメシ屋に困らない。しかもメシのクオリティが高いときたもんだ。どうしよう。

とりあえず何も考えずに、駅ビルにある「松本からあげセンター」に向かう。山賊焼きは今回の旅の初日に駅弁で食べたけど、今度はお店で食べてもバチはあたるまい。

・・・と思ったら、このお店は大繁盛で店の外に待ち客が大勢いた。あらら、ダメじゃん。

「待つ」という行為はすごく下界的であり、さきほどまで上高地にいた僕にとっては耐えられないシチュエーションだと思った。なので、とっととこのお店を立ち去る。

12:44
あてもなく松本駅から脱出する。

ここでスマホを取り出して、口コミ情報サイトを検索・・・なんてやるのはウンザリだ。そういう情報過多に早速自分の脳を晒したくない。

歩いて、それで決めよう。見つからなかったら今目の前に見えるありきたりなパン屋さん、「VIE DE FRANCE」でパンを買うでもいい。

小木曽製粉所外観

12:45
・・・と思ったら、駅前すぐのところに「小木曽製粉所」という蕎麦屋があるのを発見した。ほう?

しかも「山賊焼き」という文字がある。山賊焼きをトッピングできるらしい。さらには、僕が大好きなすんきそばもあるようだ。最高じゃないか。ここにしよう。

冷やしすんきそば

ここで冷やしすんきそばを食べた。

食べたときの話、そして電車に乗り遅れそうになって慌てて食べた話は「蕎麦食い人種行動観察」に詳しく書いた。

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この記事は旅行から帰ってきてほどなくして書いたので、当時のできごとの再現力がクッキリしている。今こうやってボヤンとした感じで昔を振り返って文章にしているのとは大違いだ。この記事をここまで読んでくれた方は、ぜひこの蕎麦喰いのほうも読んでほしい。

13:02
予約していたスーパーあずさ、出発まであと1分!というギリギリのところで、全力疾走してホームに到着。最後の最後に、予約した電車に乗り遅れるかどうかという俗っぽすぎる旅行になるとは思わなかった。

というわけで、3泊4日の上高地キャンプはこれで終わりとなった。これまでにない、強い満足感と充実感、そしてやり遂げた感のある素晴らしい一人旅だった。とにかく、「あれもこれも」と欲張ることがなかったし、スタンプラリー的なタスクを自分に課して追い詰めるということもなく、ひたすら気楽だった。それがよかった。

また、「飽きたらいつでも帰っていいし、その気になればもっと残っていてもいいんだぞ?」という期間の自由が与えられていたのも素晴らしかった。GWという期間ならではだ。そして、独身だからということでもある。今となっては、同じことはもうできないだろう。

デジタルデトックスをし、読書をし、歩き、寒さ暑さに一喜一憂する。かといって、不自由に耐えるわけではなく、朝昼晩とうまいメシを食べ、あたらしい体験、美しい景色を堪能した。こんなすばらしい体験を与えてくれた上高地の自然と、その環境を維持してくれている方々に感謝だ。

また機会をみて、同じようなことをやりたい。できることなら、四半期ごとにでもやりたいくらいだ。

(この項おわり)

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