13:25
上高地線の電車が入線してきた。
白い、独特のデザインの電車。アルピコ交通グループのイメージカラーだ。
「松本電鉄上高地線」という名前で呼ばれることもあるが、正式名称は「アルピコ交通上高地線」というらしい。もともと松本電鉄はアルピコグループの中核を成していた(他にも、タクシーやバス会社などがグループにはある)が、経営破綻。現在は松本市の支援を受けながら再生しているのだという。
それにしても、この振り切りっぷりはあいかわらずすごい。
前回焼岳登山の際にこの電車を利用した際、上高地線イメージキャラクター「渕東(えんどう)なぎさ」なる存在に仰天したわけだが、相変わらずこの娘は健在。
車内で車掌さんから手渡されたパンフレットの表紙に、なぎさちゃんがニッコリ微笑んだ絵が描かれていた。さすが上高地線だけあって、この娘が立っているのは大正池の湖畔で、背後に焼岳が見える。
ポリコレ全盛のこれからの時代、たぶん地域おこしとはいえ、萌え絵を多様するのはアウトになってくるだろう。「女性を描くなら、男性もセットで描くべきだ」とか、「民間企業がやるならともかく、税金が投入されている企業がジェンダーへの配慮が足りないのはどうか」とか、いろいろややこしい話になるに決まってる。
パンフレットを開けてみると、沿線のみどころなどが手書き地図でみっちりと紹介されていた。ほう、なかなか面白い。
でもごめん、これらの駅は全部素通りするわ。終点の新島々に用事があるんで。
たぶん、「新島々と松本だけじゃなくて、沿線にある他のところにも興味を持ってね!」ということなんだろうけど、そもそも途中下車しようと思わないからなぁ。
網棚の上にはディスプレイとスピーカーが設置されていて、広告が流れていた。収益化を目指すのも大変だ。
13:58
新島々駅到着。
下車するほとんどのお客さんは、旅行に行くぞ!感に満ち溢れている。さすがに地元民は殆どいないようだ。
ただ、その観光客たちも、大きく2パターンにわかれている。山用の装備をしている人と、軽装の人。
子連れのお母さんなんかもいる。この人なんかは、当然だけど上高地、さらにはその奥の山々を目指す人ではない。
この駅を利用する人は、上高地に行く人だけでなく乗鞍高原、白骨温泉を目指す人も使う。おそらく軽装の人は、乗鞍高原などでゆっくり過ごすのだろう。
新島々駅であり、新島々バスターミナルでもある建物。
上高地線と同じカラーリングの、アルピコ交通のバスがずらりと並ぶ。行き先別に停まっている場所が違う。
電車の外装が「Highland Rail」と書かれているのに対して、バスの場合は「Highland Shuttle」と書かれている。
バスのりばに、登山用品の取り扱いに関する注意書きが張り出してあるのがいかにも上高地。
ストックの先はものにひっかかったり人を傷つけることになるので、ちゃんとカバーをつけるように、と書いてある。
14:18
上高地行きのバスに乗って、いざ上高地へ。
14:55
バスは沢渡(さわんど)エリアにやってきた。このあたりは駐車場銀座となり、あちこちに公営・私営の駐車場が並ぶ。
上高地は一般車両の入場が禁止されている場所だ。なので、マイカーでやってきた人はこの沢渡に車を停め、シャトルバスに乗り換えて上高地を目指す(岐阜県側からは、平湯温泉でパーク&ライドする)。
そんな駐車場エリアに差し掛かったな、と思ったら、急にバスが脇道に逸れた。えっ、なんだそれ。国道158号線をずっと走るはずなのに。
すると、バスの自動音声案内は「沢渡ナショナルパークゲート」に向かうのだ、という。へえ、そんな施設が新しくできたのか。
周囲をキョロキョロ見渡してみると、国道158号線の川向いに、新たに大きな駐車場をこしらえて、そこにバスのりばも作ったらしい。それが「ナショナルパークゲート」。国立公園の入り口ですよ、ということなんだろう。
建物はすごく立派でデカい。しかし、人の気配が殆どなくて、異様だ。そんな建物をぐるっと一周周り、バス停に停車したけど誰も乗り降りしないのでそのまま出発していった。なんだこれ?
バスターミナルと呼んでさしつかえないレベルの施設なんだけど、肝心のバスが全然停まっていない。一体ここで何がしたいのか、ぱっと見た目はわからない。中には上高地の歴史や自然の紹介がされている展示があるということだけれど、箱物だけデカく作った感がある。
15:10
上高地の玄関口、釜トンネルに到着。
警備員さんがご丁寧に2名もいて、一般車両が入ってこれないように見張っている。
15:13
釜トンネルの中を通過中。
トンネルなんだからまっすぐ穴を掘ればいいのに、と思うが、ひっきりなしにグネグネと曲がる。そしてかなりの勾配だ。
このあたりは活火山の焼岳がすぐ近くにあるということもあって、地質が複雑なようだ。トンネルが技術的に突き進めるように、右へ左へと難関を避けていった結果だろう。
(つづく)
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