冬の上高地に歩いて潜入!カフェ・ド・コイショでクリスマス【中の湯・明神】

13:18
小梨平キャンプ場にやってきた。

ここには冬季トイレがある、という話だったが、トイレの入り口は見事なまでにびっちりと塞がれていた。

ここまでやるか?というレベルでの密閉は見事だ。

そういえばこういう建物も、人間の胸の高さあたりまで石積みで作られているんだな。雪に埋もれたとき用だが、オンシーズン中の来訪時にはまったく意識してこなかった。

まだ雪は降っていないけれど、パキーンと冷える空気の中にいると、雪の気配を感じる。そこでようやく気がつく、石積み。

トイレに行きたいわけじゃないけれど、冬季トイレがないのは気になる。どうなっているんだろう?と思っていたら、建物の脇に「冬期用トイレ」と書かれた看板を発見した。

あ、裏手にあるの?

あった。

わざわざ、トイレの裏手に隠しトイレが用意されていた。

「えっ、これって掃除道具入れじゃないの?」と思ってしまうような、小さな扉の奥にトイレがあるらしい。

先ほどの大正池公衆トイレのように、男子トイレを開放する形になっていない。冬専用のものがあるというのは知らなかった。

上高地から奥に足を踏み入れたので、ここまで冬にやってくるのはガチ登山勢しかいない。なのでトイレのキャパを小さくしても問題ないのだろう。

13:25
小梨平キャンプ場の炊事場。

ここは雪囲いをしていないものの、ロープで立ち入りが制限されていた。そして中にあるシンクはわざわざ水道管を取り外し、シンクをひっくり返した状態にしてあった。手間がかかっている。

屋外、しかも自然の中でシンクをむき出しにしていると、落ち葉やゴミで排水が詰まるのかもしれない。

13:25
ちょっと寄り道して、キャンプ場の中を歩く。梓川河川敷を目指して。

地面はすっかり赤茶色に染まっている。カラマツの落ち葉が地面を埋め尽くしているからだ。

今年の7月に二人でテントを張った場所がここだ。あれから4ヶ月。すっかり様変わりしてしまった。これが日本の四季、なんだな。都会に住んでいる実感とは全然違う。

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「おっ!」とびっくりしたのが、キャンプ地の傍らにテントがあったことだ。この時期、泊まっている人がいるのか!

キャンプ場全体を見渡すと、何張りかテントがあった。雪山登山のベースキャンプ、にしては時期が早すぎる。かといって紅葉を楽しむにしてはおそすぎる。ちょっとした変わり者が、この時期の上高地を独り占めしているのだろう。素敵な発想だと思う。

ただ、オンシーズン中とくらべてキャンプのハードルはものすごく高くなる。

僕がここでテントを張っているときは、「メシは外界から持参してもいいけど、現地調達・現地外食・テイクアウトの食べ歩きなどなんでもオッケー」だ。しかも水・トイレどころか風呂だって入ることができる。僕にとってはグランピング張りにぜいたくで行き届いた空間だ。

一方この時期だと、そういうサービスが一切存在しない。トイレはなんとかなるとしても、水さえ外界から持ってこないといけない。しかも、釜トンネルから歩いて、だ。

このテントの住人が登山目的なのかキャンプ目的なのかは不明だけど、もし「キャンプでゆっくりする」のが目的だったら時間の過ごし方も大変だ。なにせ、じっとしていると寒いから。じっとしていられない。かといってテントに籠もっていたら、なんのための上高地キャンプなんだかわからない。

小梨平は焚き火が全面禁止されている。火を焚いて暖をとることはできないので、ひたすら寒さに耐えるしかない。でも、すごいな、憧れるぜ。

13:26
梓川の河川敷に出てみた。

川の中洲に生えているネコヤナギが、黄色を含んだ赤っぽい葉をまだ残している。とても美しい光景だ。

カラマツをはじめとし、上高地界隈は軒並み落葉してはげ山になっているのだけれど、こうやってまだ残っている紅葉を見ることができて嬉しかった。

岳沢をバックに記念撮影。

セルフタイマーをセットし、10秒カウントダウンの最後にジャンプする。ちょうどシャッターが下りるときにどれだけ高くジャンプできるか、しょうもない競い合いを二人でする。

周囲に誰もいないからこそ、できることだ。これが冬季閉山中の上高地のメリット。春から秋にかけては、到底この場でこんなことはできない。周囲に人が大勢いて、恥ずかしいから。

13:35
小梨平キャンプ場の受付と風呂場がある建物。

もちろん、ここも營業をしていない。人の気配は皆無だ。

シャッターはピッタリと閉じられ、雨戸はきっちり閉じられ、ゴミ箱はブルーシートでぐるぐる巻きにされていた。

シャッターを見ると、「11月3日の宿泊で今季終了」「来シーズン(2020年)は4月20日から営業開始」なんだそうだ。

あ、そうなのか。帝国ホテルのような宿が閉山を待たずにクローズするのは「まあそうだろうな」と思うけれど、キャンプ場も案外早めに終わってしまうのだな。

「閉山式が毎年11月15日にある」ということだけ知っていて、「じゃあ、閉山式を見てみたいし、11月13日くらいからちょっくらテントを担いで上高地に行ってくるか!」と思ったら大間違いだ。キャンプ場がやっていないだけでなく、ほぼ全部の商業施設は營業をしていないだろう。

13:39
落ち葉。なんか真っ黒なんだな、びっくり。まるでカラスの羽のようだ。こんな落ち葉があるのは知らなかった。多分、一冬を越えると分解されて目立たない色や形になっているのだろう。

(つづく)

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