冬の上高地に歩いて潜入!カフェ・ド・コイショでクリスマス【中の湯・明神】

09:59
釜トンネル(新)を抜けて一旦外に出たものの、すぐ目の前に次のトンネルが待っている。こちらは「上高地トンネル」。

釜トンネルは旧から新に作り直されたが、こちらは完全に新しいトンネルだ。トンネル入口の左側に旧道が残っていて、通行できないように塞いである。

昔は・・・どうだったかなぁ、全然覚えていない。なにせ、このあたりはバスでビューンと素通りしていくところだからだ。だいたい、人生で何度も何度も通るような場所じゃないし。

ただ、釜トンネルは一度でも通れば、その異様な雰囲気が記憶に残る。それはトンネルが新しくなっても、古いときでも、一緒だ。

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上高地トンネルは、2016年7月に完成している。延長588.0m。

このトンネルが完成したことで、今や旧道となったルートより125メートル短くなった。それよりも何よりも、土砂崩れや落石の事故を減らすことができた意味合いが大きい。このあたりは土地がもろく、傾斜がきつい山肌なので頻繁に崩れるからだ。

トンネル完成以降、現在でも「上高地をつなぐ唯一の道路が土砂崩れのため上高地が完全に孤立、観光客や施設従業員が取り残された」というニュースを時折目にする。それだけこのあたりは崩れやすい。

旧釜トンネルの時代は、実はトンネル自体はさほど長くなかったことがわかる。Wikipediaによると、初代釜トンネル(1927年完成)はわずか320メートルしかなかった。その後トンネルを延長させる工事が繰り返され、そのせいでトンネル内で急カーブが生じ、トンネルの前後に信号を設けて片側交互通行とせざるをえなかったわけだ。

それが今や、新釜トンネルが1,310メートル、そして上高地トンネルが588メートル。約2キロに及ぶトンネルになっている。長くなったものだ。

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今この旅をしているのが2019年。なので上高地トンネルが開通してわずか3年ということになる。

新しいトンネルというだけあって、とてもきれいだ。

釜トンネルもきれいだが、それにも増して新しさがにじみ出ている。

多くの観光客がオンシーズン中は行き交うトンネルだが、アルピコ交通が運行する路線バスやシャトルバスは低公害型のバスで運行されている。おそらく一般的なバスよりは排ガスが少ないはずだ。

それにしてもこの上高地トンネルもえげつないな、奥のほうで、「えっ、ご冗談でしょう?」というくらいに急に傾斜がきつくなっている。まるで滑り台のようだ。

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斜度9%。

先ほどの釜トンネルが11%だったので、それと比べてまだ楽なほうだが、それなりに疲れる道だ。コンクリートに覆われて息が詰まる空間で、先が見えない中上り坂を進むのは肉体的にも精神的にもしんどい。

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でも、昔の釜トンネル時代は最大斜度16%だったというのだからもう笑うしかない。うっかりトンネルの途中で車が失速したら、エンストしてしまいそうだ。

上高地トンネルは釜トンネルと違って、照明が完備されている。写真では若干の明るさ補正が入っているので実際はもう少し暗いのだけど、それでも釜トンネルよりはるかに明るい。釜トンネルはほぼ真っ暗だ。

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588メートルのトンネルなので、10分足らずで通過。

トンネルの外は、「ああ、上高地にやってきたな」感のある雑木林が広がっていた。まだだ、まだ到着した気持ちになるのは早い。だってここ、一般的に上高地の入り口と認識される大正池にすら到達していないんだから。

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上高地トンネルを振り返ったところ。

トンネルの右側に旧道がある。明日の帰り道、時間に余裕があればこの旧道を歩いてみよう。どうもこの様子だと、まだ旧道はボロボロになっていないので歩けるっぽい。

10:17
葉っぱをすべて落として、青空を遮らない木々。寒々しい光景、というより、むしろ清々しくて気持ちいい。

楽しくてウキウキしてくる。

当初心配していた寒さだけれど、急坂を歩いてきたので体は十分に温まっている。なのでこういう景色も、十分に楽しめるしむしろご馳走だ。

10:20
ああ、この景色は面白いな。

正面に穂高連峰が見えてきた。

奥穂高岳、その山腹の岳沢は毎度おなじみの光景。僕、これを見るのは今年3度目。2019年はよく上高地にやってきたものだな。7ヶ月間で3回上高地訪問ってことは、2ヶ月に1ぺん訪れていることになる。カネと時間がかかりすぎだ。

で、この景色が面白いと思ったのは、いつも見慣れている奥穂高岳の手前に、西穂高岳・ピラミッドピーク・独標といった山々が見え、そして西穂山荘につながるなだらかな山の斜面が見えるからだ。この角度からじっくりと山容を眺めるのは初めての体験だ。

なにせ、いつもはバスでビューン、だから。見てる余裕なんてないから。

西穂山荘泊で西穂高岳に登頂した記録は、こちらの記事。

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このときは、西穂高岳を登頂後に折り返し、返す刀で焼岳縦走して中の湯温泉まで下山、というプランを考えていた。結局「日本秘湯を守る会のスタンプ台帳を持参し忘れた」というだけの理由でやる気を失い、中の湯は目指さずに新穂高温泉に下山した。

西穂高岳から中の湯まで縦走を計画するってずいぶん張り切っていらっしゃるが、まさに若気のいたりの発想だ。今の僕なら到底思いつかない。

10:20
僕が目の前の景色に感動している一方で、いしは憮然としたまま一人前へと歩いて行く。疲れている様子なので、あまりうかつに声をかけないことにする。

大正池でいったん休憩を入れるつもり。あともう少しだ。

(つづく)

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