冬の上高地に歩いて潜入!カフェ・ド・コイショでクリスマス【中の湯・明神】

中の湯温泉旅館の玄関先に、「岳人の湯」と書かれた札が貼ってあった。

すまん、僕ら今回は山には登らないんだ。ひたすら梓川沿いに平地を歩いて、行く先は山の麓なんだ。それでも入浴させていただけますでしょうか。

時々、仕事のメールで「~していただけますでしょうか」という書き方をする人がいるけれど、あれは僕嫌い。なんか気持ち悪い表現だな、と思う。

あと、メールの最後に「以上、よろしくお願いします」と書いているのも気持ち悪い。何もお願いされていないメールであっても、こういう定型句を付けてくる人って時々いる。

チェックインをしようとしたら、「まずはこちらへ」と広々としたロビーへと案内された。

ロビーのソファに座って宿帳を書く。へえ、フロントで立って書くんじゃないのか。なんだか高級な雰囲気だな。

おもてなしの発想もあるんだろうけど、送迎バスで一度にドドッとやってきたお客さんをフロントでは一度にさばききれないので、ロビーにお通しするという宿側の事情もあるのだろう。どっちにせよ、いきなりソファというのはなんだか優遇されている感があって気分がいい。

中の湯温泉旅館のフロント。

古めかしい、狭くて薄暗くてゴチャゴチャとものがおいてある旅館とは大違いだ。開放感、明るさ、広さ、整然とした雰囲気、全てが心地よい。

「どこかに鹿とかイノシシの剥製はあるかな・・・」とあたりを見渡したけど、見当たらなかった。あれ、山間部のこじんまりした温泉旅館でよく見かけるやつ。

明日の天気は晴れ、だそうだ。

子どもが描いたのか大人が描いたのかわからないけど、クレヨンで描かれたニッコリおひさまが嬉しい。そうか、明日は晴れか。天気には不自由しなさそうだ。

中の湯温泉旅館に降り立ったとき、「さすがに松本より気温が低いな」という実感はあった。これで雨や風が強かったら、明神までの道は結構しんどいだろう。でも晴れならば気が楽だ。

悪天候にも考慮してあれこれ装備品を持参しているので、荷物は大きくなっているけど使わないにこしたことはない。

「夕食時の、チョット贅沢。高品位な地酒をご賞味ください」

という札とともに、お酒の瓶が並んでいた。真澄、稲光、水尾。「稲光(いなびかり)」というお酒は初めて聞いた。よく見ると、「大信州」というお酒の純米大吟醸らしい。

・・・ああいや、違うな。調べてみたら、「大信州」にはいくつもの純米大吟醸名が存在する。

梓水龍泉、以和為貴、香月 至極、香月 秘伝、香月 神寿、香月 古今。

種類が多いなあ、もう。ややこしい。

で、このお酒の三種飲み比べセットが1,500円。へー、いいね。

こういうのをわざわざ撮影しているのは、はるか昔に僕がお酒を飲んでいた時代の名残だ。僕がこのお酒を飲むわけじゃないのに、つい昔の癖でこういう写真まで記錄として残してしまう。

それだけ脳にアルコールが染み付いてしまう、ということだ。「飲みたい渇望」なんてのはもはや全くないけれど、飲酒時代の習慣は多分一生抜けないんだと思う。そしてそれは、実害はないけれどアルコール依存状態を引きずっているということでもある。

断酒会に通わないとお酒を我慢できない、という次元になる手前でお酒をやめて本当に良かったと思う。あともう少しで、僕はもう引き返せないところまで酒浸しになっていたと思う。それで幸せな人生が送れていれば良いのだけれど、おそらく悲惨な末路を迎えることになるだろう。

このたび晴れて結婚、という段取りになったのも、僕がお酒をやめていたからにほかならない。お酒をやめて気力体力そして時間ともに持て余した結果、あちこち行動範囲が広がってパートナーと知り合えた。

なお、この三種飲み比べは僕のかわりにいしに飲んでもらうことにしよう。

僕は、誰かが僕のかわりにお酒を飲んで、その味の感想を聞くのが好きだ。

フロント前にある売店。

けっこうしっかりとお土産が売られている。

大半が長野県のお土産で、信州りんごやわさびを使ったお菓子が売られている。とはいっても峠一つ超えたらそこは岐阜県。ほんのわずかに「高山ラーメン」が売られていた。

面白いのが、この売店にはちょっとしたアウトドア用品も売っていることだ。さすが岳人の湯。

ガチ登山装備は売っていない。そんなのを今更ここで調達しちゃ駄目だ。売られているのは、ポンチョやナルゲンボトル、カラビナや熊鈴といったものだ。

僕が大好きでたまらない、旅館の避難経路図。

ほんと、狂おしいほど好き、これ。なんなら今からでもコレクションしたいくらいだ。とはいっても今後の人生でどれほど温泉旅館に宿泊する機会があるだろうか。

ほら見てよ。複雑な作りになっている。

増改築を繰り返してこうなったわけじゃない。この建物は比較的新しいので、最初っからこうだったんだ。

つまり、こういう形にせざるをえない地形の上に建物が建っている、というわけだ。

なんでこうなった?と想像するだけで楽しい。そして実際に館内をウロウロするのも楽しい。

古い旅館だと、増改築が繰り返されているのでますます複雑な建物になっている。平地ではない場所に作られた宿なら、増築した部分と廊下の高さがあっていないとか、動線がズレているとか、面白くてしょうがない。

部屋につながる廊下。

エレベーターでフロント階から上に上がったのに、部屋番号が100番台というのに戸惑う。そして面白い。ええと、この建物における1階はどこだ?

(つづく)

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