冬の上高地に歩いて潜入!カフェ・ド・コイショでクリスマス【中の湯・明神】

16:18
明神池でさんざん写真を撮ったのち、引き上げる。

ラブリーな写真を撮りまくったぜ。このときの写真は、スライドショーにして結婚式のときにタブレットで常時垂れ流しにするのに使った。このサイトでも紹介した富士山や日光湯元旅行の写真などと共に。

神社から鳥居が立つ参道を見たところ。

写真では見切れているけれど、右側に嘉門次小屋。そして左に写り込んでいるのが「山のひだや」という位置関係。

何の変哲もない写真をわざわざ撮っているのは、「いつもは人がいる場所なのに、人がいない!すげえすげえ」と興奮しているからだ。興奮の証がこの誰も写っていない写真なんだから、事情を知らない人からすると変な話だ。

16:20
「山のひだや」の裏手を覗いてみる。

温泉宿をはじめとして、「観光地の裏側」を観察するのが大好きな僕は、こういう場所が気になって仕方がない。客が往来する表側とは違う景色が広がっているからだ。

屋根の位置、壁の色が異なっている部分があって、長い歴史の間に増改築を繰り返したのかなー?と推理するのが楽しい。

宿の裏手にある、謎の建物。五角形の形をしている二階建て。そして、そこに通じる三角屋根のひさしと廊下。廊下は宿とつながっているのだけれど、なぜ宿と直結させなかったのか、なぜ宿から少し距離が空いているのか、謎。

これは何の建物なのだろう。

今回の宿泊で、この謎が解明することはなかった。(後になってわかる)

16:43
日が傾いてきた。

外にいると寒いのは当然として、部屋にいても暗いし、寒い。

人間、薄暗いところにいるのはしんどいものだ。ましてや寒いともなると。なので、暖と明るさを求めてカフェエリアにやってきた。

面白いものだ。お金と時間をかけてたどり着いた先が、こうやって不自由さがある場所だということが。むしろこの時代、(許容できる範囲内で)不自由である、というのはお金を払ってでもしたい体験になっている。世の中でグランピングが流行っているのも、その延長線上なのではないか?と思う。不自由っぽい便利さ。

ちなみに今回の旅費は、二人あわせて10万円を超えている。この「山のひだや」泊自体が冬期営業だし、クリスマスイベントということでスペシャルな価格だ。それに加えて前泊の中の湯温泉、さらには東京からの往復交通費を足していくと、だいたいそんな金額になる。海外旅行に行けるレベルだ。

加えて、冬用の装備をあれこれ買ったので、そのお金もかかっている。

僕らは、「新婚旅行はどこに行きました?」と聞かれたら、「結婚前ですが、冬季閉鎖中の上高地に行きました」と答えることにしよう、と相談して決めた。むしろ、誇らしいから自慢したいくらいだ。

今どき新婚旅行の行き先なんて聞かれないだろうとおもったら、結婚後しばらくの間はやたらと聞かれた。というか、「結婚したんです」というと、「おめでとうございます」と言われたあと、二言目には「で、新婚旅行は?」という質問が来ることが多かった。

今どき新婚旅行に行かない人は一定数いるだろうし(コロナの有無関係なく)、入籍~結婚式~新婚旅行のタイミングが全部バラバラな人が多い。ここ10年ほど、僕の周りで「結婚式の直後に新婚旅行に行きました」なんて人は見たことがないくらいだ。昔は結婚式の翌日に成田空港に行って海外へ、なんてザラだったはずなのに。

新婚旅行について質問してくる人が本当に旅行先に興味があるのか?というと、多分違うと思う。話を続けるための、無難な質問として「新婚旅行はどこ?」という言葉が口から出てくるのだろう。「○○に行きました」とか「まだ行ってないんですよー」とか、どういう答えにしろ会話は続けやすい。

一方、「どこで挙式したんですか?」「キリスト教式ですか、神道ですか、人前婚ですか?」といった、結婚式そのものに対する質問は少なかった。そのあたりは生臭い話題、という位置づけになるのかもしれない。

クリスマスパーティー会場となるカフェの一角には、お酒も並べられていた。パーティー中に開栓するのだろう。

「槍穂のしずく」という清酒と、赤白のワインが並ぶ。

「玉乃光」と「フランス産・プレミアムな洋梨スパークリング」が並ぶ。

脈略がない並びなので、今日の参加者の誰かが差し入れで持ってきたものかもしれない。

二人で「dancyu」を読んで過ごす。

同じページを二人で読んで、お互いあーでもないこーでもない、と会話をする時間が好きだ。情報の交換と、価値観の交錯。特に僕といしの場合、年齢が12歳違うし育った土地も全然違う。食に関する文化が異なるので、一つのコンテンツを同時刻に肩を並べて見るというのは大事なことだ。結婚後も大切にしていきたい時間。

こういうとき、年齢が上な分僕のほうが知識量が多い。でも、「自分語りおじさん」としてあれこれ喋りすぎないのが大事だ。つい気が緩むと自分語りをしてしまうが、ハッと気がついてみっともない気持ちになる。いかに相手に気持ち良く喋ってもらえるか、がこういう時間は大事。

だんだん暗くなってきた。

ランプが灯る。

ランプの光は幻想的、とよく言われるが、「珍しい」という点で過大評価されている気がする。

それにしてもランプの暗いことよ。これだけ密集して並べないと、明るくならない。

これでも明るいほうで、昔の日本人は行灯だとか提灯、または裸のろうそくで夜を過ごしていたんだから驚きだ。ランプを眺めて、昔の生活に思いを馳せる。こういう時間も貴重。

17:03
クリスマスパーティーは18時からで、その準備のためカフェエリアは17時で休憩室としての利用が終了となった。

一旦僕らは部屋に戻る。

部屋は既に暗い。そしてかなり寒い。部屋の壁から冷気がじわっとにじみ出ているような感覚だ。

なので、頼みの綱のカセットボンベ式暖房を使っても大して暖かくならない。部屋を熱気の対流で温めるなんてのはたぶん無理そうで、僕らはひたすら暖房の前で輻射熱を受け取った。足は豆炭こたつに突っ込みつつ。

(つづく)

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