
10:37
河童橋。
がらんとした景色。誰もいない。
この時間にここにいようとするなら、小梨平キャンプ場で前泊するか、朝7時過ぎには釜トンネルから上高地目指して入山していないといけない。つまり、あまり現実的ではない。
釜トンネル近くに駐車場があるならまだしも、全くないし路駐するような場所さえない。なかなかハードルが高い場所だ。

河童橋の下で、火傷した手を冷やすいし。
火傷してから1時間以上経っているのであまり意味がないことだけど、やらないよりはマシか。
「冷たい!冷たい!」
と叫び、手を長く浸けておくことができなかった。それだけ水温が下がってきている。
下がっているのは水温だけじゃない。水位も見たことがないくらい低くなっている。雪解け水が川に流れ込む春から夏を経て、今はもっとも水量が減る時期だ。なんなら歩いて対岸まで行けるんじゃないか、と思ってしまうくらいだ。いや、そんな冒険はしないけれど。

「せっかくだから、ドコイショで貰ったお菓子を食べましょう」
いしが言ってお菓子をカバンから取り出す。
「えっ、今?家に帰ってからのお楽しみじゃなくて?」
「だって早く味を確認しないと」
「旅のお土産、という発想にはならないの?」
「持って帰っている途中で割れるかもしれないですし」
次から次へと、「今クッキーを食べるべき理由」をスラスラ述べるいし。
じゃあ、ということでその場で食べる。

11:12
河童橋を過ぎてからも、梓川右岸を歩き続ける。
五千尺ロッヂ、西糸屋山荘、アルペンホテルと連なる宿の横を通り過ぎ、しばらく進むと上高地温泉ホテル。
ここもすべての窓がシャッターで閉じられていた。
背後に焼岳が見える。

11:14
上高地温泉ホテル前の梓川沿い歩道。
明神岳が遠ざかっていく。

11:19
ここもネコヤナギが赤く染まっていて美しい。

11:23
穂高橋・田代橋を渡って、梓川左岸に渡る。右岸ルートはここで終わりだからだ。
関係者用の車道を使えば、右岸を歩き続けて上高地トンネル近くまで行けるはずだ。今、ほとんど上高地に人がいないからこそ、関係車両専用道を通るという暴挙もできそうだ。
オフシーズンの今、そういうことをやってよいのかどうかよくわからない。車両通行の妨げになるような車は通らないし。でも、たぶん「冬だからオッケー」ということは無い気がする。無理はせず、梓川左岸の歩道を歩くことにする。
穂高橋・田代橋からほど近いところに、中ノ瀬公衆トイレがある。上高地エリアにおける数少ない冬期トイレの一つがある場所だ。

ここのトイレをチェックすれば、エリアすべての冬期トイレを見たことになるぞ!
ということで、トイレを見に行く。
あ、やっぱり建物の裏側に冬季トイレがひっそりとあるんだな。

11:30
このまま上高地帝国ホテルに向かうわけではなく、川沿いの歩道を歩いて大正池を目指す。
ここから先は、川沿いの「梓川コース」と森の中を歩く「林間コース」の二手に道が分かれる。しかし林間コースは今後雪に埋もれることを踏まえてか、ロープで道を塞いで通行止めにしてあった。

11:34
火傷した手がヒリヒリするようで、再度手を川の水で冷やすいし。
(つづく)
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