冬の上高地に歩いて潜入!カフェ・ド・コイショでクリスマス【中の湯・明神】

12:58
上高地トンネルには入らず、トンネルの脇から旧道を歩く。

ちょっと遠回りになるけれど、大した時間ロスにはならない。地図で見る限り、トンネルができたことでそこまで大幅な時間短縮が図られたようには思えない。

きっと、時間短縮効果よりも崖崩れ対策の意味合いが大きいのだろう。

だって、見てよこの道路。

上高地トンネルが開通したのは2016年7月。それからわずか3年4ヶ月でこの光景だぞ。

道路に降り積もった落ち葉、落石、そして屋根のように覆う木々の枝。まるで放置されて相当時間が経った道のようだけど、わずか3年でこうなってしまうとは。アスファルトだって、ボロボロだ。砂利道かな?と思ってしまうくらいだ。

あと、道がやけに狭く見える。そして道と山との境界が曖昧だ。。・・・たぶん、崩れたな?

こういうのを毎年メンテナンスしていると大変だ。そして大雨や台風が来ると、倒木やら土砂崩れで道が塞がってしまう。それだったらトンネルを掘った方がマシだ、ということになる。

13:06
10分足らずで、旧道を歩ききった。

旧道歩きって面白いな。ちょっとした探検気分を味わえる。

これからの時代、こういう「安全だけど探検気分」だとか、グランピングのような「便利だけど不便っぽい体験」というのがどんどん流行っていくと思う。要するに、ヌルい世界。なんちゃって体験。

「農業体験」なんてまさにそうだ。草むしりとか害獣駆除とか、水源管理とか、農業の大変なところは農家さんに任せたまま、種植えや収穫というアガるところだけをおいしく体験する。

一方で「漁業体験」というのがほとんどないのは、漁船に乗って網を手繰ったりするのは「おいしいとこどり」ではなくなるからだろう。

13:09
釜トンネルに入る。

ここを出れば上高地という別世界から本当にお別れ、と思うとちょっと残念だ。

でも、足取りは軽い。猛烈に軽い。だって、勾配が11%もあるんだから。行きは息が上がるほどの上り坂だったけど、下りは踏ん張りながら歩くくらいのペースアップだ。

13:13
今日はすれ違う人がぜんぜんいない。これから上高地に入る人は皆無だ。

そのかわり、相変わらず工事車両は時折轟音を立てて通過していく。

釜トンネルはご覧の通り真っ暗だが、前方に一か所だけ明るいところがある。往路で、「おや、除雪車がここに止まっているのか」と感心した場所だ。

なんで一か所だけこうこうと明かりが灯っているのか、そしてなんでここに車両の待避所が設けられているのか、謎だ。

だって、距離としては上高地側にずいぶん寄っていて中途半端だからだ。

後で知ったが、釜トンネルは何度も改修とルート変更が繰り返されていて、その名残りがここらしい。

今歩いている新釜トンネルはいきなり全線開通というわけではなく、まずこの地点から上高地に向けたところが開通し、旧釜トンネルから新釜トンネル(上高地側)につながる形で運用開始。

その後、中の湯からここまでのトンネルが開通し、新釜トンネルが全線開通となった。

その際、旧釜トンネルと旧釜から新釜に通じる連絡トンネルは封鎖された。なので、このトンネル内に旧釜トンネルにつながる道があるんだけど、歩いているときは気が付かなかった。

13:17
ほんと、笑っちゃうくらい真っ暗だ。

ところどころ、消火栓を示す赤い灯りが点灯している程度で、照明はまったくない。

こういうところで記念撮影を撮るのがすごく面白い。

あまりに真っ暗なので、三脚にカメラを据えつけ、セルフタイマーで撮影するのはいきあたりばったりだ。心霊写真を撮るかのようだ。なにせ、カメラの液晶画面は真っ暗だから。

あと、ヘッドライトやランタンを手にして写真に収まると、うまくいけば探検感のある写真になる。ただ、カメラがうまく対応できず、明るすぎたり暗くなりすぎたり、失敗写真も量産した。

あれこれチャレンジしたかったけど、いしに悪いので適当なところでやめた。「ちょっと待って、あともう1枚」「うーん、別角度で!」なんてあれこれ言われて、いい気分になる人はそうそういない。しかも真っ暗なトンネルの中で。

13:25
車がゴーと音を立てながら通過していく横を歩く。

真っ暗とはいえ、いきなり不意打ちをくらって交通事故に遭う、ということは100%ない。なので、車の音が遠くから聞こえてくるまでは、基本的に車道歩きだ。狭い歩道を歩くのは、それなりに疲れるからだ。なにしろ、トンネルの壁面が迫ってくるので、本の少し体を傾けつつの徒歩になるから。

万が一、チャリンコの人がシューッと無音で突進してきたら、トンネル内で衝突する事はありえる。なので、いくら音が聞こえなくても、自分の居場所をわからせるためにライトを灯しておくのは必須。

13:26
もうそろそろ釜トンネルも終わり。

真っ暗なトンネルを歩く、なんて機会はなかなかないことなので、最後のダメ押しで記念撮影。

「⇒非常電話 50m」という表示でさえ、とても名残惜しい。今回の旅において、記念写真を撮る価値がある看板だ。ああ、もう終わるんだな。

13:31
釜トンネル脱出。中の湯売店の前に出てきた。

目の前を、工事車両でもなんでもない一般車両が通過している。ああ、下界に降りてきちゃったな、と思う。

サザエさん症候群が日曜日の夕方で、翌日からの平日を憂うならば、僕は既に明日からの平凡な毎日に対して今この時点で憂いている。

13:33
釜トンネル前で最後の記念撮影。

ありがとう、非日常体験の上高地。冬の上高地ならではの、静かなのに昂ぶる体験ができた。

明神の「山のひだや」から、途中に食事休憩をはさみつつ4時間ちょっとで到着。

(つづく)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31

コメント

コメントする

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください