冬の上高地に歩いて潜入!カフェ・ド・コイショでクリスマス【中の湯・明神】

08:52
そろそろ部屋に戻って身支度をはじめる。

一晩僕らをサポートしてくれたランタンと、豆炭あんかと一緒に記念撮影。

お恥ずかしながら豆炭ってものは知っていたけれど、実物を見るのも体感するのも初めてで、貴重な一晩だった。暖かさが翌朝になっても持続するのはさすがだ。湯たんぽだとこうはいかない。

カフェ傍らのカウンターに、あんかを返却する。

枕みたいな形をした容器が、あんかだ。そういえば、あんかを見ることも人生初だな。

着火した豆炭をこの容器に入れ、パチンと金具でフタを締める。不燃素材の石綿に包まれた状態で豆炭が容器の真ん中に固定され、そこから長時間熱を周囲に提供し続けてくれる。

大して大きくもない、ミニどら焼き程度のサイズの豆炭1個なのにこのデカさ。「デカい方が、抱きまくらにもなって便利」というわけではないだろう。たぶんこれくらいのサイズにしないと、豆炭からの発熱に人間が耐えられないんだと思う。火傷を負わないように、デカくならざるをえなかった。

一晩安定して暖かった豆炭あんかにはとても感心させられた。自宅で使おう、とまでは思わなかったけど、「ええやないか!」ということで値段を調べてみて、ぶったまげた。あんか1個で1万円近くするのか。しかも使っているうちに石綿が摩耗してくる消耗品だということでまたびっくり。

少なくとも都会で使う分には、贅沢品だ。

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一晩中暖を取り続けないと厳しい、という寒い土地や家に住んでいる人なら、電気あんかやエアコンを使うより安いのかもしれない。イニシャルコストは高いけれど、ランニングコストが安くつくから。

08:57
テーブルの上に飾られたクリスマスツリー・・・なのか?

こういう飾り付けがいちいちかわいいので、心がなごむ。

09:08
ドコイショの一角でお湯を沸かし、コーヒーをドリップする。

何も好き好んでこの後屋外でコーヒーを沸かす必要はないだろう。今のうちに淹れておきたい。

なにせ昨日は、ドリップし終わった時点でコーヒーがアイスコーヒーになっていて、再加熱が必要になるという有様だった。ドリップするなら屋内に限る。

それでもなかなかお湯が沸かない。隣では、ジェットボイルを使ってお湯を沸かしているお姉さんたちがいてひたすら羨望だ。

お姉さんは、「ジェットボイル、おすすめよー」と言う。こういう出発前の慌ただしい時、特に重宝するのだと。たしかにそうだろう。

一方こちらはというと、いしがガスストーブにうっかり手が当たってしまい、火傷を負ってしまった。

ガスストーブの利用時間が長くなる、というのは時間のロスだけでなく、お湯をひっくり返すとかストーブを直接触ってしまって火傷を負う危険性が高くなるということでもある。やっぱりジェットボイル、下山したら入手しよう。

09:26
カフェ・ド・コイショの前でおかみさんとパティシエールの娘さんと一緒に記念撮影。

結婚する、ということで、お祝いとしてクリスマスのクッキーを1つずつもらった。ありがとうございます。そしてなによりも、素敵な時間と体験、本当に身に余る光栄だった。こういう人の縁は大事にしていきたい。

09:35
「いやあ、素晴らしい体験だったなぁ」とお互い話し合いながら、宿を後にする。

帰りは梓川右岸ルートを通って河童橋を目指すことにした。行きに使った左岸ルートより10分程度時間が余計にかかるけれど、せっかくなので。

この道は変化に富んでいて、森、川、湿原、涸れた河原など存分に楽しめる。

10:13
木道脇のところどころにポールが立てられている。

ポールには赤い印がつけられ、ポール同士は黄色いロープでつながっている。

これから本格的な冬になって、木道が雪に埋もれてしまった時のために「ここが道だよ!」と教えてくれる道しるべなのだろう。

こういう光景一つとっても、僕が知っている上高地と違うので面白い。

10:15
岳沢湿原を過ぎれば、まもなく河童橋のサイン。

明神岳の麓を回り込んでいた道だったけれど、いつの間にか山から離れている。

穂高連峰が見えてきた。

今日は標高3,000メートル近くはガスっていた。

10:31
河童橋たもとにある宿、白樺荘が見えてきた。

梓川右岸ルートは風光明媚で変化に富んだ道だけど、細かいアップダウンがあるのと細くて硬い木道歩きが多いので、ちょっっと疲れる。白樺荘が見えると、「やれ、ようやく到着したぞ」という気持ちになる。

それにしても、白樺荘もすごいな。ガッチガチに冬対策を施している。すべての窓がぎっちり雨戸で閉じられているし、プライベートテラスがある1階の部屋はブルーシートで覆われているし、それ以外のところは木の板で鉄壁だ。

昨日今日と見てきた施設全部が、真面目すぎるんじゃないの?というくらいガッチガチに冬対策を施している。それくらいやらないとえらいことになる、という経験則なのだろう。僕らは「冬の上高地に潜入!」などと言って浮かれているけれど、今よりも遥かに想像を超えるヤバい冬がこれから訪れるのだろう。

(つづく)

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